ナショナル・ギャラリー 英国の至宝 ― 2015/02/14 23:59
守屋さんのブログでちらっと紹介されていたのを見て気になっていたのですが、先日ふらっと見てまいりました。
渋谷文化村の「ル・シネマ」は128〜152席の小さな映画館ですが、それでもぎっしり満員御礼だったのにはちょっと驚きました。上映時間をよくチェックしないで、せいぜい2時間くらいだろうと思っていたら3時間以上の長さで、その後予定が入っていたので最後の方は内心かなり焦りながら見ていました。
タイトルの通り英国が世界に誇る美術館ロンドン・ナショナル・ギャラリーに関するドキュメンタリーで、ダ・ヴィンチ展、ターナー展、ティッツィアーノ・メタモルフォーシスといった、ちょうど私が住んでいたころやってた企画展の様子が時系列で挿入され、たいへん懐かしかったです。とはいえこのドキュメンタリー映画がフォーカスするのはギャラリーのコレクションではなく、そこで働くスタッフです。数多く挿入されるツアーガイド、カルチャースクール、学生の課外授業などのシーンで、学芸員が情熱的に語りかけるウンチクの数々はどれも奥深くて「へぇ〜」と感心するばかりで、芸術的好奇心を満たしてくれるものですが、話の内容もさることながら、仕事に没入する学芸員それぞれの人間味こそがこの映画の主役であると感じました。
ロンドンに住んでいても普段見ることができない裏方シーンも興味深いものばかりで、額装へのこだわりとか、途方もない時間と労力をかけた修復がわずか15分で落とせる(原状復帰できる)作りになっているとか、トラファルガー広場のチャリティイベントに協力すべきかどうかというスタッフ会議の議論も面白かったです。トラファルガー広場は頻繁にイベントをやっていたので、その度にギャラリー正面入口へのアクセスが制限され、実は(イベントによっては)いい迷惑だったわけですね。
巨匠フレデリック・ワイズマンの映画を見るのは多分初めてですが、BGMもナレーションもなく、ただリアルの断片を紡いでいくぶっきらぼうな作りは、正直気持ちが乗り切れませんでした。断片は各々面白いんだけど、どうせ「オチ」はないなと分かった後は、その長さに途中からちょっとうんざりしてしまいました。1本のわかりやすいテーマがわかりやすく通ってくれた方がすんなりと身体に入ってくるんでしょうけど、もちろん、そんなハリウッド的映画作りに背を向けている監督なんですよね。繰り返し見れば、その度に新しい発見がありそうな映画です。
東京は3月6日までの公開です。その他の地域は映画の公式ページでご確認ください。
http://www.cetera.co.jp/treasure/
渋谷文化村の「ル・シネマ」は128〜152席の小さな映画館ですが、それでもぎっしり満員御礼だったのにはちょっと驚きました。上映時間をよくチェックしないで、せいぜい2時間くらいだろうと思っていたら3時間以上の長さで、その後予定が入っていたので最後の方は内心かなり焦りながら見ていました。
タイトルの通り英国が世界に誇る美術館ロンドン・ナショナル・ギャラリーに関するドキュメンタリーで、ダ・ヴィンチ展、ターナー展、ティッツィアーノ・メタモルフォーシスといった、ちょうど私が住んでいたころやってた企画展の様子が時系列で挿入され、たいへん懐かしかったです。とはいえこのドキュメンタリー映画がフォーカスするのはギャラリーのコレクションではなく、そこで働くスタッフです。数多く挿入されるツアーガイド、カルチャースクール、学生の課外授業などのシーンで、学芸員が情熱的に語りかけるウンチクの数々はどれも奥深くて「へぇ〜」と感心するばかりで、芸術的好奇心を満たしてくれるものですが、話の内容もさることながら、仕事に没入する学芸員それぞれの人間味こそがこの映画の主役であると感じました。
ロンドンに住んでいても普段見ることができない裏方シーンも興味深いものばかりで、額装へのこだわりとか、途方もない時間と労力をかけた修復がわずか15分で落とせる(原状復帰できる)作りになっているとか、トラファルガー広場のチャリティイベントに協力すべきかどうかというスタッフ会議の議論も面白かったです。トラファルガー広場は頻繁にイベントをやっていたので、その度にギャラリー正面入口へのアクセスが制限され、実は(イベントによっては)いい迷惑だったわけですね。
巨匠フレデリック・ワイズマンの映画を見るのは多分初めてですが、BGMもナレーションもなく、ただリアルの断片を紡いでいくぶっきらぼうな作りは、正直気持ちが乗り切れませんでした。断片は各々面白いんだけど、どうせ「オチ」はないなと分かった後は、その長さに途中からちょっとうんざりしてしまいました。1本のわかりやすいテーマがわかりやすく通ってくれた方がすんなりと身体に入ってくるんでしょうけど、もちろん、そんなハリウッド的映画作りに背を向けている監督なんですよね。繰り返し見れば、その度に新しい発見がありそうな映画です。
東京は3月6日までの公開です。その他の地域は映画の公式ページでご確認ください。
http://www.cetera.co.jp/treasure/
下は2012年のお正月、ダ・ヴィンチ展のときの写真です。
マダム・タッソー蝋人形館 ― 2013/04/07 23:59
言わずと知れたロンドンの観光名所、マダム・タッソー蝋人形館。初めて来たのは20年以上前の学生時代。今回は8年ぶりの4回目になります。このくらいの頻度だと来るたびに中身がガラッと変わっているので新鮮です。しかし8年前にも一緒に来た娘は、来たことすら憶えていなかった…。
それにしても相変わらずの混雑ぶり。行列を避けて、あらかじめ時間指定の前売りチケットを買っておきました。まともに並ぶと入場までに2時間待ちは覚悟しなくてはならないそう。
ロイヤルファミリーはいつの時代でも人気のアイテム。記念撮影用にブロックされていたので近づけませんでした。
この人たちは、いつ来ても変わらぬアイテムの一つです。
エイミーとフレディー。このフレディーは、その昔ピカデリー・サーカスにあり、2001年に閉鎖されたマダム・タッソーの別館「ロック・サーカス」に置いてあったものではないかしら。ポーズは少なくとも同じだ。前回来たときは気付かなかったなあ、なかったと思う。
前回なかったアイテムのひとつ、レディ・ガガ。
ビヨンセは、8年前すでに、最初の部屋の一番目立つところにありました。そのときとポーズもほとんど同じだけど、さすがに人形は作り直しているでしょうねえ。
今回一番意外だったのは、何故かいつもペアにされてるこの人たち。特に右の人は、これまで見たときは比較的目立たない場所でひっそりと主張していたのに(それでもユダヤ系の客から人形が傷つけられたりという事件はあったらしい)、今回はセットまで付けて、観光客向けの記念撮影アイテムにされてる。こうなるとこの人もすっかり名誉回復されてしまったように見えて、時代は変わったものです。
さて、ロンドンのマダムタッソーのメインイベントと言えば、何といっても「恐怖の部屋」。この蝋人形館の原点でもある残酷な展示は、ここでしか見られません。以前はその一部が有料別料金でお化け屋敷みたいになっていましたが、今は「Scream」と題してフリーになってました。中身はやっぱりお化け屋敷でした。
以下2枚はグロ画像になりますので、興味のある方だけめくってください。
フランス革命の最中、ギロチンではねられた国王、女王、貴族の首のデスマスクを取り、蝋人形を作成したのがマダム・タッソーの原点。家庭教師としてヴェルサイユ宮殿に住み、王権側の人間として自らが処刑される寸前だったのを救ったのが、彼女の蝋人形師としての腕前だったそうです。
左から、ルイ16世、マリー・アントワネット、ジャン=バティスト・カリエ、ジャック・ルネ・エベール、マクシミリアン・ロベスピエールの、各々ギロチンではねられた首。20数年前に初めてこれを見たとき、むくんで、つるんと生気がなく、でも意外と落ち着いたその顔がかえってリアルで衝撃的だったのを憶えています(ただ、処刑時のマリー・アントワネットの髪がこんなに長いのは史実と違うのではなかろうか)。左の2人は言うまでもなく王権側の人間で、1793年に処刑されていますが、右の3人は革命を起こした側の人々なのに、翌年の1794年には早速断頭台に上げられてます。私は理系ですし、世界史も選択してなかったのでフランス革命の知識は極めて乏しいですが、血に飢えた人々が跋扈した乱世だったのだな、ということは、このフィギュアだけで十分に感じとれます。
一通り蝋人形の展示が終わると「Spirit of London Ride」というライド型アトラクションに移りますが、撮影禁止だったので写真はありません(YouTubeには隠し撮り動画がいっぱいアップされてますけどね)。ナレーションは日本語も選べました。
今はさらにその後に、かつてプラネタリウムだった設備を使って「Marvel Super Heroes 4D」と称する立体映像のアトラクションが追加されてました。ちょうど最近「Avengers」にハマっている娘は、もう大喜び。
一通り蝋人形の展示が終わると「Spirit of London Ride」というライド型アトラクションに移りますが、撮影禁止だったので写真はありません(YouTubeには隠し撮り動画がいっぱいアップされてますけどね)。ナレーションは日本語も選べました。
今はさらにその後に、かつてプラネタリウムだった設備を使って「Marvel Super Heroes 4D」と称する立体映像のアトラクションが追加されてました。ちょうど最近「Avengers」にハマっている娘は、もう大喜び。
劇場の入れ替えを待っている間、外にはマーヴェルのカトゥーンキャラクターがお客を迎えます。これは本編には出て来ませんが、ファンタスティック・フォーのインヴィジブル・ウーマン(ピンボケご免)。
本編にも出てくるアイアンマン。架空のキャラクターが一律ダメとは言いませんが、ここまでメカニックだと蝋人形で作る意味が果たしてあるのかどうか…。
なお「Marvel Super Heroes 4D」の本編は、3D映画に椅子を振動させたり水しぶきをかけたりなどの各種効果を加えて(だから「4D」)、なかなか楽しめました。前売りでも£25くらいするチケットは今でも高いと思いますが、コストパフォーマンスは若干上がったのではないかな。個人的にはプラネタリウムが懐かしいですが…。
シンプソンズ・イン・ザ・ストランド ― 2013/04/06 23:59
Simpson's in the Strandは、コヴェントガーデンにある、イギリス伝統料理のローストビーフで有名な老舗のレストラン。ちょっと前の話になりますが、結婚記念日と妻の誕生日祝いを兼ねて出かけました。
以前ここに来たときは、ビーフを切って60年(勝手な印象)のベテランおじいちゃんでしたが、今日はずいぶんと若いお兄ちゃん。接客担当のお姉ちゃんと「実は兄妹なんだ」と言ってました。
ローストビーフにはたっぷりとグレイヴィーソースをかけ、ヨークシャープディングとホースラディッシュが添えてあります。焼き加減が絶妙、お肉もソースも美味でしたが、心無しか前より量が減ったような…。前は接待だったので前菜からいろいろ飲み食いしていたせいもあり、メインのローストビーフまで全部平らげたのは結局私一人だけだったのですが(苦笑)、今回、この量なら我家の胃袋にかかればあっという間にフィニッシュでした。
こちらはローストラム。ジャムが添えられ、お好みでミントのソースをかけてくれます。こちらも甲乙付け難く美味でしたが、もっと食べたーい、という後味を残します…。
デザートの定番は、トリークルスポンジ・マダガスカルヴァニラカスタードソース。このひたすら重量級の甘さはいかにもブリティッシュという感じです。
比較的あっさりのアイスクリーム、バースデーキャンドル付き。予約の際、妻の誕生日祝いであることを言うと、キャンドルと歌を付けますかと聞かれたので、歌は遠慮してキャンドルだけにしときました。当日はランチタイムの時間帯で、ほぼ満席の中、従業員がテーブルで歌う「ハッピーバイスデー」がそこかしこで何度も聴こえて来ましたので、誰かの誕生日という年に一度くらいの特別な機会に、ここに来る人が多いのだなあ、ということがわかりました。値段はそれなりに張りますし、ドレスコードがあってちょっと堅苦しい場所ではありますが、ローストは美味しいし、雰囲気も接客もオーセンティックで、たまには(それこそ年に一度くらいは)こういう店も良いなあと思います。
三越ラーメンバー ― 2013/03/31 23:59
昨年から「ラーメン激戦区」と言われているロンドンに、今年2月から参戦してきた大物、三越のラーメン・バー。三越のレストランで食事したのははるか昔の一度きりなので記憶がおぼろげですが、ここはかつて寿司バーだった一角ですね。噂はちらほら耳に入ってきたものの、「一点張」の店長がプロデュースしていると知り、かなり行く気が減退しておりましたが、出かけるついでがありましたので、まあ一応行っておくかと。
店内はさすがに元寿司バーだけあって、他のどの店よりもネイティブジャパニーズな感じです。ラーメンは大きく、とんこつ醤油ベースのロンドンラーメン、味噌ラーメン、つけ麺の3種類があります。
店内はさすがに元寿司バーだけあって、他のどの店よりもネイティブジャパニーズな感じです。ラーメンは大きく、とんこつ醤油ベースのロンドンラーメン、味噌ラーメン、つけ麺の3種類があります。
これはロンドンラーメン。一点張と比べても、かなり魚介の香りが表に立っているスープです。これは苦手な人がいるかも。私は悪くないと思いましたが、味がだいぶ塩っぱかった。麺は細麺で、一点張と同じかな。固めに茹でてあり、最初はコシがありますがすぐに伸びてきます。
こちらは、けっこうイケると聞いたので頼んでみたつけ麺。ラーメンとは違い、うどんのような極太麺です。「日本製法で作られた極太麺を直輸入」と書いてあったので、裏を返せば「日本から直送」ではないんでしょう。私はつけ麺を特に好んで日本で食べていたわけではないのでつけ麺の真髄が何かは知らないのですが、この麺はちょっとコシがあり過ぎです。朝鮮冷麺をさらに太くしたような食感で、噛み砕くのに必死、麺食の官能がありません。熱々のつけ汁はベースのスープに何か味噌を加えていて、鰹の香りがふわっと立ち上りました。ただし、具が冷たいのでつけ汁はすぐ冷めます。麺を食べ終わったあと、頼めば割り下(ベースのスープ)をくれるので、残ったつけ汁をそれで薄めて飲んでもかまいません。スープは悪くないです。
餃子は…。うーむ、一点張と同じかなあ。どうしてこう、パリっと感がないんだろうか。まあ、こんなものは食えねえ、とちゃぶ台ひっくり返すほどではありません。
感想は、まあロンドンのラーメンとしては、「真面目度」においてBone Daddiesと並ぶ上位クラスでしょう。一度はどうぞ、と勧めておきます。私は当分行かないと思いますが。
最近日系のフリーペーパーに製麺機の輸入業者の広告が載ったりしていますので、ロンドンでラーメン屋の新開店が今後さらに続くかもしれません。そのことと、この三越のつけ麺でこだわっていた「日本式製法麺を直輸入」というスタイルに太い道筋ができれば、ロンドンのラーメン業界にも「麺の可能性」がより広がる期待が見えてきた、というのが今回の収穫と言えましょうか。
ロンドンのニューウェーブとんこつラーメン三題 ― 2012/12/21 23:59
ラーメン不毛地帯のロンドンに、今年は立て続けに新しいお店がオープンしました。一点張は以前すでに紹介しましたが、今回は最近できた3店舗(何故か全て「とんこつラーメン」)をトライしてきましたのでご報告。
Shoryu
http://www.shoryuramen.com/
ピカデリーのジャパンセンターの道を挟んだ向かい側に先月開店したばかりのホヤホヤです。プレオープンの半額セールに妻が行ったときは1時間並んだとのことだったので、空いてそうな夕方5時ごろを狙って行ったらガラガラでした。本格的博多ラーメンがついにオープンというふれこみだったので、まずは「博多とんこつ」£8と、ついでに餃子£5を注文。
Shoryu
http://www.shoryuramen.com/
ピカデリーのジャパンセンターの道を挟んだ向かい側に先月開店したばかりのホヤホヤです。プレオープンの半額セールに妻が行ったときは1時間並んだとのことだったので、空いてそうな夕方5時ごろを狙って行ったらガラガラでした。本格的博多ラーメンがついにオープンというふれこみだったので、まずは「博多とんこつ」£8と、ついでに餃子£5を注文。
スープは見たところ白濁の博多ラーメン風。臭みはなく、やけにあっさりした味わいです。まあ、こういうのが好きな人もいるでしょうが、博多の味ではないな。気になったのはミルク臭い味がしたこと。もしや、色を整えるために牛乳を加えている?あと麺は、妻から聞いていた通りヤワい縮れ麺で、全然博多の麺じゃありません。まあ、妻が「麺がダンゴ状で話にならない」とボロカスに言ってたほど食えないこともなかったですが、やっぱり「ロンドンのラーメン」の域は出ず。餃子はまあ普通でした。一点張の餃子よりは良いかも。テーブルに胡椒、ニンニク、ゴマ等を置いといて欲しいところです。でもリピートはないですかね。
Bone Daddies
http://bonedaddiesramen.com/
こちらはソーホーにちょっと前にオープンしていた、元NOBUで働いていたというオーストラリア人がオーナーのラーメン屋。店構えは全くモダンなバー風で、全然ラーメン屋らしくないので、最初気付かず通り過ぎてしまいました。ランチタイムでしたが日本人らしき客はゼロ、白人ばっかりでした。ジャパニーズな雰囲気はみじんもありません。ただし、すりゴマとニンニク潰しがテーブルにあるのは好感度大(胡椒はなし)。ここでもまずは「とんこつラーメン」£11にトライ。
Bone Daddies
http://bonedaddiesramen.com/
こちらはソーホーにちょっと前にオープンしていた、元NOBUで働いていたというオーストラリア人がオーナーのラーメン屋。店構えは全くモダンなバー風で、全然ラーメン屋らしくないので、最初気付かず通り過ぎてしまいました。ランチタイムでしたが日本人らしき客はゼロ、白人ばっかりでした。ジャパニーズな雰囲気はみじんもありません。ただし、すりゴマとニンニク潰しがテーブルにあるのは好感度大(胡椒はなし)。ここでもまずは「とんこつラーメン」£11にトライ。
非常にクリーミーなスープは見た目京都の「天下一品」系です。他のブログで「ダブルクリームが入っている」と書いている人がいましたが、Shoryuと違ってミルク系の風味はせず、正統的な骨髄系のスープでした。チャーシュー、煮玉子はちゃんと日本風に作ってあります。ただ、麺はやっぱり…。あと、量が少ないですね。これで£11はかなりの割高感です。
Tonkotsu
http://www.tonkotsu.co.uk/
最後はこれまたソーホーの新しいお店。「とんこつ一本で勝負する」というこだわりの店名と思いきや、メニューには東京醤油などもあり。ここも調理人、給仕共に白人ばっかりでしたが、店構えはここが一番日本のラーメン屋に近いかな。注文はもちろん「とんこつラーメン」£11。餃子£5も付けました(それにしてもロンドンのラーメン屋の餃子って、何でみんな高いんだ)。テーブルに胡椒はありましたが、生ニンニクはオプションで別料金でした。
スープはあっさり薄味、色も薄くて白濁度が低いです。MSGは一切使っていませんというふれこみ通り、確かに変な味はしないけど旨みも薄かったです。ちょっと加えた酸味がさらにさっぱり感を増していました。こういうのが好きな人もいるんでしょうけど、私の期待するとんこつでは全然ないなー。餃子がまたラーメン以上に薄味で、これはいただけなかった。一方、チャーシュー、煮玉子はBone Daddiesと似ていて、まともでした。麺はやっぱり残念な「ロンドン麺」。ただし、チラシに書いてあったニュースを読むと、現在製麺機を日本から取り寄せ中とのこと。機械があればいいってもんじゃないですが、店主が麺にもこだわるつもりがあるというのは重要です。製麺機の成果が出たころにまた行ってみるとしましょう。
まずは基本的なこととして、本当にちゃんとしたとんこつスープを取ろうとしたら、悪臭を撒き散らして近所から苦情が来るくらいが当たり前。ピカデリーとかソーホーみたいな一等地にお店を構えるのはそもそも無理があるというか、お店の本気度を問いたくなるところです。実際どの店のスープも濃厚な旨み、こってり感、とんこつ特有の獣臭さが物足りません。それにもまして問題なのは、麺。ロンドンにはなぜまともな麺が入ってこないんでしょうか。前に「一点張」の店長のインタビューを読んだときも、スープへのこだわりを延々としゃべっているわりには麺への言及はほとんどなく、こりゃーダメだ、麺が改善される日は来ないな、と思ってしまいました。ロンドンにも麺に目覚めるラーメン屋が早く出てきてくれないものかと、切に思います。
タワーブリッジ ― 2012/08/18 23:59
オリンピックの記憶も醒めやらぬままいつにない好天が続くロンドンですが(例年だったら8月はもう秋です)、それはともかく、先日初めてタワーブリッジを登ってきたので備忘録としてその写真を。
タワーブリッジは1894年に完成した可動橋で、説明不要なロンドンの観光スポットですが、中心地よりもだいぶ東に外れているため、「よし行くぞ」と思い立たない限り、ふらっとたまたま通りかかる場所ではありません(少なくとも私には)。
両岸側のタワーを上空で結ぶ連結の梁部は現在展示室になっていて、そこに入る窓口は橋の北西側のみですのでお気をつけ下さい。
タワーブリッジは1894年に完成した可動橋で、説明不要なロンドンの観光スポットですが、中心地よりもだいぶ東に外れているため、「よし行くぞ」と思い立たない限り、ふらっとたまたま通りかかる場所ではありません(少なくとも私には)。
両岸側のタワーを上空で結ぶ連結の梁部は現在展示室になっていて、そこに入る窓口は橋の北西側のみですのでお気をつけ下さい。
昔は吹き抜けだったんでしょうが、現在は全面ガラス張りで、思ったほど絶景というわけではありませんでした。
わずかにガラスの窓が開いている箇所があったのでそこから撮った写真。
展示は世界各地の有名な橋を紹介した写真展と、オリンピック限定でしょうか、近代オリンピックの歴史を開催地の写真で綴る展示がありました。しかし、1964年の東京オリンピックのところを見ると、
この写真はさすがに合成だと思うぞ。(他の開催地を見ても、ここまでインチキな写真は東京だけでした…)
タワーの中では橋建設の歴史や構造を紹介するムービーが上映されています。設計者のホレイス・ジョーンズは橋の完成を待たずに亡くなってしまったんですねえ。ふと上を見上げると、建設当時の鳶職人の模型がさりげなく飾ってあります。
休んでお茶してる人も。
オチはないですが、おまけとしてスカイライン・ウェンロック君を。
Satay HouseでLondon weblog会 ― 2012/08/03 07:45
先日、ブログ仲間のかんとくさんがご帰国されるとのことで、Satay Houseというマレーシア料理のお店で壮行会を敢行しました。プロムスとオリンピックが始まり皆さんお忙しい中、dognorahさん、shinrabansyoさん、Voyage2Artさん、felizさんが集まって下さいました。いつものメンバーではMiyukiさんが一時帰国中につき残念ながら不参加。なお、昨年からすでに何度か回を重ねているこの集まりは、一足先に帰国されたKoideさんにより「London weblog会」という恐れ多い命名がなされております。
決して見つけやすいお店とは言えないのに狭い店内はあっという間に満員で大賑わい。マレーシア料理は東南アジア系料理の中ではマイナーですが、タイとインドネシアと中華をミックスして日本人の好みそうなところだけを取り出したような、変わっているけどすんなりと口に合う、新しいけどどこか懐かしい、そんな料理でした。(オーダーはアジア・エキスパートのVoyage2Artさんにお任せだったので、料理の名前はさっぱり覚えていません…。)
ロンドン音楽ブログ界の重鎮だったかんとくさんの帰国を皆で惜しみつつ、いつものごとく音楽・オペラ・バレエ談義から、政治経済社会情勢、O2アリーナの屋根歩き、オリンピック、モデルの女の子の口説き方まで、あちゃこちゃ話が飛びまくるのがまた楽しく、あっという間に時間が過ぎてしまった感じです。
決して見つけやすいお店とは言えないのに狭い店内はあっという間に満員で大賑わい。マレーシア料理は東南アジア系料理の中ではマイナーですが、タイとインドネシアと中華をミックスして日本人の好みそうなところだけを取り出したような、変わっているけどすんなりと口に合う、新しいけどどこか懐かしい、そんな料理でした。(オーダーはアジア・エキスパートのVoyage2Artさんにお任せだったので、料理の名前はさっぱり覚えていません…。)
ロンドン音楽ブログ界の重鎮だったかんとくさんの帰国を皆で惜しみつつ、いつものごとく音楽・オペラ・バレエ談義から、政治経済社会情勢、O2アリーナの屋根歩き、オリンピック、モデルの女の子の口説き方まで、あちゃこちゃ話が飛びまくるのがまた楽しく、あっという間に時間が過ぎてしまった感じです。
かんとくさんは帰国後もしばらくはブログを続けられるとのことで、ネット上での交流は今までと変わらず続くものと期待しています。かんとくさんが抜けられてちょっと寂しくなったLondon weblog会、次回は未定ですが、我こそはと思う方は是非ブログを立ち上げ、お気楽にご参戦ください。
PROMS 2012 ブッキング ― 2012/05/12 10:00

今年は今日の朝9時からブッキング開始でした。例年通りProms Plannerで先にリストアップしておき、サイトに繋がったら一気に購入します。今年は9時6分ごろやっとWaiting Roomに入ることができ、すでに1450人待ち。昨年は820人待ちだったから、今年はちょいと出遅れました。それでも9時40分にはサイトに入れて、ピックアップした9演奏会のチケットをほぼ希望通りにゲットし、53分に無事脱出。ほっ。
PROMSも立見じゃなければけっこう安くなくて、家族で出かける分もあるので、今年は目玉の演奏会がそんなになかったはずなのに、気付けば去年よりもだいぶ多く出費してしまいました。ともあれ、運が良ければ皆様また会場でお会いしましょう。
PROMSも立見じゃなければけっこう安くなくて、家族で出かける分もあるので、今年は目玉の演奏会がそんなになかったはずなのに、気付けば去年よりもだいぶ多く出費してしまいました。ともあれ、運が良ければ皆様また会場でお会いしましょう。

We Will Rock You - The Musical by Queen and Ben Elton ― 2012/04/28 23:59
2012.04.28 Dominion Theatre (London)
We Will Rock You - The Musical by Queen and Ben Elton
Noel Sullivan (Galileo Figaro), Emma Hatton (Scaramouche)
Brenda Edwards (Killer Queen), Alasdair Harvey(Khashoggi)
Wayne Robinson (Brit), Rachel John (Meat)
David Gwyn (Rebel Leader), Dean Read (Pop)
今年10周年の人気ミュージカル。クイーンファンのはしくれとして、一度は見とかなくてはとずっと思いつつもなかなかチャンスがなく(時間がなかったというよりは、オケ、オペラ、バレエへの投資を優先していたからなんですが)、ようやく見に行けました。
会場はトテナム・コートロード駅を出て目の前のドミニオン・シアター。エントランスの上に巨大なフレディ像があるので非常に目立ちます。中に入ると結構古くさい劇場。コリーシアムよりもさらにくたびれてる感じです。席はストールの後方(WW列)だったのですが、上階席の天井が思いっきりかぶさっていて圧迫感があり、舞台の上のほうは一部見えないものの、鑑賞に支障があるほどのものではありません。実はチケットを取る際、ロンドンに来たてのころホールの席選びで大いに勉強になったTheatremonkey.comのコメントを今回も参考にさせてもらいました。そこにもあるように、このクラスのチケットでは一つ前のVV列のほうがベターでしょう。というのは、何故だかわかりませんがVV列のさらに前の3列分くらい、一人も座らずごそっと空いていて視界良好だったからです。多分高いチケットの最後尾なので売れないんでしょう。
We Will Rock You - The Musical by Queen and Ben Elton
Noel Sullivan (Galileo Figaro), Emma Hatton (Scaramouche)
Brenda Edwards (Killer Queen), Alasdair Harvey(Khashoggi)
Wayne Robinson (Brit), Rachel John (Meat)
David Gwyn (Rebel Leader), Dean Read (Pop)
今年10周年の人気ミュージカル。クイーンファンのはしくれとして、一度は見とかなくてはとずっと思いつつもなかなかチャンスがなく(時間がなかったというよりは、オケ、オペラ、バレエへの投資を優先していたからなんですが)、ようやく見に行けました。
会場はトテナム・コートロード駅を出て目の前のドミニオン・シアター。エントランスの上に巨大なフレディ像があるので非常に目立ちます。中に入ると結構古くさい劇場。コリーシアムよりもさらにくたびれてる感じです。席はストールの後方(WW列)だったのですが、上階席の天井が思いっきりかぶさっていて圧迫感があり、舞台の上のほうは一部見えないものの、鑑賞に支障があるほどのものではありません。実はチケットを取る際、ロンドンに来たてのころホールの席選びで大いに勉強になったTheatremonkey.comのコメントを今回も参考にさせてもらいました。そこにもあるように、このクラスのチケットでは一つ前のVV列のほうがベターでしょう。というのは、何故だかわかりませんがVV列のさらに前の3列分くらい、一人も座らずごそっと空いていて視界良好だったからです。多分高いチケットの最後尾なので売れないんでしょう。

ちなみに、WW列から見たステージはこんな感じです。
ミュージカルは当然クイーンの楽曲のみで構成されていて、休憩含めて3時間くらいと、結構長いです(でもオペラを思うと普通か)。あらすじは、
遠い未来、キラー・クイーン率いる巨大企業グローバル・ソフトに支配された地球で、ボヘミアンと名乗る反乱分子が地下活動(アジトは廃墟となったトテナム・コートロード地下鉄駅)を続けている最中、少年ガリレオと少女スカラムーシュが出会い、ボヘミアン達と共に伝説のロックバンド・クイーンが残した楽器を探す。ついに見つけた伝説の地で石の中から出現したブライアン・メイ・スペシャルモデルのギターを弾くとキラー・クイーンは倒れ、人々に自由が訪れた、めでたしめでたし、「伝説のチャンピオン」大合唱。ボヘミアン・ラプソディも聴きたいかい?
という、まあたわいもないもの。曲のセットリストは以下の通りです。
Act I:
1. Innuendo
2. Radio Ga Ga
3. I Want to Break Free
4. Somebody to Love
5. Killer Queen
6. Play the Game
7. Death on Two Legs (instrumental)
8. Under Pressure
9. A Kind of Magic
10. I Want It All
11. Headlong
12. No-One but You
13. Crazy Little Thing Called Love
14. Ogre Battle (instrumental)
Act II:
15. One Vision
16. Who Wants to Live Forever
17. Flash
18. Seven Seas of Rhye
19. Fat Bottomed Girls
20. Don't Stop Me Now
21. Another One Bites the Dust
22. Hammer to Fall
23. These Are the Days of Our Lives
24. Bicycle Race
25. Headlong (reprise)
26. Brighton Rock solo (instrumental)
27. Tie Your Mother Down (instrumental)
28. We Will Rock You
29. We Are the Champions
Encore:
30. We Will Rock You (fast version)
31. Bohemian Rhapsody
ぱっと見、後期の曲に偏ってるかも、と思ったのですが(まあどこからが「後期」かという議論はあるものの)、実際に初出のアルバムごとに集計すると以下のようなところでした(2回出てくるHeadlongは1回として数えてます)。
2 Queen II (1974)
2 Sheer Heart Attack (1974)
2 A Night at the Opera (1975)
2 A Day at the Races (1976)
2 News of the World (1977)
3 Jazz (1978)
1 Live Killers (1979)
3 The Game (1980)
1 Flash Gordon (1980)
1 Greatest Hits (1981) or Hot Space (1982)
3 The Works (1984)
3 A Kind of Magic (1986)
1 The Miracle (1989)
3 Innuendo (1991)
1 *Single (1997) or Greatest Hits III (1999)
これを見ると、一つのアルバムからの選曲は最大3曲に止め、ほぼ全てのアルバムから選出して、どの世代のファンからも支持されたい(逆に言うとソッポを向かれる世代がないように)という全方位的な気配り、別の言い方をするとマーケティング戦略が感じられます。ただ、ファーストの「Queen」と、ある意味ラストの「Made in Heaven」からの選曲が1つもないのは残念で、どうせなら"Keep Yourself Alive"とか"I was born to love you"も押し込んで欲しかった、とは思います。
ロックミュージカルなので音量はロックコンサートと同じと思ってください。普段クラシックのみを聴き慣れた耳になっている人には、音が大き過ぎて絶えられないかもしれません。ミュージシャンは、よく見えなかったのですが舞台左右の櫓の上で分かれて演奏していました。クイーンの楽曲がほぼ原曲そのまんまのアレンジで、ギターソロ含めクイーンサウンドを涙ぐましいくらい忠実に再現しているのが嬉しかったですが、これも当然ファンの涙をしぼる戦略なんでしょう。後であらためてパンフに書いてあったバンドメンバーを見てみると、キーボードにSpike Edney、ベースにNeil Murrayの名前が。何と!モノホンじゃないですか。スパイクは長年ツアーのサポートをやっててほとんどクイーンの準メンバーですし、大御所ニールもブライアン・メイ・バンドでクイーンの曲は相当演奏しています。この日の公演にその人達が実際ピットに入っていたかは確認できませんでしたが(彼らもそんなにヒマじゃない気がする)、このミュージカルがバックバンドの充実を重要視している姿勢はたいへんよくわかりました。
歌手は、もちろんフレディと比較してどうのこうのいうのは野暮として、皆さんさすがにちゃんと「歌える」人が揃ってました。そりゃそうだわな、でないとクイーンの楽曲でミュージカルを構成するというアイデア自体が成り立たないもの。中でもKiller Queen役の人は恰幅の良い黒人女性でしたが、腰の据わった声とコミカルな演技が特筆ものでした。出番が少ないわりに美味しい場面ばかりなのも、おトクな役柄だったでしょう。
クイーン好きなら、まあ一度はご覧になっといて損はないミュージカルです。私も、また見てみたいと思いました。もちろん、本当は本家のクイーンのライブを見れればなあ、という無い物ねだりなんですけどね…。ところでいつもオペラ座や演奏会に頻繁に連れて行ってるうちの娘も、このミュージカルはたいへん気に入ってしまって、「次から私はミュージカルがいい、オペラとかコンサートはもうヤダ」などと抜かしておるので、両親ピンチ、です…。
おまけ。スイスのモントルーにあるフレディの像。
NAGOMI(和食・ラーメン) ― 2012/03/20 23:59
先日開店したばかりの麺屋一点張は、再度行ってみましたら、麺が少し硬めに茹でてあったので、まあこれなら許せる範囲かな、あまり贅沢勝手なことばかり言っていてはいけないのかな、と思い直しました。あらためて思いましたがスープはよく出来ているので、皆様もまずはお試しください。
さて、ロンドンで他にラーメンはないものかと思って評判を探り、見つけたのがNAGOMI。時間があったのでちょっと行ってみました。12時ちょっと過ぎに入ったのですが、店内はすでにほぼ満席、人気のお店のようです。ラーメンは醤油と豚骨から選べます。豚骨を頼むと、麺は細麺か太麺かと聞くので、豚骨と言ったら細麺に決まっとるばい、と細麺を選択。お昼のラーメンセットは他にお茶と揚げ餃子がついてきます。〆て12ポンド也。
さて、ロンドンで他にラーメンはないものかと思って評判を探り、見つけたのがNAGOMI。時間があったのでちょっと行ってみました。12時ちょっと過ぎに入ったのですが、店内はすでにほぼ満席、人気のお店のようです。ラーメンは醤油と豚骨から選べます。豚骨を頼むと、麺は細麺か太麺かと聞くので、豚骨と言ったら細麺に決まっとるばい、と細麺を選択。お昼のラーメンセットは他にお茶と揚げ餃子がついてきます。〆て12ポンド也。
豚骨ラーメン、英語メニューでは“soup made from pork and chicken”と書いてあったのでそんなに期待はしてなかったのですが、見た目は白濁スープながら、豚骨臭さは一切なく、何のスープか実際よくわからず。最初から胡麻と胡椒をたっぷり入れてあるので、正直、味がごまかされています。量は、桂花のこたろうめんよりも少ないくらいの少量でした。麺は一応博多風の細い麺でしたが、カタメン、バリカタ、など、茹で加減なんかここで議論してもしょうがないかな、と最初から諦めモード。
別に、こんなもんはラーメンじゃねえ、とちゃぶ台ひっくり返すようなものではありません。しっかり最後までいただきました。ロンドンというラーメン不毛地帯の環境の中では、何とかマトモなモノを作っていると言えるかもしれません。SetoやWagamamaよりははるかにましです。しかし、スープも麺も、課題に正面から向き合わない逃げの姿勢があからさまに感じられて、私は好感を持てませんでした。ここはあくまで和食がメイン、ラーメン屋さんではないから、それもいたしかたなしかな、と。
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