恭賀新年と、電電宮2014/01/04 23:59

松の内までは正月ということで、遅ればせながら、あけましておめでとうございます。

さて、今年年男のワタクシも、ウン十年生きていながら、まだまだ知らないことが足下にもあるなあ、というお話です。

娘の十三参りに、京都嵐山の法輪寺に出向いてみたところ、本道へ向かう石段の途中に「電電宮」なる奇妙なミニ神社を発見。嵐山は地元なのに、これは知らなんだ。


入り口はこんな感じ。


本当にちっちゃい神社です。中には入れず。


電気・電波の神様なんて、何やら怪しさ満開ですが、由来によると電電明神という雷神を祀っていた由緒正しい神社だそうで、高度成長期に関西の電気電波関連業界が「発掘」し、崇め奉って今日に至るということです。後で調べると、エジソンやヘルツの肖像もあるそうで、相当変わり種の神社ですね。


護持会会員企業の顔ぶれを見ると、大手の電力・通信・放送・家電・電機会社がずらりと並びます。東電、デンソーなど、関西じゃない企業も。残念ながらうちの会社の名前はなし。


ちなみに電電宮のある法輪寺は十三参りで有名なお寺で、展望台から渡月橋を見下ろせる絶景スポットです。


紅葉の季節はもっと凄いんでしょうが、冬景色もなかなか風情があって良いです。

ということで、皆様本年もどうかよろしくお願い申し上げます。

京都その2:五山の送り火、天一のラーメン、十兵衛のあんかけうどん、松水の鮎2011/09/04 08:00

今回の京都では、もう一つ、今更ながらのビッグなオノボリサンがありました。今まで、夏に帰省するにしても混雑を避けるためお盆の時期は絶対外していたので、8月16日に京都にいるのは自分にとって非常に珍しく、今後もめったにないだろうということで、京都で最も有名な伝統行事の一つ「五山の送り火」をこの機会に見に行ってみました。

松尾橋から桂川に沿って嵐山に向かって歩いていくと、気合いの入ったおじさんが三脚を立ててスタンバっていたので、ここなら多分よく見えるんだろうと判断、その場を陣取って待ちました。そうこうしているうちに人がどんどん増えてきて、点火開始の8時になりましたがなかなか火がつかない。携帯のワンセグでテレビ中継を見ながら今か今かと待っていたら、5分くらい遅れてようやく最初の「大文字」が点火。見えました見えました!


8時20分ごろ点火の最後の送り火「鳥居」もバッチリ正面から見えて、大満足。


五山の送り火を見たのは、本当に何十年ぶりだろうか。「鳥居」は近いから見えるとしても、「大」まで見えるとは正直期待していなかったので、2つも見れてラッキーでした。今年亡くなった親族、友人、震災の犠牲になった人々、キャンディーズのスーちゃん、などなど、大切な精霊をしかと見送れた気がしました。

がらりと変わって食の話。京都に帰るといつも行ってる近所の焼き肉屋で、相変わらず激うまい脂ジュージューのロース、カルビをしこたま食い、食中毒騒ぎなど何のその、大好物のユッケと生レバ刺しも普通に注文したら普通に出て来たので、美味しくいただきました。食うのに夢中で写真を撮るのを忘れたのが残念。(迷惑かかるといけないので店の名は伏せます。)

京都のラーメンと言えば、定番はやはり「天一」こと「天下一品」。多くの京都人が美容と健康ために毎日飲み会のシメとして食べている一方、嫌いな人はとことん毛嫌いするという、ある意味キワモノです。


チャーシューメン、デフォルトはこってりスープ。このニンニクの効いた濃厚・高粘性のスープがたまらない。量がほどよいので、意外なくらいするりと身体に入ります。


こちらは自分では決して頼まないあっさりスープ。これはこれでけっこうイケる味なんですが、あのこってりスープが恋しくて天一に来るわけなので。

今回初めて行ったのは、桂坂にある十兵衛という手打ちうどんのお店。ここのうどんは「ちゃんどん」というあんかけが基本で(セットメニューにはあんかけじゃない普通の出汁のうどんもある)、行列ができる人気店だそうです。


これは牛肉のちゃんどん。出汁の味はよかったです。が、あんかけなので猫舌の私には食べにくく、そもそもこのくそ暑い京都の夏の昼食に食べるにはちょっと適切でないチョイスでした。弟は汗をかきかき、上手い上手いと食べていましたが。麺は讃岐のようなしっかりとした腰があるわけではなく、弾力性があってスープによくからむ麺です。これこそまさに、「弱腰でない柳腰」。結局麺の量が多くて食べきれませんでした。この店的には邪道かもしれませんが、あんかけじゃないさっぱりしたのを食べたいなあ。


あとはおまけで京都以外の話を。京都人はレジャーで琵琶湖によく行くのですが、松水という鮎料理のお店に子供のころからよく連れてってもらってました。今ではうちの娘が大ファンになり、特につかみ取りした鮎を生きたまま串にしてその場で焼いて食べると言う経験が、この上なく刺激的な様子です。


哀れ、焼かれる直前の鮎くん達。琵琶湖の鮎は基本的に養殖ですが、餌や養殖技術の改良により、できるだけ天然ものに味を近づける努力がなされているということです。確かに、昔に比べて味はますますよくなったし、骨抜きもしやすくなった(昔の養殖は骨が柔らか過ぎてすぐ切れた)という気がします。


私は頭と背骨を除いて食べますが、ワイルドな人ならその気になれば頭から骨から全部食べれないことはありません。

コースには小鮎のてんぷらもあり、独特のほろ苦さがたまらんかったです。

だいたい何でも手に入るロンドンとはいえ、天一のラーメン、脂ジュージューのカルビ焼肉、活鮎の塩焼きなどは望めるはずもなく、今のうちと食いまくりの休暇をすごしていたおかげで体重が一気に増え、ただでさえピンチだったズボンが、もう絶望的にパンパンです。ということで、食品のカロリーがいちいち気になる今日この頃です。

京都その1:建仁寺2011/09/03 23:47

話は前後してしまいましたが、8月は長めの休暇をもらって日本に帰っておりました。京都の実家には今回1週間以上滞在し、こんなに長く実家に泊まったのは、大学で東京に出て以降初めてかも。しかし、長くいたからといって特に何をしたわけでもなく、とにかく暑いので外に出る気も起きず、うだうだとしていた時間が多かったのですが、家族サービスで多少オノボリサンもやりました。

娘が夏休みの絵画コンクールで、今年は龍の絵を描きたいと言うので、それなら龍の天井画でも見せてあげようかと、最初は家からも近い天龍寺に行こうと思ったら拝観日ではなかったので、それならばと建仁寺にしました。


京都生まれでありながら、ここに来るのは初めてです(多分)。そもそも京都人は皆が皆、寺社仏閣に詳しいわけではありません。行こうと思えばいつでも行けると思って結局行かない人も多いはず。私なんかより、寺社仏閣マニアで京都の大学に通っていた妻のほうがよっぽどエキスパートなので、私はただの運転手でした。


目指すは法堂。ここの「双龍図」は小泉淳作の手による新作で、平成14年に奉納された、龍の天井画としては極めて新しいものです。


建仁寺はどこでも写真撮影OKという非常に太っ腹なお寺さんです。本尊がかすむほどの迫力ある双龍図は、やっぱり一見の価値がありました。娘も大喜びです。


絵が新しいので、天龍寺や妙心寺の天井画と比べると、ずいぶんとギラギラして、躍動感が凄いです。禅寺には浮いていると言えばそうですが、なに、異なった時代の様式が同居するのは洋の東西問わずよくあることですし、あと100年もすればしっくりと溶け込んでいることでしょう。


ここには他に、海北友松によるふすま絵の「雲龍図」もあり、こちらは禅寺らしいわびさびの世界です。


建仁寺といえばさらに有名なのが国宝の俵屋宗達作「風神雷神図屏風」。オリジナルの本物は京都国立博物館所蔵になっているのでここにはありませんが、方丈(本坊)の玄関を入るさっそく陶板のレプリカが飾ってありました。


方丈の中庭に面した部屋には、屏風絵のレプリカもありました。複製なのにガラスケースで厳重にブロックされています。


その横には「風神」「雷神」と同じレイアウトで書かれた書道が。これなどはまさに「記号化」で、ポストモダンの香りがしますね。作者は金澤翔子さんという弱冠26歳の書家だそうです。


方丈の中庭(海潮庭)。他の庭はほとんどが工事中で見れなかったのは残念でした。


建仁寺はいわゆる祇園のお茶屋通りである花見小路沿いにあり、夕方になると芸妓さん、舞妓さんがしゃなりしゃなりと歩いているそうですが、昼間は見かけず。恥ずかしながら、この通りを歩いたのも初めてのような気がします。いやー、全くのオノボリサンですなー。


ランチにと入ったのは元祖ぶぶ漬けの人気店「十二段家」。定番の名物定食(1580円)は、薄味で出汁がきいていて、どの皿も本当に上品。良い味でしたが、私の感覚では、これは全く京都の家庭の味。きばって外で食べるようなものではないと思うし、十二段家のブランド名がなければ1580円の値段設定はとてもできないでしょうね。でも、こういう「普通の味」が今では稀少になって来ているのかもしれません、残念なことに。

次回に続く。