BBC響/エルダー:20世紀幕開けの薫り、室内交響曲と大地の歌 ― 2025/05/23 23:59
2025.05.23 Barbican Hall (London)
Sir Mark Elder / BBC Symphony Orchestra
Alice Coote (mezzo-soprano-2)
David Butt Philip (tenor-2)
1. Schreker: Kammersymphonie (Chamber Symphony)
2. Mahler: Das Lied von der Erde (The Song of the Earth)
前日に続く「久々」シリーズ、今日は12年ぶりのバービカンです。こちらも前のショップは閉鎖されて別のオープンスペースに移転していましたが、他の雰囲気はシャビーなトイレも含めて昔のまま、懐かしいです。
シュレーカーは自分には馴染みのない作曲家で、世代的にはシェーンベルクとベルクの間、あるいはラヴェルとバルトークの間に位置するので、もっと聴いていてもよさそうですが、記録を辿ると過去には2010年のBBCプロムスで小曲を1つ聴いただけでした。その退廃的な作風は世紀末の時代を反映したもので、それゆえ生前から名声を得ていたものの、ナチスドイツの台頭もあり表舞台からの退場を余儀なくされた後は、上で挙げた強烈な人々と比べると「時代のふるい」にかけられてしまったのかな、という気がします。最も演奏頻度が高いと言われる「室内交響曲」ですら私は初めて聴く曲で、刺激少なく静かに流れていく繊細な音楽に、長い出張の疲れもあってつい爆睡。
休憩中に恒例のアイスクリームを食べ、気を取り直してメインの「大地の歌」は、他のマーラー交響曲と比べると苦手で、聴いた回数も少ないです。前回聴いたのは2017年のインバル/都響ですから8年ぶり。ステージ上のメンバーを見ていて、トランペットにフィリップ・コブと思しき奏者が座っていたのでプログラムで確認すると、まさにその人でした。LSOから移籍したんですね。前のロンドン赴任でLSOを聴きまくっていたころはコブもまだ20代前半だったかと思いますが、そのシャープでブレない圧巻のトランペットに毎回感服したものでした。今日の「大地の歌」ではそんなに見せ場がないのが残念。しかし、LSOからBBC響への移籍はどっちにせよホールがバービカンなので、ファンやリスナーからしたら遠くに行かなくて一安心かもしれません。
冒頭のホルンが返す返すも惜しかったですが、やっぱりBBC響は安定して上手いオケです。要となるオーボエ、コーラングレも惚れ惚れするくらい完璧。オケでもオペラでも幅広いレパートリーを誇る仕事人指揮者、マーク・エルダーのリードは予想通りスコアに忠実で全体的にクールな印象でしたが、マーラーの他の交響曲だと多分物足りないものの、この曲はこれでよいんでしょう。なお、今はフルートに一人日本人メンバーがいらっしゃるようです。
テナーのデイヴィド・バット・フィリップは一昨年の東京春祭で「マイスタージンガー」のヴァルター役を聴いたばかりですが、今がまさに最盛期のようで、ハリのある声と情熱的な歌唱がたいへん良かったです。メゾのアリス・クートを聴くのは2回目で、前回も何と「大地の歌」、2011年のマゼール/フィルハーモニア管でした。このときのマーラーチクルスは交響曲全集としてCD化されていますが、「大地の歌」と同日収録の第10番アダージョは全集から除外されてしまい(CD化に適さないクオリティとダメ出しされたもよう、確かにテナーは酷かったが録り直せばよかったのに)、今となっては演奏を確認できないのが残念です。備忘録を見ると、ぶれることなくしっかりとした歌唱で声も出ていた、と書いていましたが、今回もその印象はほぼ変わらず、高音域がよく通る美声に、静かに情念を燻らせるような堂々とした歌唱が素晴らしかったです。ただし、苦手な曲はやっぱり苦手、なかなか自分の琴線に触れる演奏に巡り会うことはかなわないですねー。
おまけ。ポスター思わず買いたくなりました…。
コメント
_ 守屋光嗣 ― 2025/07/27 14:45
_ Miklos ― 2025/08/01 00:56
ご連絡できず、すいません。
ヤクブ・フルシャは都響への客演で何度か聴き、良い指揮者だと思いましたが、オペラは未知数です。確か、ウィーン国立歌劇場に急に呼ばれたので都響の客演をキャンセルしたことがあったかと思いました。今後引く手数多になる前に、ロイヤルがいち早く囲い込んだのかな、と思いました。
お披露目公演は、ネトレプコのトスカですか、あるいはその後のオケ公演のことでしょうか?前者が売れ残っているとしたら意外ですが、ネトレプコが嫌われているのか、あるいはネトレプコ✖️トスカの「いまさら感」でしょうか。後者はプログラムが地味ですねえ。せめてバルトークの「役人」が組曲でなくて全曲版なら聴く価値ありと断言できるのですが。
ヤクブ・フルシャは都響への客演で何度か聴き、良い指揮者だと思いましたが、オペラは未知数です。確か、ウィーン国立歌劇場に急に呼ばれたので都響の客演をキャンセルしたことがあったかと思いました。今後引く手数多になる前に、ロイヤルがいち早く囲い込んだのかな、と思いました。
お披露目公演は、ネトレプコのトスカですか、あるいはその後のオケ公演のことでしょうか?前者が売れ残っているとしたら意外ですが、ネトレプコが嫌われているのか、あるいはネトレプコ✖️トスカの「いまさら感」でしょうか。後者はプログラムが地味ですねえ。せめてバルトークの「役人」が組曲でなくて全曲版なら聴く価値ありと断言できるのですが。
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一気に挙げられたポスト、全て読みました。僕には無縁のフィールドなので音は想像できませんが、書かれる側のpassionが感じられます。
ヤコブさんのお披露目公演、たくさんチケットが残っています。演目をどう判断していいのかわかりませんが、行ってみたほうがいいでしょうか?
恨み言は別に。