ティーレマン/ウィーンフィル:極上のブラームス2017/06/09 23:59


2017.06.09 Wiener Konzerthaus, Großer Saal (Vienna)
Christian Thielemann / Wiener Philharmoniker
Dieter Flury (flute-2)
1. Brahms: Academic Festival Overture Op. 80
2. Jörg Widmann: Flûte en suite (2011)
3. Brahms: Symphony No. 4 in E minor

出張のおり、5年ぶりのウィーンフィルを聴くことができました。ティーレマンを見るのは初めてでしたし、コンチェルトハウスも前世紀以来行けてなかったので、グッドタイミングでした。

土日にも楽友協会で定期演奏会があるとは言え、そちらのチケットは入手困難ですし、ティーレマンのブラームスですから、客入りはほぼ満員。席は平土間の脇のほうで、コスパは良かったですが、やはりこのホールは天井が高い分残響が無駄に長すぎて、オケから遠いと音に芯がなくなるのが難点です。


1曲目の「大学祝典序曲」は昔部活で演奏したこともあるノスタルジー曲。イメージ通り、ティーレマンはいかにも融通の利かなさそうな仏頂面のドイツ人でしたが、音楽は見かけによらず軽やかというか、片意地の張らないリラックスしたものでした。ウィーンフィルもブラームスはヘタなものを聴かせるわけにはいかず、ホルンとかいちいち外さないのがたいへん心地よく、あっという間に安心感に包まれました。

続いて、首席をソリストに迎えての、ヴィットマンのフルート組曲。初めて聴きましたが、ラトル/ベルリンフィルも取り上げた注目曲で、コンテンポラリーとしては聴きやすい作風。バロックからの引用もあったり、楽しく聴ける曲でした。こういう曲は本来はかぶりつきで聴きたかったのものですが。

最後はメインのブラ4。たいへんわざとらしいタメを作って冒頭の「嘆きのテーマ」に入ったのは、そういう小細工をいかにもしなさそうなイメージだったので、全く意外でした。ティーレマンは「最後の質実剛健ドイツ人」という先入観のほうがむしろ間違いで、音楽はけっこう緩く、四角四面には当てはまらない流動的なものでした。ダイナミクスのメリハリはそんなに繊細ではなく、あくまでテンポと歌わせ方で起伏を作るスタイルですが、解釈が先にあって細部をコントロールするよりも、元々の音楽の力にまかせて盛り上がりが自然に形成されるという演繹的手法。ある意味、実はこれが伝統的なドイツ流正当ブラームスか、とも思いました。

ティーレマン、汗びっしょりの燃えつき熱演で、最後は上着脱いで登場の「一般参賀」までありました。いずれにせよ、現地で聴くウィーンフィルの音は、日本で聴く普段の演奏会とはやっぱり別格でした。

おまけ。表のマーラーのレリーフも健在でした。


二重帝国で骨髄食いまくり2013/01/03 23:59

と、たいそうに書く話でもないのですが、クリスマスはウィーンとブダペストに小旅行してきました。ウィーン市庁舎近くのレストラン(うかつにもカードを取ってくるのを忘れた…)でなにげに頼んだ骨髄のコンソメスープ。


たっぷりと入った骨髄にまずびっくり。骨髄は牛脂の固まりみたいなもんですから、かなり脂っこい料理なんですが、何という旨味の宝庫。イギリスでも日本でも決して味わえない、掘り出し物のスープでした。


ブダペストではいつものKehliに行き、ここでもつい勢い余って、前菜に骨髄を注文してしまいました(こいつからはもう足を洗おうと思っていたのに…)。こちらは自分で骨髄を掻き出し、生ニンニクを擦り付けたトーストに乗せ、塩をふって食べます。うーん、濃いいが、この脂っこさに慣れるとヤミツキに。

こんなもんばかりを食べていたので、当然のごとく体重が増強されて帰宅、そのまま年末年始の食いだおれに突入したため、年明け体重計に乗ったらとんでもないことになっていました…。

しかし、それにしても牛骨髄の美味さよ。以前読んだ米国ファーストフード業界の本で、マクドナルドはその昔、フライドポテトを牛脂のみで揚げていたのが人気の秘密だった、という記述があって、それはさぞ美味しかろう、是非食べてみたいものだ、と読んでてよだれを垂らしたのを思い出しました。

ブダペストでは別の日、超久々にSir Lancelotへ行きました。


地下の酒蔵を改造した風のレストランは、中世にタイムスリップしたかのよう。




ここの名物料理は、お肉てんこ盛りのプレート。この写真は二人前なのでかわいいものですが、大人数で行くと、山のように積まれた骨付き肉に圧倒されます。中世にはまだ発明されてなかったという理由で、この店にフォークはありません。ナイフとスプーンと手づかみでこれらお肉と格闘するのが醍醐味です。

ブダペストにいたころ、ここはお客さんと会食するのに何度利用したことか。途中でベリーダンスや火食い男のパフォーマンスもあり、単純にワイワイと楽しめます。当時は食べても食べても皿からなくならない(気がした)このお肉が、胃袋が欧州化した今ではペロっと平らげてしまえるから、困ったもんです。いいかげん、ダイエットせねば…。ズボンが苦しい…。

クリムト・イヤーのウィーンの美術館2012/05/07 23:59


今年はクリムト生誕150年にあたる記念イヤーなので、ゆかりの地ウィーンでは数多くの特別展が開催されるようです。すでに終ったもの、これから始まるものなどいろいろですが、とりあえず旅行中にやってるものはと探して、まずはミュージアム・クォーターのレオポルド美術館へ。


「Klimt: Up Close and Personal」と題した特別展は、撮影禁止だったので写真は撮れませんでしたが、なかなか貴重なものでした。元々この美術館が所有している「死と生」をX線で分析すると下に若干異なる図案が隠されていたことがわかったので、その復元図であるとか、ウィーン大学の講堂のために書いたが戦争中に火災で焼失してしまった大作天井画「哲学」「医学」「法学」三部作の白黒写真を原寸大に引き延ばしたものが目を引き、圧巻はクリムトが旅行先から愛人のエミーリエ・フレーゲに送ったおびただしい数の絵葉書。エミーリエは自分が書いた手紙は死ぬ前に全て処分したそうなのですが、クリムトからもらった400点に及ぶ絵葉書が遺品から発見され、まとめて公開されるのは今回が初めてだそう。ロンドンからの絵葉書もあり、当時のピカデリー・サーカスの様子がわかります。多数の写真も展示され、クリムトの生涯と人物像に多面的に迫ります。

次は、道を渡って美術史美術館へゴー。すごく久しぶりです。



この美術館が所蔵しているのは主に中世から、せいぜい19世紀までの絵画ですが、ここにはクリムトが若い頃に手がけた装飾画があり、今年は至近距離からそれを鑑賞できるよう足場を組み、特別展(追加料金なし)として公開していました。元々は5月6日で終了する予定でしたが、好評につき、来年1月まで期間が延長されたそうです。


普段はこのくらいの高さにある絵なので、正直、よく見たことはありませんでした。



後の奔放な絵画作品と比べたら相当よそ行き顔で、拡張高い古典風の装いながら、女性のエロチックな雰囲気は、まさにクリムト、という感じです。ちなみに後で気付いたんですが、撮影禁止だったようです、すいません。

これだけでは何なので、常設展のほうも、もちろん一通り歩きました。


ルーベンス「メデューサの頭部」。これに勝るインパクトはなかなかありません。子供の頃、ジャガーバックスの「世界妖怪図鑑」で見たのが最初だと思うのですが、記憶が定かでなし。


フェルメール「絵画芸術の寓意」。以前は小部屋にさりげなく置いてあったと憶えているんですが、角の中部屋に移されて、ちゃんと目玉作品としての取り扱いを受けるようになりました。


美術史美術館はブリューゲルのコレクションも有名で、代表作「バベルの塔」。見たところ、ロデムもロプロスも出てこないようです。


「子供の遊び」はこれぞブリューゲル、という感じで、一つの絵にひたすら大人数が各々事細かに描き込まれています。これを何時間もかけて隅から隅までじっくり鑑賞したら、さぞ面白いでしょうけど、そこまでの余裕はなく。


この「ベツレヘムの嬰児虐殺」は昨年中野京子著「恐い絵」で読んだので、興味ありました。ピーテル・ブリューゲル(父)によるオリジナルの真筆はロンドンのハンプトンコートにあり、これは息子(ピーテル・ブリューゲル(子)と表記される人)による模写ですが、オリジナルは何者かによって子供の死体が犬や壷に、曇り空が青空に塗り変えられてしまったため、父の傑作の本来の姿を後世に伝える貴重な資料となっています。


これも「恐い絵」に取り上げられていた、コレッジョ「ガニュメデスの誘惑」。


同じモチーフをミケランジェロが描いた絵の模写(です、多分)。


異色の画家、アルチンボルドの作品もこの美術館の目玉です。これは連作「四季」の「夏」。


こちらは「冬」。哀愁を誘います。


面白いのは「四大元素」の「水」。海の幸で顔を作るくらい、彼の手にかかれば何でもなかったんでしょう。


ベラスケスの「マルガリータ王女」シリーズ。ここまで来ると、もう身体も頭も疲れてしまってます。


ここは絵画だけでなく、エジプトやギリシャ・ローマの美術品も多数展示しています。上はなんだかよくわからない壁画。


ギリシャ彫刻の首だけが並んで、ライトアップされているのは相当不気味でした。


ここのカフェはゴージャスな内装が人気ですが、日曜日のランチタイムは予約しとかないと、並ぶことすらできないようです。ランチタイムの終る3時に、ちょっと休憩。


懐かしいアイスカフェ。ハンガリーではJegeskaveと言いました。日本のアイスコーヒーとは全く違い、氷とアイスクリームに熱いコーヒーを注いで、ホイップクリームを乗せたものです。歩き疲れてバテバテの娘も、バナナパフェを食べてご満悦。

と、オチはありませんが、6年ぶりの美術史美術館を堪能した我々でした。

ウィーン旅行記2012(終)

ウィーンのナッシュマルクト2012/05/06 23:59

ウィーン旅行記の続き。

ブダペスト在住のころ、セセッシオン近くに定宿を選んでいたのは、ひとえにナッシュマルクトで買い出しをするためでした。最終日の朝(だいたい月曜日)はノルトゼーで腹ごしらえし、マーケットで生鮮野菜や魚介を買い出した後、ホテルに戻って車に積み、12時のチェックアウトきっかりに出発する、というのが定番スケジュールでした。


ノルトゼーはドイツ、オーストリアで展開している魚料理のチェーンレストランですが、ナッシュマルクトのお店は鮮魚も売ってます。


巨大ナマズ。いったい誰が買うんでしょうか。


ノルトゼーのある市場の入口あたりは魚屋さんが集中していて、隣りのお店には無骨にアンコウの大きな切り身が置いてありました。ここは魚をその場で裁いてくれます。


その向かいのお店は、昔と変わらぬ素敵な看板。ここは冷凍の魚、貝類、ロブスターが充実してます。


簡単なバーもあって、言えば置いてある牡蠣をその場で開けてくれます。


せっかくなので、真牡蠣とフラット(ブロン)を2個ずつ開けてもらい、よく冷えた白ワインと一緒にいただきました。海のないオーストリアなのに新鮮で、非常に美味〜。


さて、牡蠣に満足したところで、ちょっと奥まで歩いてみましょう。


ナッシュマルクトはそのへんのスーパーよりも値段はちょっと高めですが、野菜も果物も種類が非常に豊富で、ちゃんとした良いものを置いています。ブダペストもわりと野菜、果物は豊富にあったんですが、やっぱり手に入らないものも多々あって、車で買い出しに行ける距離にナッシュマルクトがあって、本当に重宝しました。



この季節は何と言ってもシュパーゲル。太さやグレードによっていろんな値段がつけられています。


シュパーゲルの横にあるモリーユ(アミガサダケ)も、フレッシュなものは春先だけに出てくる貴重な季節の食材。高いんですけどね、見かけたら衝動買いしてしまってました。


日本じゃまずみかけない、コールラビ。ハンガリーで最初に見たときは、何じゃこのモンスター・インクのようなグロい野菜は、と引きましたが、カブとキャベツを足して二で割ったようなちょっと青臭い味わいは、ぬか漬け、鍋、みそ汁の具など、和食との相性も意外にグッド。


このお肉屋さんはすき焼き用薄切り牛肉を売っていて、ブダペスト在住の日本人がこぞって買いにきていました。ブダペストでは韓国・中華食材屋で冷凍の薄切り肉は売っていましたが、普通は肉はブロック売りのみなので、鮮肉の薄切りは貴重でした。我が家はブダペストに引越ししたとき、ミートスライサーを早々に買ったので(今でも現役で使ってます)、わざわざ外で薄切り肉を買うことはありませんでした。


いい感じに脂が乗った骨付きハム。カロリー高そうだけど、めちゃ美味しそう〜。


ここはオリーブオイルやビネガーを専門に量り売りしていたお店。秋にはシュトゥルム(ワインになる前の微発泡葡萄酒、飲みやすいけど酔いが回りやすいので結構危険)が並びます。


乾物屋、とでも言うんでしょうか。干したイチジクやナツメ、ドライトマト、ナッツ類などを売ってます。ドライトマトもブダペストではなかなか買えない食材だったのでここでまとめ買いしていました。


スパイス屋。これだけ並ぶと圧巻です。


かわいらしい焼き物のお店。昔はなかったお店です。


しかし、穴あきチーズには必ずネズミを添えるというヨーロッパ人のセンスには、ついていけません。ネズミ退治に相当苦労した身には、全然笑えない…。

ウィーン編、まだ続く、予定。

リンツ・ブルックナー管/D.R.デイヴィス@ウィーン楽友協会2012/05/05 23:59


2012.05.05 Musikverein, Grosser Saal (Vienna)
Dennis Russell Davies / Bruckner Orchester Linz
1. Mozart: Maurerische Trauermusik, KV 477
2. R. Strauss: Also sprach Zarathustra, Op. 30
3. Haydn: Symphony No. 86 in D major

バンクホリデー休暇のウィーン小旅行中に何か演奏会はないかと探したところ、オペラ座はすでに席なしだったけど、楽友協会で「ツァラ」を発見。デニス・ラッセル・デイヴィスとリンツ・ブルックナー管はまだ聴いたことがないし、チケットも安めだったのでこれに決定。聴衆はほとんど観光客という感じで、ゴールデンウィークということもあってか日本人も多数来ていました。


楽友協会大ホールのきらびやかさはやっぱり別格で、ここにまた来れた喜びも相まって、思わずため息が出ます。ただ、ウィーンの聴衆マナーは相変わらずで、演奏中の咳がうるさいこと。演奏中にバシャバシャとシャッター切る人もたくさんいましたが、極めつけは音楽が始まってもまだ高々とiPadを担ぎ上げ、内蔵カメラで写真を撮ってたヤツ。羞恥心はないのだろうか。もし自分が後ろの席だったらブチキレてますなー。

写真で見たデイヴィスはエッシェンバッハそっくりの風貌ですが、眼鏡をかけた実物はもっと温和な雰囲気でした。1曲目の「フリーメイソンのための葬送音楽」は非常にソフトなタッチの弦で開始し、ちょっとピリオド系が入った軽いビブラートでなかなか統率の取れた合奏を聴かせました。そのまま切れ目なく「ツァラトゥストラかく語りき」に突入。トランペットは一昨年のLSOのように豪快に外すことなく持ちこたえていましたが、ティンパニは派手な動作にしてはロールとシングルの繋ぎがどうもぎこちない。ここのホールのオルガンを聴くのは初めての気がするので、イントロはまあまあ感動的でした。その後はちょっと流れの悪い展開で、ソフトタッチなのはいいけれど、どうにもドライブ感がありません。普段ブルックナーを得意とするオケにしては、管楽器と低弦はパワー不足だなあと思いました。前半の最後、冒頭のド・ソ・ドをフル編成で総奏してブレイクする箇所で、指揮者がちょっと長めのパウゼを入れたので、今日の客ならここで拍手が起こらないかとヒヤヒヤしましたが、幸いそんなことはなく速やかに後半に突入。後半の鬼門、トランペットのオクターヴ跳躍は無難に切り抜けていました。と思ったら、その後のヴァイオリンソロは外しまくりでちょっといただけなかった。コンマスさんがこのレベルでは、オケ全体のレベルも疑われてしまいます。全体的にフォーカスが定まらない演奏で、「ツァラ」をやるにはちょっとオケが迫力不足、ホールの音響とオルガンに何とか助けられたという感じです。

うーむと思いつつ、気を取り直して後半のハイドンへ。これは小気味のよい好演でした。デイヴィスは元々は現代音楽寄りの人だったようですが、ブルックナー全集のほか、ハイドンの交響曲全集というなかなか敢行できる人が少ない仕事も成し遂げていて、面目躍如の本領発揮という感じでした。楽器はモダンですが軽めのビブラートをかけた準ピリオドスタイルの演奏は、昨今ではどこでもそんな感じなので差別化が難しく、個性はよくわからなかったものの、前半のシュトラウスよりはずっとハマっていました。アンコールではネタがなかったのか、終楽章の後半部分をもう一度演奏しました。しかし、このコンビがもしロンドンにやってきても、あえて再び聴きに行くことは、多分ないかも。


ウィーンの白アスパラ 20122012/05/05 23:59

ウィーン旅行記の続き。昨年同様、この時期ウィーンに来た最大の目的はシュパーゲル(白アスパラガス)を食べることです。日本に帰ったらまず食べることはないだろうから、毎回「今年が最後かも」と言いつつ旅に出ていますが、なんだかんだで今年も食べてます…。



まず最初はAugustinerkeller、アルベルティーナ美術館の下にあります。夏は外の路上にもテーブルが出ますが、セラーの中のほうがよい雰囲気です。


ハムを添えた上品な一皿。ホイップして非常にフォーミーなオランデーズソースが別に添えてありました。ゆで加減はシャッキリしてOK、ただちょっと細めかな。



去年も来たFiglmüllerは、相変わらずいつも人が並んでいる人気店。ここではザンダー(カワスズキ、pike perch、ハンガリー語ではfogas)のグリルを添えてみました。オランデーズソースがこってりとして、アスパラが太かった。やはり白アスパラは太モノのほうが味が良いです。


このお店の名物でお客のほとんどが注文するのが、皿からはみ出るウィンナーシュニッツェル。ここのは仔牛ではなくポークですが、これだけ数がでるのなら、いたしかたないでしょう。皿からはみ出ると言っても、かなり薄く叩きのばしていますし、わざとはみ出るようにそもそも皿が小さめになってます。うちの娘でもペロリと食べられる量です。



歩いていてふと目に止まったので今回初めて入ってみたのがZum Weissen Rauchfangkehrer。「白い煙突掃除屋さん」という意味で、名前の通りの看板が出ています。


店内は鹿の角が飾ってあり、クラシックな雰囲気。


窓辺に飾ってある花もお洒落です。


お店はちょっと高めです。前菜で出てきた白アスパラのマリネ、春巻き添え。


シュパーゲルのオランデーズソースは太めのものが6本も。見た目も奇麗で、上品な味のソースでした。


シュパーゲルのリゾットにもふんだんに白アスパラが入っていて、上からコンソメゼリーのシートが被せてあったりして、贅沢〜。これは他の店ではなかなか巡り会えない一皿でした。



続いて、楽友協会からの帰りに軽く食べたのは、Café Museum。ここにもこの季節はシュパーゲルがあります。カフェなのでそれほどこだわりがあるわけではなく、まあ普通でした。



最後は、ホテルにグラスワインのバウチャーがあったので行ってみたZwölf-Apostelkeller。古いタイプの地下セラーで、夜にはジプシー楽団の生演奏が入る観光客向けのお店でした。ここは残念ながら、シュパーゲルはスープとマリネのサラダしかありませんでした。


ただしここのシュニッツェルはオーセンティックに仔牛なので好感度大。ポークのシュニッツェルもあったので両方頼んで食べ比べてみたら、あたり前ですがやっぱり仔牛は牛肉の味、ポークとは全然違いますね。ポークに食べ慣れていると本当の味を忘れていた気がします。

演奏会レビューを消化するのにヒーヒー言ってますが、ウィーン旅行記もまだちょっと続く予定です。

今年もウィーン2012/05/04 23:59

今年の5月のバンクホリデーは、昨年と同じく白アスパラを食べにウィーンにまで行ってきました。まずは今年見て珍しかったものを。


ブダペストから通っていたころはほぼ定宿になっていたMercure Secessionに、今回久々に泊まりました。名のごとくSecession(ウィーン分離派会館)の近くにあります。今やってる企画展にからんで、入り口横の亀に支えられた瓶には緑緑としたスイカのオブジェが置かれており、かなり違和感がありました。


ちなみに上は7年前に撮った写真ですが、このときは植木が植えられていました。普段は何も入っていないはずです。

週末の繁華街ケルントナー通りには大道芸人が多く出ていますが、今回目を引いたのは「空中に浮くオジサンたち」。


棒に片手片足でくっついて中に浮いています。どの角度から見ても透明な椅子があったり、ピアノ線でつり上げていたりといった仕掛けがわかりません。女の子からツーショットの写真をひっきりなしにお願いされ、この日随一の人気者でした。


別の場所には宙に腰掛けるオジサンが。


さらには、完全に宙に浮いてしまっているブロンズおじさんもいました。この人も、やっぱり足の下には何もありそうになく、とすると、あと可能性としては、非常に丈夫な素材でできたフレームの上に乗ったり座ったりしているだけなのかなと。


さて、ホテル近くには「パパゲーノ通り」という名前の道があって、この先には何があるんだろうと行ってみると。


モーツァルトではなくベートーヴェンの名前をつけたホテルがありました。


どん詰まりにはアン・デア・ウィーン劇場がありました。「フィデリオ」や「英雄」「運命」「田園」の初演をやった場所で、やはりベートーヴェンとゆかりが深いとはいえ、この劇場を作ったシカネーダーはモーツァルト「魔笛」の台本を手がけ、初演でパパゲーノを歌ったことで有名です。ということで、話は上手くパパゲーノに着陸しました。


おまけ。ホテルのロビーの壁には所狭しとオペラ歌手のサイン入り写真が飾ってありました。元のオーナーの趣味なんでしょうか。



よく見ると下の段にアーダーム・フィッシャーのすごく若い頃の写真が。髪ふさふさ〜。何度もここに泊まりながら、今まで気付かなかったなあ。

とりとめがなくすいません。次回に続く。

プラター遊園地とマダム・タッソー・ウィーン2011/06/02 08:06


動物園の翌日、娘が今度は遊園地にまた行きたいなどとぬかし、これまた5年ぶりくらいにプラター遊園地に行ってみました。「第三の男」にも登場したレトロな大観覧車はウィーンの観光シンボルの一つになっています。


かつては移動遊園地の寄せ集めのようで、極めてシャビーな雰囲気を漂わせていたのですが、この5年の間にまるでディズニーランドのように整備され、小奇麗になっていたので驚きました。


娘がここに来たがった最大の理由はこの生馬メリーゴーランド。かつてブダペストに住んでいたころ、ウィーンまで買い出しに来る度にここを訪れ、娘は大喜びで乗馬体験をしておりました。馬の数は3頭に減ったものの、今でもやっていたのでほっと一安心。しかも値段は5年前から据え置きの1回2.5ユーロ。


今回初めて乗ってみたのは、円形のボートに乗って水流の中を下っていく急流滑りのようなアトラクション。似たようなのにどこかで乗ったことがあるぞ、と思い、後で記憶を辿って調べてみましたら、アナハイムのDisney California AdventureにあったGrizzly River Runですね、これは。かなり高いところまで上り、途中とんでもない早さで回転して振り落とされそうになるので、意外と怖いです。


今回は乗りませんでしたが、回転系の絶叫コースター。よく見ると、今年死亡事故を起こした後楽園遊園地の「スピニングコースター舞姫」とほぼ同一タイプのコースターですね。以前乗った際は固定バーが甘くて飛び出そうに感じたので、それ以降危ないので避けていました。くわばらくわばら。


ヨーロッパの遊園地は日本とは造形のセンスが相当違うので、細部を見ていると飽きません。下なんかもなかなかいい味出しています。




日本の子供向け遊園地だったらまずあり得ないエグさです。ちなみにこれはバイキングのような振り子系の乗り物でした。



怖そうでちっとも怖くないお化け屋敷も健在でした。

今回最も驚いたのは、プラター遊園地内にマダム・タッソーの蝋人形館ができていたこと。全く知りませんでした。ロンドンの本家はいつも大行列ができていて、並ぶのを躊躇してしまいますが、ウィーンは平日ということもあってすいていたので、ものは試しと入ってみました。入場料は大人18.5ユーロ。ロンドンの28ポンドというぼったくり値段よりはずいぶんと良心的です。


エリザベス女王、オバマ大統領、メルケル首相、マイケル・ジャクソン、レディ・ガガといった定番中の定番はもちろんロンドンにも置いてあるのでしょうが、オーストリアならではの蝋人形も多数ありました。ウィーンと言えば、やっぱりシシー(エリザベート皇后)は欠かせないでしょう。


これはグスタフ・クリムト。


誰だろうと思ったら、Der KommissarやRock Me Amadeusが世界的にヒットしたオーストリアの歌手、Falcoでした。渋い!この人形があるのは世界でもここだけでしょうね。

他にもフランツ・ヨーゼフ1世やモーツァルト、ベートーヴェン、シューベルトのような歴史上の人物に加え、オーストリア人のスポーツ選手・タレントが多数いましたが、ほとんどは知らない人なのでよくわからず。


ご存知、クィーンのフレディ・マーキュリー。20年前初めてロンドンに旅行で来たときは、マダムタッソーの姉妹館としてロックサーカスというミュージシャンばかり集めた蝋人形館がピカデリー・サーカスにあり、フレディ人形とツーショットで写真を撮ったのがよい想い出でしたが、その後ロックサーカス自体がなくなってしまい悲しい思いをしました。

あっという間に見終わってしまったという印象です。やはり値段なりの内容しかないのでしょうか。もちろん蝋人形のクオリティは相当なものですが、何だか著名人ばかりでお茶を濁しており、ロンドンの本家では最も見応えがある(と私が思う、何せマダム・タッソーの原点ですから)、処刑と犯罪に関する展示が一切なかったのが残念でした。というわけで、ロンドンのマダム・タッソーも久々に見たくなってしまいました。

シェーンブルン動物園2011/06/01 07:54


先日のバンクホリデーの連休に、ウィーンまで小旅行してきました。またウィーン?と思われるかもしれませんが、その通り、出張を除くと、これがちょうど20回目のウィーン旅行でした。ただし、この「白アスパラの季節」に行くのは実に5年ぶりになります。


今回は結果的に娘サービスの旅行になりました。5年生にもなって動物園に行きたいと主張するので、シェーンブルン宮殿の一角にある動物園へ。1752年にはコレクションを始めたという世界最古の動物園です。入り口まで行く途中、庭園の中にある温室の横を通ります。ここも大規模温室としては世界最古とのこと。


物理的な中心ではないですが、動物園の「へそ」に位置するパビリオンは、シェーンブルン宮殿と同じ色に塗装されており、現在レストランになっています。ディズニーランドしかり、こういったアミューズメントパーク内のレストランはたいがい食えたもんじゃないのですが、ここの料理はけっこう侮れません。この季節にはちゃんと旬の白アスパラがあり、しかも町中のヘタなレストランよりずっと美味しい!すごく久しぶりに行きましたが、レベルを維持していたので安心しました。


「ふれあい広場」のやる気なさそうな山羊さん。


あまりに多数の動物がいるのですが、珍しいところではニホンカモシカがおりました。


その隣りにはタンチョウヅルの家族が。

娘は一点集中リピーター型なので、今回もふれあい広場と爬虫類館にほぼトラップされ、この広大な動物園の実質1/4くらいしか見れませんでした。まあ、娘サービスだから、いいか。

ウィーン:いつものワインとケーキ2010/11/14 09:00

ブダペストのあとはウィーンへ。夕食は我が家の定番、もう何度目だかわからない、グリンツィングの大型ホイリゲ・レストランZum Martin Seppまで、地下鉄とトラムを乗り継ぎ1時間かけて向かいました。

Zum Martin Sepp
http://www.zummartinsepp.at/
Cobenzlgasse 34, 1190 Wien
Tel: +43-1-320-3233


グリンツィングの酒場はいろいろ試したあげく、「飲み」もさることながら「食」も重視する我々は、一年通して温かい食事を出してくれるここに、結局落ち着きました。そういう店はホントに少ないんです。

この季節はガチョウ料理です。季節のものを食する主義の私は当然、ガチョウのスープにガチョウのグリルという王道パターンで注文。一度レギュラーメニューがガラッと変わりましたので、昔とはシェフが変わっていると思います。ちょっと味は落ちたかな、というか、マイルドになった気がしますが、今年の新酒ワインも、ナッツシュナップスも美味しかったので、良しとしましょう。オープン厨房が見える席に座って忙しく調理している姿を見るのもたいへん楽しいものです。

翌日は午後から楽友協会で演奏会を聴く前に、妻と娘の大好物、OBERLAAで甘さ控えめケーキを食します。

Kurkonditorei OBERLAA
http://www.oberlaa-wien.at/
Neuer Markt 16, 1010 Wien


妻はケーキ3個食べると豪語していましたが、Nordseeでランチを食べた直後でもあり、結局1人1個で抑えました。

もう何度もウィーンに行ってますが、上の2店はずっと欠かさず通ってます。

今回初めて行ってみたのは、エステルハージ・ケラー。町中ですが、Kohlmarktよりもさらに西、ちょっと外れのほうです。

Eszterhazy Keller
http://www.esterhazykeller.at/
Haarhof 1, 1010 Wien


地下の古いセラーを改造した薄暗い店内は迷路のようでした。ドリンクと一部料理(ウィンナーシュニッツェルと季節の特別料理)はテーブルでオーダーを取って持ってきてくれますが、他の料理はカウンターまで買いに行くセルフサービスです。カウンターのおばちゃんは、英語はほとんど通じませんでした。頼みたい料理が決まっていたら、まあ問題はないですが。シュニッツェルとターフェルシュピッツなどを取りましたが、どれもなかなか侮れない美味でした。ワインも白の若いワインを一通り試しましたが気安く飲むには最適で、値段もリーズナブル、是非また来たいお店でした。