アンダルシア (3):グラナダのフラメンコ・ショー2012/04/05 23:59

せっかくアンダルシアまで来たのだから本場のフラメンコを見てみたいと、Los Tarantosという有名なタプラオに行ってみました。ホテルへの送迎と夜の旧市街アルバイシン散策ツアー付き、1ドリンク込みのフラメンコショーの値段は28ユーロ/人。夜9時15分にホテルに迎えのバスが来て、乗り込むとすでに十数名のツアー客が。あといくつかのホテルを廻ってからお店に向かうとのことでしたが、くしくもこの日はセマナ・サンタで市街地は通行止めと交通渋滞の嵐。ようやくアルバイシンに着いたら時刻はすでに10時30分を回っていて、やはり子連れでフラメンコを見に来るのは無理があったかと後悔。どれだけ待たせるんだとすでに怒り出している人もいました。


お店に行く前に、まずは夜のアルバイシン散策。ツアーは結局バス2台分、20数名になっていました。夜中でも人通りの多い旧市街を、はぐれないように皆でぞろぞろと着いて行きます。


サン・ニコラス展望台から見るアルハンブラ宮殿の夜景は、確かに見応えがありました。この近くに宿泊でもしない限り、夜中に自力でここまではなかなか来れないので、よいものが見れました。


展望台から人ごみをかき分けつつ10分くらい歩き、ようやくお店に到着。とにかく人が多い。


洞窟住居を改装した店内にはショーを行う細長い部屋がいくつかあるようで、早速音楽が聴こえてきます。ぎゅうぎゅう詰めの廊下で長らく待たされた後、やっと一つの部屋に通されました。ウェイターが一人一人ドリンクの注文を取り、皆にドリンクが配られてから、女性ダンサー2名(思ったより若く、エキゾチック美人)、男性ダンサー1名(ハゲ)、女性の歌い手1名(いかにもジプシー)、ギタリスト1名(生まれてこのかた裏社会しか生きてこなかったかのような、実に味のある顔をしたおっさん)が入ってきて、ようやくお待ちかねのフラメンコショーがスタート。時刻はすでに午前0時を回っています。


フラメンコをちゃんと見るのは、実は生まれて初めてです。歌とギターを伴奏に、最初は女性、次に男性が踊りを披露して行きます。カスタネットなどは使わず、フィンガースナップとタップだけの激しくフィジカルなダンスです。メンバーが一通り踊った後、別の男性ダンサーが外から入ってきて、一段とレベルの高いタップを披露しました。この人が真打ちなんでしょう、ハゲの兄ちゃんもけっこう上手いと思いましたが、真打ちはタップの速さと鋭さの次元が違いました。一度見ただけでフラメンコの真髄など語れるはずもないですが、私が見た限りこれは所詮、こけおどし系タップダンスの競い合い、なのではないかと。ギタリストと歌手が気もそぞろにずっと部屋の外を見て、心ここにあらずだったのも気になりました。

ショーが30分くらい続いた後、少し間を置いて、メンバー総入れ替えで次のショーが始まりました。今度は意外とあっさり終り、時間も時間だけに、お客はそろそろ帰りたくてそわそわしていると、ウェイターがやってきて「まだ終わりではありません」。タクシーも入って来れない深い旧市街ではこちらも帰りの足がないと困るので、仕方なく待っていると、さっきと同じメンバーが入ってきて、今度は年配の(というか老齢の)女性ダンサーがカスタネットを持ってやる気のなさそうな踊りをしつつ、お客を誘って一緒に踊ろうとします。そういうのもいいけど、それはフラメンコじゃないだろうと思っていたら、今度はさらに短時間で終って、メンバー撤収。取り残されたツアー客はさすがにしびれを切らし、立ち上がって出口に向かい、ツアコンを探しますが、入り口付近が人であふれかえっていてとても外に出られない状況であるのに気付きました。セマナ・サンタの山車巡行が、まさにこのお店の前を通過しようとしているところで、人ごみは朝の山手線状態。そんな中でも同じツアーに参加していた中国人グループは傍若無人にぐいぐいと人を押しながら前に出て行ったから、たいしたもんです。


せめて同じホテルに帰る人々とははぐれないようにと気をつけつつ、もうこうなりゃヤケよ、山車が見れてラッキーと、十字架に磷り付けられたキリストの山車は足の部分だけ何とか見えました。


それに続く嘆きのマリアの山車はちゃんと顔が見えて、元々見るのを諦めていただけに、まあラッキー。後で気付いたのですが、ジプシーの歌を歌っていたおばちゃん達は、お客もそっちのけでいち早く外に出て、山車に対する奉納の歌を外で歌っていたようで、それであんなにソワソワしていたのかと、納得。

山車の一行が通過して、ようやく動けるようになったら、ツアコンが皆を引率して(でも人数確認もしてないし、はぐれた人は絶対いると思う)元のバスが駐車してある場所まで歩き、帰路につきました。ホテルに着いたら時刻はすでに2時を回っていて、長い一日でしたが、何はともあれ無事帰れたし、普通じゃできない体験だったので、まあ旅のよい想い出ですかな。

教訓は、「聖週間のグラナダでフラメンコツアーは控えるべし」。

そもそも、日本人がアンダルシアへ旅行するなら聖週間は避けたほうが無難かも…。

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