デュッセルドルフの匠・二代目豚骨2013/06/10 23:59

昨年末にオープンしたデュッセルドルフ「匠」の二号店・豚骨。なかなか行く機会がなく、先日ようやくふらっと行けました。開店当初は混んでいたそうですが、半年も経つとさすがにオフピークは空いていました。



食べたのは黒麻油をきかせた「黒丸」。本家の匠もスープのベースはとんこつ(+鶏ガラ)系ですが、二代目はわざわざ「豚骨」と名打つ通り、九州系の白濁濃厚とんこつが売りです。置いておくとすぐに油膜が張ってくる、本物のとんこつスープが、めちゃ嬉しいです。

麺 は細麺ですが、博多ラーメンとは違います。本店と同じくこちらも西山製麺とのこと。博多のストレート麺じゃないのはちょっとがっかりしましたが、細麺でも しっかりとした腰があり、これはこれで美味です。ロンドンの麺はホントにこれを見習って欲しい。よく考えれば豚骨とは名付けても「九州」とは一言も言って ないので、「匠オリジナル豚骨」と思えばよいのでしょう。ゴマすりが添えてあるのも、とってもナイスのひとこと。


これは一口餃子。ロンドンのどの店の餃子よりも美味しい。

それにしても、同じ並びにある老舗の「なにわ」は、相変わらず待ち行列ができていました。「なにわ」に「匠」の2店舗が加わり、デュッセルドルフのラーメン好事情は依然としてうらやましい限り。

三越ラーメンバー2013/03/31 23:59

昨年から「ラーメン激戦区」と言われているロンドンに、今年2月から参戦してきた大物、三越のラーメン・バー。三越のレストランで食事したのははるか昔の一度きりなので記憶がおぼろげですが、ここはかつて寿司バーだった一角ですね。噂はちらほら耳に入ってきたものの、「一点張」の店長がプロデュースしていると知り、かなり行く気が減退しておりましたが、出かけるついでがありましたので、まあ一応行っておくかと。

店内はさすがに元寿司バーだけあって、他のどの店よりもネイティブジャパニーズな感じです。ラーメンは大きく、とんこつ醤油ベースのロンドンラーメン、味噌ラーメン、つけ麺の3種類があります。


これはロンドンラーメン。一点張と比べても、かなり魚介の香りが表に立っているスープです。これは苦手な人がいるかも。私は悪くないと思いましたが、味がだいぶ塩っぱかった。麺は細麺で、一点張と同じかな。固めに茹でてあり、最初はコシがありますがすぐに伸びてきます。


こちらは、けっこうイケると聞いたので頼んでみたつけ麺。ラーメンとは違い、うどんのような極太麺です。「日本製法で作られた極太麺を直輸入」と書いてあったので、裏を返せば「日本から直送」ではないんでしょう。私はつけ麺を特に好んで日本で食べていたわけではないのでつけ麺の真髄が何かは知らないのですが、この麺はちょっとコシがあり過ぎです。朝鮮冷麺をさらに太くしたような食感で、噛み砕くのに必死、麺食の官能がありません。熱々のつけ汁はベースのスープに何か味噌を加えていて、鰹の香りがふわっと立ち上りました。ただし、具が冷たいのでつけ汁はすぐ冷めます。麺を食べ終わったあと、頼めば割り下(ベースのスープ)をくれるので、残ったつけ汁をそれで薄めて飲んでもかまいません。スープは悪くないです。


餃子は…。うーむ、一点張と同じかなあ。どうしてこう、パリっと感がないんだろうか。まあ、こんなものは食えねえ、とちゃぶ台ひっくり返すほどではありません。

感想は、まあロンドンのラーメンとしては、「真面目度」においてBone Daddiesと並ぶ上位クラスでしょう。一度はどうぞ、と勧めておきます。私は当分行かないと思いますが。

最近日系のフリーペーパーに製麺機の輸入業者の広告が載ったりしていますので、ロンドンでラーメン屋の新開店が今後さらに続くかもしれません。そのことと、この三越のつけ麺でこだわっていた「日本式製法麺を直輸入」というスタイルに太い道筋ができれば、ロンドンのラーメン業界にも「麺の可能性」がより広がる期待が見えてきた、というのが今回の収穫と言えましょうか。

「なんでんかんでん」の思い出2012/12/26 23:59

とんこつラーメンのことを書いていて、いろいろと調べごとをしているうちにふと目に入ったニュース。

『環七沿いのラーメン店「なんでんかんでん」、25年間の営業に幕』

バブル期に行列のできるラーメン屋として名をはせた世田谷の「なんでんかんでん」本店が2012年11月5日をもって店を閉じたそうです。

先の日記で「本当にちゃんとしたとんこつスープを取ろうとしたら、悪臭を撒き散らして近所から苦情が来るくらいが当たり前。」と書いたとき、まずはこの店のことが頭にありました。

大学生時代、この店のごく近所で一人暮らししてました。風呂なしアパート(当時の学生はそれが普通でしたが)だったので毎日(よりは少ないか…)銭湯に通っていましたが、ある日、その通い道からちょっとずれた場所に新しいラーメン屋がオープンしているのをたまたま発見。お風呂帰りに興味本位で入ってみて、以来すっかりハマってしまいました。当時すでに熊本の桂花ラーメンは渋谷にありましたが、歯ごたえのあるストレートな細麺に、すぐに油膜が張ってくる脂っこい白濁スープは新鮮な感覚で、これはいいものを見つけたと九州出身の友人を連れて行ったら、これはほんまもんの博多ラーメンだと。

あたり前ですが開店当初はお客が少なくて、川原店長と、もう一人、確か何処かのホテルでコックをやってたという調理人の二人で作っていたと思うのですが、客はカウンターに私一人で、ひまなのでリンゴを剥いて食べていて、「リンゴ、どうですか」「あ、どうも」といただいたりして、あの店にもそんなのどかな時代がありました。

別の日、定期券入れをお店で落としてしまって、あちゃーなくしたと思っていたら、留守番電話に川原店長がオカマっぽいふざけた声で「お忘れになってるわよーん、取りにいらして〜」とメッセージを残していて、大慌てで取りにいった思い出もあります。よく通ってはいたけど個人的な付き合いはなかったので、一緒に入っていた身分証明書を見て電話してくれたのでした。

口コミで人気が出てきてお店も結構人が埋まるようになったころ、私は引っ越してしまいましたので、それ以降あまり行くことはできませんでした。特に「なんでんかんでん渋滞」と呼ばれるほどの異常な違法駐車と待ち行列ができるようになってからは、一度しか行ってません。最後に行った時、最初と比べてずいぶんと味が変わってしまったような気がして、もはやここまで待って食べるものでもないと、自分の中の「青春思い出箱」に封印してしまいました。

その後ブームも去り、フランチャイズ店はことごとく閉店し、本店にもかつてのような行列はできなくなったとのことでした。今回の閉店ニュースを読んで、もし自分がまだ東京にいたなら、最後に是非もう一度食べたかったものだと、しみじみ思いました。

あー、ほんまもんの博多ラーメンが食べたくなってきた…。

パリのジャパニーズラーメン二題2012/12/22 23:59

ちょっと前になりますが、パリに出かけた際、日本料理屋が並び立つピラミッド界隈でラーメン屋を2軒トライしましたのでそのお話を。

Naritake
31 rue des Perits-Champs 75001 Paris
Tel: +33 1 42 86 03 83

パリ初のこってり背脂系ラーメンとして昨年オープンした「なりたけ」は、行列の絶えない人気店としてその評判はロンドンにも漏れ聞こえてきています。津田沼の本店には行ったことがありませんが、そんなに人気のラーメンならこれは食いに行かねば、と開店時間ジャストを目指して気合い入れて出かけたのですが、祭日だったためお休み(日曜祝祭日は休業だそうです)。気を取り直して翌日再訪したところ、噂通り12時の開店前からすでに人が並び始めてました。一番乗りだったので問題なく席に着き、味玉醤油ラーメンを注文。


脂多めにしなくても十分過ぎる量の背脂が乗ってます(妻と子供は脂少なめのあっさりにしましたが、それでも背脂はそれなりに乗ってました)。久々に食べたギトギト背脂系は爽快な重量感で、たいへん美味しゅうございました。軽くちぢれた太めの麺もコシ、喉ごし共にこれぞジャパニーズラーメン。まともに美味しいラーメンがあるパリがうらやましくなりました。それにしても、私も学生のころは背脂系(も、と言うべきでしょうね)、大好きでした。ホープ軒とか白山ラーメンとか、夜中によくあんな高カロリー食を飽きもせず食べてたもんだと、恐れを知らぬ若さって、今から思うと凄いもんですねえ。


Higuma
http://www.higuma.fr/
先述の「なりたけ」が休業だった日、仕方がないので近くで他を探したところ、「大勝軒」が目に入りましたが、ここは昔入ったことがあってたいして印象に残っていないし、かんとくさんの評価も悪かったので、パス。角を曲がると目に入った「ラーメンひぐま」に行ってみました。札幌ラーメン横町の老舗で有名な「ひぐま」には高校時代に一度行ったことがりますが、多分そこと資本関係があるわけではないでしょう。こちらも昼時は行列のできる人気店で、広い店内はほぼ満員でした。


これは塩ラーメン。


これは普通の醤油ラーメン。


これはネギ醤油ラーメン。

ふむ、どれも至って普通のラーメンです。なりたけと違ってまたわざわざ来たいと思わせる要素は何もありませんが、普通にも届かないロンドンラーメンよりは全然ましなので、それなりに満足はしました。

この界隈には他にも何軒かラーメン屋がありますが、旅行者の身で全てを試すのは難しい。また次回、機会があれば探検に来てみたいです。

ロンドンのニューウェーブとんこつラーメン三題2012/12/21 23:59

ラーメン不毛地帯のロンドンに、今年は立て続けに新しいお店がオープンしました。一点張は以前すでに紹介しましたが、今回は最近できた3店舗(何故か全て「とんこつラーメン」)をトライしてきましたのでご報告。

Shoryu
http://www.shoryuramen.com/
ピカデリーのジャパンセンターの道を挟んだ向かい側に先月開店したばかりのホヤホヤです。プレオープンの半額セールに妻が行ったときは1時間並んだとのことだったので、空いてそうな夕方5時ごろを狙って行ったらガラガラでした。本格的博多ラーメンがついにオープンというふれこみだったので、まずは「博多とんこつ」£8と、ついでに餃子£5を注文。



スープは見たところ白濁の博多ラーメン風。臭みはなく、やけにあっさりした味わいです。まあ、こういうのが好きな人もいるでしょうが、博多の味ではないな。気になったのはミルク臭い味がしたこと。もしや、色を整えるために牛乳を加えている?あと麺は、妻から聞いていた通りヤワい縮れ麺で、全然博多の麺じゃありません。まあ、妻が「麺がダンゴ状で話にならない」とボロカスに言ってたほど食えないこともなかったですが、やっぱり「ロンドンのラーメン」の域は出ず。餃子はまあ普通でした。一点張の餃子よりは良いかも。テーブルに胡椒、ニンニク、ゴマ等を置いといて欲しいところです。でもリピートはないですかね。

Bone Daddies
http://bonedaddiesramen.com/
こちらはソーホーにちょっと前にオープンしていた、元NOBUで働いていたというオーストラリア人がオーナーのラーメン屋。店構えは全くモダンなバー風で、全然ラーメン屋らしくないので、最初気付かず通り過ぎてしまいました。ランチタイムでしたが日本人らしき客はゼロ、白人ばっかりでした。ジャパニーズな雰囲気はみじんもありません。ただし、すりゴマとニンニク潰しがテーブルにあるのは好感度大(胡椒はなし)。ここでもまずは「とんこつラーメン」£11にトライ。



非常にクリーミーなスープは見た目京都の「天下一品」系です。他のブログで「ダブルクリームが入っている」と書いている人がいましたが、Shoryuと違ってミルク系の風味はせず、正統的な骨髄系のスープでした。チャーシュー、煮玉子はちゃんと日本風に作ってあります。ただ、麺はやっぱり…。あと、量が少ないですね。これで£11はかなりの割高感です。

Tonkotsu
http://www.tonkotsu.co.uk/
最後はこれまたソーホーの新しいお店。「とんこつ一本で勝負する」というこだわりの店名と思いきや、メニューには東京醤油などもあり。ここも調理人、給仕共に白人ばっかりでしたが、店構えはここが一番日本のラーメン屋に近いかな。注文はもちろん「とんこつラーメン」£11。餃子£5も付けました(それにしてもロンドンのラーメン屋の餃子って、何でみんな高いんだ)。テーブルに胡椒はありましたが、生ニンニクはオプションで別料金でした。



スープはあっさり薄味、色も薄くて白濁度が低いです。MSGは一切使っていませんというふれこみ通り、確かに変な味はしないけど旨みも薄かったです。ちょっと加えた酸味がさらにさっぱり感を増していました。こういうのが好きな人もいるんでしょうけど、私の期待するとんこつでは全然ないなー。餃子がまたラーメン以上に薄味で、これはいただけなかった。一方、チャーシュー、煮玉子はBone Daddiesと似ていて、まともでした。麺はやっぱり残念な「ロンドン麺」。ただし、チラシに書いてあったニュースを読むと、現在製麺機を日本から取り寄せ中とのこと。機械があればいいってもんじゃないですが、店主が麺にもこだわるつもりがあるというのは重要です。製麺機の成果が出たころにまた行ってみるとしましょう。

まずは基本的なこととして、本当にちゃんとしたとんこつスープを取ろうとしたら、悪臭を撒き散らして近所から苦情が来るくらいが当たり前。ピカデリーとかソーホーみたいな一等地にお店を構えるのはそもそも無理があるというか、お店の本気度を問いたくなるところです。実際どの店のスープも濃厚な旨み、こってり感、とんこつ特有の獣臭さが物足りません。それにもまして問題なのは、麺。ロンドンにはなぜまともな麺が入ってこないんでしょうか。前に「一点張」の店長のインタビューを読んだときも、スープへのこだわりを延々としゃべっているわりには麺への言及はほとんどなく、こりゃーダメだ、麺が改善される日は来ないな、と思ってしまいました。ロンドンにも麺に目覚めるラーメン屋が早く出てきてくれないものかと、切に思います。

デュッセルドルフのラーメン「なにわ」2012/03/28 23:59

先月も行ったばかりですが、今月もデュッセルドルフへ出張。デュッセルと言えば、ラーメンのために出張していると言っても過言ではありません(おいおい)。それは冗談としても、今回ちょっと当てが外れて空き時間がいっぱいできてしまったので、ここぞとばかりにレッツゴーです。

いつもの「」は当然行くとして、今回は久しぶりに老舗の「なにわ」にも足を伸ばしてみました。過去に一度だけ行ったことがあり、そのときは「ローカライズが進んでいる」という印象があったので、それ以降どちらかというと「匠」をひいきにしていました。また、私は何故かデュッセルの出張は火曜日に行くことが多く、生憎なにわは火曜が定休日なのでなかなか行く機会がなかったというのが足が遠のいていた本当の理由です。

なにわはいつも混んでいます。外のベンチシートに順序よく座って待っているのが、ヨーロッパでは新鮮です。ここはラーメン屋というよりは「日本の中華食堂」といったほうが店のイメージを掴みやすいです。定食や丼ものが豊富にあり、運ばれてる皿を見たところどれも美味しそう。しかし私のターゲットはラーメン。ここは涙を飲んでラーメンを注文。


普通の醤油ラーメンに味玉、ワカメのトッピングです。見た目は正直イマイチなんですが、スープが匠とはまた系統の違う美味しさで、絶品。麺は中太のストレートで、しっかり腰があってこれまたポイント高。この麺、日本でも食べたことがある気がするんですが、どこだか思い出せません。何にせよロンドンでは望めるべくもないホンモノのラーメンに、降参するしかありませんでした。


別の日に特選醤油ラーメンも試してみました。何が特選かというと、メンマの代わりに白菜豚バラ炒めが乗っているわけですが、これなら普通のラーメンで十分かなと。あと、この日は味が薄めだったので、日によってスープのバラツキがけっこう大きいのかもしれません。

日本人ももちろん多いですが、ローカルのドイツ人もカウンターに座って黙々とラーメンを食べていて、地域にすっかり定着しているのがわかります。定食、一品ものが充実していて、ラーメンは塩・醤油・味噌以外にも担々麺とか「タイカレーラーメン」とか「マーボーラーメン」などの変化球も多数メニューに載せていることが、ある意味ラーメン屋としての「格」を落としめている気がしてならないですが、ここはいわゆる「ラーメン屋」というカテゴリーとは違うのかもしれませんね。

味の系統が全然違うので、その日の気分によって「匠」か「なにわ」か選べるこの環境は、掛け値なしにうらやましいです。加えて匠は餃子も美味しいですし、なにわは定食、丼が充実している。もし単身赴任だったら毎日でも通いそう。


デュッセルの一日のシメは、いつものごとくシューマッハーのアルトビアで。気を抜くとどんどんおかわりを持ってくるので、油断なりません。前に小銭が足りなかったとき、負けてもらった借りがあるので、ここに来るとつい飲み過ぎてしまいますが…。

NAGOMI(和食・ラーメン)2012/03/20 23:59

先日開店したばかりの麺屋一点張は、再度行ってみましたら、麺が少し硬めに茹でてあったので、まあこれなら許せる範囲かな、あまり贅沢勝手なことばかり言っていてはいけないのかな、と思い直しました。あらためて思いましたがスープはよく出来ているので、皆様もまずはお試しください。

さて、ロンドンで他にラーメンはないものかと思って評判を探り、見つけたのがNAGOMI。時間があったのでちょっと行ってみました。12時ちょっと過ぎに入ったのですが、店内はすでにほぼ満席、人気のお店のようです。ラーメンは醤油と豚骨から選べます。豚骨を頼むと、麺は細麺か太麺かと聞くので、豚骨と言ったら細麺に決まっとるばい、と細麺を選択。お昼のラーメンセットは他にお茶と揚げ餃子がついてきます。〆て12ポンド也。


豚骨ラーメン、英語メニューでは“soup made from pork and chicken”と書いてあったのでそんなに期待はしてなかったのですが、見た目は白濁スープながら、豚骨臭さは一切なく、何のスープか実際よくわからず。最初から胡麻と胡椒をたっぷり入れてあるので、正直、味がごまかされています。量は、桂花のこたろうめんよりも少ないくらいの少量でした。麺は一応博多風の細い麺でしたが、カタメン、バリカタ、など、茹で加減なんかここで議論してもしょうがないかな、と最初から諦めモード。

別に、こんなもんはラーメンじゃねえ、とちゃぶ台ひっくり返すようなものではありません。しっかり最後までいただきました。ロンドンというラーメン不毛地帯の環境の中では、何とかマトモなモノを作っていると言えるかもしれません。SetoやWagamamaよりははるかにましです。しかし、スープも麺も、課題に正面から向き合わない逃げの姿勢があからさまに感じられて、私は好感を持てませんでした。ここはあくまで和食がメイン、ラーメン屋さんではないから、それもいたしかたなしかな、と。

麺屋一点張(ラーメン)2012/03/08 23:59

先週オープンしたばかりのラーメン専門店。ラーメン不毛地帯のロンドンにもようやくまともなお店が出来るのか、と高まる期待の中、すでにほうぼうで噂になっているようです。

ITTENBARI Japanese Fine Ramen and Sushi Bar
84 Brewer Street, London W1F 9UB
Tel: 020 7287 1318
http://www.ittenbari.co.uk/

急に思い立って娘を引き連れ行ってきました。混むかと思って夕方早い時間帯に行けば、まだけっこう空いてました。

現在、ラーメンの味は塩と醤油の2種類。そのうち味噌も加わるみたいです。料金は各々レギュラー£8.90、デラックス(チャーシュー・味玉増量)£10.90。餃子、唐揚げは各々£5.00でした。


塩のレギュラー。


こちらは醤油のレギュラー。

見た通り、至ってシンプルなラーメンです。具はチェーシュー、味玉(半個)、刻み青ネギ、メンマ、揚げ玉ねぎに、最初から胡椒が降り掛かっています。鶏ガラベースのあっさりとしたスープは、病み付きになるような麻薬力はありませんが、真面目に作ってある滋味深いスープです。この店の基本は塩だそうですが、多少濃厚な醤油のほうが私には好みかな。

ちょっと残念だったのは麺。柔いし、質も普通です。麺にはこだわりを感じることは全くできませんでした。とは言え、ロンドンの他のラーメン(とも呼べないシロモノ)に比べたら十分及第点はあげられるジャパニーズ・ラーメンです。柔いのは、もしかしたら現地人の好みに合わせているんでしょうか。

ロンドンに出店してきてくれた勇気と決断には大賛辞を送りたいです。ただ、もしデュッセルドルフの匠がロンドン市内に支店を出してきたら、麺の点でもスープの点でも、やっぱり匠のほうに通ってしまうかな。一点張の進化(特に麺)に期待したいところです。

秋葉原・上野散策2011/11/13 23:59

先々週、中国出張の前に少しだけ日本に立ち寄りました。散策というほど大げさなものじゃないんですが、自分の記録のために、多少写真を。


秋葉原の名物、九州じゃんがららあめんに超久しぶりに行ってみました。かつては秋葉原に買い物に行く度に、行列に並んで食べたものです。オーダーは定番の「全部入り」。もちろん替え玉も追加で。


(九州じゃんがらのWebサイトより)

ロンドンは何でもあるのに、マグロの刺身なんか、へたすりゃ日本の普通のスーパーよりずっと良いものが手に入ったりするのに、何でまともなラーメン屋がないのだろうと、いつも残念に思います。特にこういった九州豚骨系は、切望している人は多いと思うんですけどねえ。

アメ横で買い物をしたかったのですが、目当てのものが見つからず。汗ばむくらいに天気が良かったので、上野公園をちょっとお散歩。


国立西洋美術館の中には入らなかったのですが、外にある彫刻をぷらぷらと見ていて、ロダンの「カレーの市民」にふと目が止まりました。これと同じものを最近見たぞ、と思ってフォトアルバムを探してみたら、去年行ったバーゼルの市立美術館でした。


これがバーゼル市立美術館のほうです。「カレーの市民」はオリジナルの鋳型から12体の像が作られ、一つはロンドンのウェストミンスター宮殿(つまり国会議事堂)のヴィクトリア・タワー・ガーデンに置いてあるそうです。(一般公開してるのかな?)


東京文化会館の楽屋口には、今なおベーム、ムラヴィンスキー、ブレンデル、カラスといった伝説の人々の写真が飾られています。表に回ると、開館50周年記念のガラコンサートや記念オペラ公演(黛敏郎の「古事記」)の派手な宣伝が目を引きました。もう終ったころですかね。


ご存知、西郷どんの像。あらたまって見るのも、凄く久しぶりですね。周囲は改装工事中でしたが像だけは辛うじて見学可能になっていました。

京都その2:五山の送り火、天一のラーメン、十兵衛のあんかけうどん、松水の鮎2011/09/04 08:00

今回の京都では、もう一つ、今更ながらのビッグなオノボリサンがありました。今まで、夏に帰省するにしても混雑を避けるためお盆の時期は絶対外していたので、8月16日に京都にいるのは自分にとって非常に珍しく、今後もめったにないだろうということで、京都で最も有名な伝統行事の一つ「五山の送り火」をこの機会に見に行ってみました。

松尾橋から桂川に沿って嵐山に向かって歩いていくと、気合いの入ったおじさんが三脚を立ててスタンバっていたので、ここなら多分よく見えるんだろうと判断、その場を陣取って待ちました。そうこうしているうちに人がどんどん増えてきて、点火開始の8時になりましたがなかなか火がつかない。携帯のワンセグでテレビ中継を見ながら今か今かと待っていたら、5分くらい遅れてようやく最初の「大文字」が点火。見えました見えました!


8時20分ごろ点火の最後の送り火「鳥居」もバッチリ正面から見えて、大満足。


五山の送り火を見たのは、本当に何十年ぶりだろうか。「鳥居」は近いから見えるとしても、「大」まで見えるとは正直期待していなかったので、2つも見れてラッキーでした。今年亡くなった親族、友人、震災の犠牲になった人々、キャンディーズのスーちゃん、などなど、大切な精霊をしかと見送れた気がしました。

がらりと変わって食の話。京都に帰るといつも行ってる近所の焼き肉屋で、相変わらず激うまい脂ジュージューのロース、カルビをしこたま食い、食中毒騒ぎなど何のその、大好物のユッケと生レバ刺しも普通に注文したら普通に出て来たので、美味しくいただきました。食うのに夢中で写真を撮るのを忘れたのが残念。(迷惑かかるといけないので店の名は伏せます。)

京都のラーメンと言えば、定番はやはり「天一」こと「天下一品」。多くの京都人が美容と健康ために毎日飲み会のシメとして食べている一方、嫌いな人はとことん毛嫌いするという、ある意味キワモノです。


チャーシューメン、デフォルトはこってりスープ。このニンニクの効いた濃厚・高粘性のスープがたまらない。量がほどよいので、意外なくらいするりと身体に入ります。


こちらは自分では決して頼まないあっさりスープ。これはこれでけっこうイケる味なんですが、あのこってりスープが恋しくて天一に来るわけなので。

今回初めて行ったのは、桂坂にある十兵衛という手打ちうどんのお店。ここのうどんは「ちゃんどん」というあんかけが基本で(セットメニューにはあんかけじゃない普通の出汁のうどんもある)、行列ができる人気店だそうです。


これは牛肉のちゃんどん。出汁の味はよかったです。が、あんかけなので猫舌の私には食べにくく、そもそもこのくそ暑い京都の夏の昼食に食べるにはちょっと適切でないチョイスでした。弟は汗をかきかき、上手い上手いと食べていましたが。麺は讃岐のようなしっかりとした腰があるわけではなく、弾力性があってスープによくからむ麺です。これこそまさに、「弱腰でない柳腰」。結局麺の量が多くて食べきれませんでした。この店的には邪道かもしれませんが、あんかけじゃないさっぱりしたのを食べたいなあ。


あとはおまけで京都以外の話を。京都人はレジャーで琵琶湖によく行くのですが、松水という鮎料理のお店に子供のころからよく連れてってもらってました。今ではうちの娘が大ファンになり、特につかみ取りした鮎を生きたまま串にしてその場で焼いて食べると言う経験が、この上なく刺激的な様子です。


哀れ、焼かれる直前の鮎くん達。琵琶湖の鮎は基本的に養殖ですが、餌や養殖技術の改良により、できるだけ天然ものに味を近づける努力がなされているということです。確かに、昔に比べて味はますますよくなったし、骨抜きもしやすくなった(昔の養殖は骨が柔らか過ぎてすぐ切れた)という気がします。


私は頭と背骨を除いて食べますが、ワイルドな人ならその気になれば頭から骨から全部食べれないことはありません。

コースには小鮎のてんぷらもあり、独特のほろ苦さがたまらんかったです。

だいたい何でも手に入るロンドンとはいえ、天一のラーメン、脂ジュージューのカルビ焼肉、活鮎の塩焼きなどは望めるはずもなく、今のうちと食いまくりの休暇をすごしていたおかげで体重が一気に増え、ただでさえピンチだったズボンが、もう絶望的にパンパンです。ということで、食品のカロリーがいちいち気になる今日この頃です。