小澤征爾の思い出2024/02/10 23:59

昨日の小澤征爾氏の訃報に接し、まずは心より哀悼の意を表します。
まだまだこれからという時に、というわけでもなく、とうとうこの時がきたか、という思いではあります。

自分がクラシック音楽を聴き始めたとき、すでに大スターでした。特に日本では、カラヤン、バーンスタインと肩を並べる三大巨頭として、クラシックが趣味ではない人にも名が知れ渡る人気ぶりでした。

実演を聴くことができたのは2回しかありません。

最初は1981年10月のボストン響との来日公演初日、大阪フェスティバルホールでの「田園」と「春の祭典」という濃いカップリング(これがAプログラム)。正直、細部はよく覚えていませんが、初めて聴いた海外一流オケの圧倒的パワー(特にヴィック・ファース氏の強烈なティンパニ)に感銘を受けました。このとき、田園のスコア表紙に書いてもらった小澤氏と、さらにコンマスのシルヴァースタイン氏のサインは生涯の宝物です。さらには、このときのBプログラムであるウェーベルン「5つの小品」、シューベルト「未完成」、バルトーク「オーケストラのための協奏曲」が、権利にうるさいアメリカのオケとしては珍しくNHK-FMで生中継されており、そのエアチェックのカセットテープも後生大事に持っています。ここで聴いたオケコンがあまりに刺激的で、私のバルトーク好きを決定づける原点となりました。余談ですが、この演奏会では小澤氏が「短い曲なのでもう1回聴いていただきたい」と言ってウェーベルンを2回繰り返すという異例のハプニングも、生放送なのでそのまま放送されていました。


2回目は、長年の因縁と紆余曲折を経て、演奏家へのチャリティーという名目で1995年に実現した32年ぶりのN響との共演。N響との確執はリアルタイムでは知らないので特に関心も感慨もなかったのですが、何より小澤のオケコンが聴ける、というその一点で必死にチケット取りました。演奏会当日の直前に発生した阪神淡路大震災の追悼に「G線上のアリア」が最初に演奏され、ロストロポーヴィチによるアンコールの「サラバンド」が同じく追悼で演奏された後、全員で黙祷し、拍手のないまま散会という異例づくしの演奏会でした。オケ側に固さとミスは多少あったものの、スリリングな緊張感を保った小澤のオケコンは期待通りの感動で、ハイテンションのまま帰路についたのを覚えています。


世が世なら3回目としてチケットを取っていたのが、2012年のフィレンツェ五月祭劇場のバルトーク「中国の不思議な役人」「青ひげ公の城」ダブルビル。前年のサイトウ・キネン・フェスティバルで初演されたノイズム振付・演出のプロダクションをそのまま持ってくる予定だったのですが、小澤氏はこの直前から病気治療のため長期休養に入ることになり指揮をキャンセル。仕方がないとは言え肩透かしを喰らいました。

レコードで好きだったのは、やはり一番アブラが乗っていた1970年代後半から80年代にかけてのドイツ・グラモフォンへの録音で、マーラー「巨人」、プロコフィエフ「ロミオとジュリエット」、バルトーク「役人」も素晴らしかったですが、特にレスピーギ「ローマ三部作」とファリャ「三角帽子」の完成度は、今なお自分の中のリファレンスになっています。

入手困難だった廃盤や自主制作盤が、これを機に再発してくれたら、とは切に思います。その個人的筆頭はボストン響との「青ひげ公の城」1980年ライブ。サイトウ・キネン・フェスティバルの「中国の不思議な役人」「青ひげ公の城」は当時NHK-BSで放送されていたようなので、その再放送もやってくれたらたいへん嬉しいのですが。

ジャガーバックス いちばんくわしい世界妖怪図鑑2016/05/17 23:59

復刊ドットコムに最初にリクエストを出してから、気がつけば15年を超え、ほとんど諦めの境地に達していたところ、ようやく復刊が成りました。


人気アイテムなので、ヤフオク等で活発に取引されていたとは言え(状態極悪のものがほとんどですが)、今日届いたピカピカの新品を手にすると、なんだか感無量です。


そうそうこれこれ、このイギリスの妖怪「モズマ」が、小学生のころトラウマで、思い出すと夜も寝れませんでした。

これからゆっくりと懐かしみつつ熟読します。こいつが出版できたということは、姉妹編の「日本妖怪図鑑」の復刊も近いのでしょう。今から楽しみです〜。(^^)

Boldog Uj Evet!2015/01/01 00:00


あけましておめでとうございます。本年もどうかよろしくお願い申し上げます。

年末年始は京都で過ごす予定が、出発直前に娘が発熱、インフル陽性が出て、帰省自体ふっとんでしまいました。まあしかし、私も妻も年末から体調崩し気味だったので、これも怪我の功名、おかげでのんびり骨休めできてます。

帰国して、はや1年半。テレビでロンドンやヨーロッパの馴染みの風景を見るたび、この中に日常の生活があったのだなあという実感が、日に日に薄れていくのを感じます。一方で、広めの自宅風呂にゆったりと浸かっている時とか、ウォシュレットを使っている時とか、ホイップクリームたっぷりのふんわりしたエクレアをほおばる時とか、あーやっぱり日本はいいなあとしみじみ思う瞬間は数知れず。もちろん、日本に帰って寂しいなと思う瞬間も、スーパーやデパートでろくなチーズ・ハムが買えないときなどいろいろとありますが。ロンドンの、特にあの家には、戻りたいとは決して思いませんですなー。

前にハンガリーから帰国した時は、記憶がもっとヴィヴィッドにいつまでも残っていた気がします。今から振り返ると、ブダペスト生活は楽しかった思い出しかなく、冷静に見てその100倍は便利だったはずのロンドン生活は、がんばって楽しく過ごし、何とか乗り切った日々、と言うほかないです。

もし、世界のどこでも好きなところを選んで暮らして良い、というご褒美がもらえるとしたら、ウィーンに住み、1、2か月に1回ブダペストに行って温泉と食事を堪能し、年に1、2回ロンドンに旅行して買物と観劇に勤しむ、という生活が、この上なく最高と思います。

妄想はともかく、新年にあたり、皆様におかれましては、明るく健やかに過ごされますことを心より祈願しております。

今年もブログ更新は相変わらず滞り気味かもしれません・・・。

なお写真は初日の出でも何でもなく、ちょうど10年前にブダペストで住んでいたフラットのベランダから撮影した冬の朝日です。

MacBookちゃん「Death & Rebirth」、Appleの独善2014/10/26 09:00

2008年の年末位からだから、ほぼ6年連れ添い、その間ロンドンに引っ越したり、ヨーロッパ中を一緒に旅行したり、一時帰国の際ももちろん一緒で、本帰国にも無事ついてきた、我が家のMacBook Proちゃん(Late 2008モデル)が、先週のある朝、お亡くなりになってました。前夜までは普段通り使っていたのに、うんともすんとも動きません。急ぎの仕事があったのでたいへん困ったのですが、それはまあ別の話として。

ここ1年はちょっと使うだけで異常に発熱し、時々熱暴走で勝手にパワーダウンするようになっていたので、時間の問題とは思っていましたが、別れは唐突やってきました…。(T_T)

クイックガレージに持っていくも、ロジックボードの交換になりますが、型が古いのでもう部品の供給が終わっています、と。まあ買い替える覚悟はできてましたので、早速機種の選定に。もう引っ越しもないだろうから今度はiMacにしようと最初は思ったのですが、いろいろ検討したあげく、結局今回もアルミボディMacBook Proの後継機種に落ち着きました。2012モデルなので型落ち感は否めませんが、iMacも含めて現行カタログでこいつが唯一、DVDドライブ内蔵のMacなのでした。中古CDをよく買う私としては、PCに内蔵ドライブがないと不便でしょうがないという判断で。

一昨日到着し、この週末でしこしことセットアップ作業をやっているところです。長年の習慣やくせから、自分なりの環境設定はもうガチガチに決まっており、それをまたゼロから整えていくのは毎回骨の折れる作業です。今回は幸い内蔵HDDには何の問題もなかったので、外付け用の安いケースだけ買ってきて、データは全て無事救出できました。

20数年、自宅で使うPCはMacオンリーですが、今回のMacBookで5代目。

Macintosh IIsi
Power Macintosh 7100/80AV
iMac G4 (2002 17" Flat Panel)
MacBook Pro (Late 2008 15")
MacBook Pro (Mid 2012 13") ←いまここ

Macのソフトはそんなに早く陳腐化しないし、ハードも意外と長持ちするので、うちの場合5〜6年は使い続けるのが標準です。しかし、今後もどこまでMacと付き合い続けられるか。昨今のAppleの独善的なやり方には、頭にくることしばしばですので。

例えば、

(1) CD/DVDドライブ内蔵モデルの廃止
音楽・映像はiTunes Store、ソフトはApp Storeからオンラインで入手せよ、他の道は提供しません、という押し付けですよね。私は中古CDをコツコツ集めてiTunesのライブラリにしこしこと読み込ませることでこの膨大なライブラリを構築してきたので、音楽がオンラインオンリーになったらたいへん困ります。

(2) iTunesの「ジャンル名」勝手にローカライズ問題
iTunesでこのアルバムのジャンルは「Rock」だと入力しても、しつこく「ロック」に戻されてしまう。しかも動作が完全ではなく、戻るものと戻らないものがある!一方、iTunes創成期は逆にジャンル名が英語のみだったわけで、その頃からのライブラリをずっと引きずっている者としては、ある日突然押し付けられたこの変な仕様は未だに全く理解不能だし、心底邪魔です。

(3) Mail.appで送信メールの文字エンコードをAsciiかUnicodeに限定(ユーザが設定で変更できない仕様になった)
メジャーなメーラーはUnicodeに対応しているから問題ないということでしょうが、長年いろんな国の人と電子メールのやり取りを行ってきた実感として、相手に合わせた文字コード選びができないメーラーなんて、気持ち悪くて使えません。


こういった、長年抱えている微妙な不満も、この際だからと最近の解法をいろいろ調べつつやっていると、復旧作業は益々はかどりません…。

日本のテレビ番組2013/11/15 23:59

ロンドンではJSTV(欧州域唯一の日本語放送局)は契約せず、ローカルのケーブルテレビだけ契約していましたが、結局日常テレビを見ることはほとんどありませんでした。日本に帰ってきてもリアルタイムの放送を見ることはあまりなくて、ブルーレイレコーダで録画したものを夜中や週末にしこしこと見ていますが、これがなかなか面白い。空白の浦島期間を取り戻すのに多少は役立ってます。

今、家族で毎週ゲタゲタ笑いながらハマって見ているのが2シーズン目の「リーガルハイ」。ぶっとんだ演出と、クサい寸前でホロリとさせるオチを毎回周到に用意している調和的な脚本も見事です。

同じ堺雅人主演で大人気だった「半沢直樹」も、時代劇ばった重厚な作りに思わず見入ってしまいましたが、私的には「リーガルハイ」のほうが後腐れなくてずっと面白い。昨年のシーズン1も、がぜん見たくなりました。

ロンドンでも評判は聞いていて、ようやく見れた前のNHK朝ドラ「あまちゃん」。薬師丸ひろ子と小泉今日子の共演というだけで「これは必見」と思ってしまう世代ですが、実際小ネタのちりばめられた、変わった朝ドラでした。これもたいへん面白く、最終2週あたりのたたみかける展開には感心したのですが、7月半ばという後半過ぎてから見始めたので、その後で総集編などを見ていると、一番よい時期を見逃してしまった感がどうやらします。

で、今やってる朝ドラは「ごちそうさん」。超変化球の前作から一転、ストーリーは大阪製作朝ドラのクラシカルなパターンに戻ったのですが、結局惰性で見続けてます。こちらは「あまちゃん」と比べて出演者に正直魅力はないのですが、ドラマの主題でもある「食」のシーンが非常にそそられます。

食事ネタドラマでは、夏シーズンにTV東京でやってた「たべるダケ」をたまたま見かけて、そのまま毎週見てしまいましたが、問題は出てくる食事が「究極の一品」に映らなかったのと、食べるシーンがお世辞にも上品には見えなかったこと。これは、フードコーディネーターの力量の差なんだろうかと。

「リーガルハイ」の真裏で視聴率に苦戦しているらしい「ダンダリン・労働基準監督官」は、会社の労務担当の人が「見るべき」と言うので録画して見てますが、確かに、空気はヌルいですがけっこう面白い。原作の漫画を読んでないので、先行きが気になるドラマであります。

ドラマはこれ以上見ていると生活が破綻するので、あとは気楽に早送りしながら見れるバラエティ。東京MXの看板番組「ニッポン・ダンディ」は水道橋博士と高橋ヨシキの金曜日のみ見てます。映画秘宝的な蘊蓄は私の大好物、毎週目が離せません。

「マツコ&有吉の怒り新党」は、最後の「新・三大○○」コーナーがサブカル魂全開で面白いので、ここだけ欠かさず見てます。こないだは「新・三大ジョン・ケージ 音楽の常識を覆した楽曲」というのをやってて、そんなネタまで引っ張り出すかと感心しました。

「ベストヒットUSA」、まだ続いているという事実に驚きです。日本のチャートはもうさっぱりわからないですが、世界では今どんなのが流行っているのだろうかと、刺激になります。これすら見なくなったら、ただの懐メロオヤジ一直線ですから。

「世界の日本人妻は見た」というのがこの4月から始まっていましたが、先日のロンドン編では、観光番組ではまず映らないだろうけどめちゃめちゃ馴染みのある風景がいろいろ出てきて、懐かしかったです。

「ジェイミー・オリヴァーの30分クッキング」なんて番組を、妻が今更のように見ております。まあ、吹替えだからわかりやすいというのもありますが、ロンドンで見とけよと。日本じゃ手に入りにくい食材もいっぱい出てきますし。

NHK BSのクラシック中継番組、プレミアムシアターは貴重なライブをいろいろやってくれるので重宝します。先日も、ロイヤルオペラの「湖上の美人」とか、佐渡裕/パリ管など、今年生で見た公演をフルで放送してくれたので、有り難く記念に録画。昔と比べて放送の頻度がだいぶ減ったのが残念です。NHKのクラシック専門ページを見てもテレビ番組がだいぶ品薄になってますが、あんさんとこががんばってくれんと日本の音楽番組は滅びるで、と、エールを送りたいです。

演奏会から足が遠のいてしまう理由2013/10/27 01:00


1ヶ月以上あいてしまいました。帰国後何かとずっと忙しいというのもありますが、元々演奏備忘録の写真付きバージョンのようなつもりで書いていたブログなので、演奏会に行かないとめっきり筆無精になってしまいました。

一昨日は池袋まで慶應ワグネルソサイエティオーケストラを聴きに行く予定だったのですが、台風27号の影響で帰宅の時間帯にちょうど大雨になるという予報を見て、先日の26号のときの電車の乱れ具合を思い出し、終演ごろにあんな事態になると帰れなくなってしまうので、大事を取って断念しました。結果的には、最後まで聴いていても多分全然問題なく帰って来れたと思いますが、まーしゃーないです。原因は違いますが、今度のハーディング/新日フィルのマーラー第7番も、チケット買ってたのに仕事の都合で行けそうにないし、音楽生活は一気にプアになってしまいました…。

演奏会に前ほど足繁く通えない要因は何だろうかと、可能性を真面目にいろいろと考えてみました。私の意見なんで、主にフルオーケストラについての考えです。

アーティストの質が低い:
これはホンネで言って、その通りかと。アヴェレージで見てロンドンとは比べ物にならないのは、言っても仕方がないところ。ただしこれは覚悟していることだし、心打たれる「音楽」に遭遇するにも、まずは聴きに行かないと始まらないと思っているので、アーティストの質は大きな要因ではないかなあ。

チケットが高い:
LSOをかぶりつき3千円、ベルリンフィルでも6千円で聴けていたのと比べたら、そりゃー日本のチケットは高いと言わざるをえない。しかし、チケット価格の絶対値よりも、ほとんどがS席になっているようなふざけた価格設計のほうに憤りを感じます。お金をフンパツすれば良い席に、節約すればそれなりの席に、奏者や曲目への思い入れに応じてリーズナブルなチョイスができるきめ細かい価格設定は、欧米ならどこでも普通にやってることと思いますが、日本はどうしてこうもぼったくり体質なのだろう。

チケットが探しにくい:
ロンドンでは毎年春先にバービカン、サウスバンク、ROH、ENOあたりの年間スケジュールとBBCプロムスをチェックしとけば、ローカルに外タレ含めて1年半先くらいまでのコンサート予定をほぼ全て決められて、しかも一気通貫でチケットも買えて良かったのですが、東京ではどうやったら良いんでしょう?各ホール、各楽団のホームページでチェックしても、情報が探しにくい上に、あまり先の予定は載ってないし、チケットも買えない。チケットは大概チケット販売専業サイトで買うことになりますが、チケット屋ごとに持っている席が違うのが腹立たしい。より良い席を求めて毎回いちいち全てのチケット屋サイトをチェックして回れと言うの?ロンドンだと、例えばLSOのチケットはLSOとバービカンどちらのサイトからも買えましたが、データベースは同一でした。

チケットのリターンができない:
予定が変わって行けなくなったチケットを無駄にしないため、手数料を払って交換やリターンができるシステムはヨーロッパでは一般的でしたが、日本では一切返品交換不可、個人的に売買するしか手がないみたいです。このリスクが「とりあえずチケットを買っちゃう」マインドを著しく下げているのは間違いない。

演目が面白くない:
実のところ、一番の要因はこれかも。どのローカルオケも、どの外タレも、毎シーズン判で押したような定番人気曲プログラムばかり。日本人作曲家の新作ばかり集めたようなチャレンジングな企画もあるにはありますが、両翼に振れ過ぎです。別に振れてもいいんですが、普段の定期演奏会も、もっと保守と革新のバランスが取れた選曲にできないものでしょうか。単に私の趣味が偏っているだけかもしれませんが、実際、そそられるプログラムがほとんどないのだから仕方がない。

ホールの音響が悪い:
NHKホールや国際フォーラムのように元々コンサートホールじゃない場所は除き、東京のホールのレベルはむしろ高いでしょう。ロンドンでもロイヤルフェスティバルやロイヤルアルバートの上のほうの席は酷いもんでしたから、それに比べたら日本のホールの平均点はまだましなんじゃないでしょうか。

ホールのアクセスが悪い:
幸い、今の職場からは東京・川崎の主要ホールで行きにくいところはありません。

時間がない、仕事が忙しい:
これも大きな阻害要因ですが、そもそもチケットを買えてないので、これが一番とは言えませんなー。本当にその気があれば、忙しい中にも何とか時間をやりくりして通うのは十分できることです。

開演時間が早い:
平日、ロンドンのころよりも退社時間は遅く、開演時間は早くなってますので、余裕がないのは確かですね。せめて7時半にしてくれないかなあ…。

ということで、オチはないですが、冒頭の写真はもっと脈絡なく、ニューヨークのエイヴリ・フィッシャー・ホールです。

山羊チーズはお好き?ブログのタイトルについて。2013/09/23 22:29

別に山羊チーズが苦手ということではなく、むしろ好物なのです。

日本と比べると、場所によっては信じられないくらいホームと電車のギャップがあいている、ロンドンの地下鉄ではお馴染みの「Mind the gap.」というアナウンス。これをもじって何かタイトルをつけようかと思ったけど、「Mind the culture gap」じゃありきたりで、ググると実際そんなフレーズはゴマンと使われてました。「Mind the Jap」は品がないし、意味不明。「Mind the gallop」というのも考えたけど、これもナンセンス系。ということで、あまり妙案も思いつかず、「g」だけ合わせて「Mind the goat cheese」にしてみました。

山羊チーズはロンドン生活でハマったものの一つです。フランスのシェーヴルと違って、よく売ってるイングリッシュ・ゴートチーズはチェダーのようなハードタイプ。正直、これはそのまま切って食べてもあまり美味しいと思わなかったのですが、ある日チーズトーストにしてみたら、熱を加えることで花開く風味、ほどよいとろけ具合、浮き出る油脂分が含む絶妙の塩加減、それらの見事なアンサンブルがど真ん中でツボにハマりました。

以後チーズトーストを作るときは必ずゴートチーズを使っていたのですが、ハードタイプのゴートチーズは日本ではまずお目にかかることはなく、帰国後はとんとごぶさたしております。まあ、それは最初からわかっていたこと、過去を振り返っていてもしゃーない、前向きに行きましょう、という思いをこめたのがこの「Mind the goat cheese」です。

ハードのゴートチーズは予想通り入手困難ですが、もう一つ、日本に帰ったらなかなか手に入らないだろうと思っていた私の好物が、アイリッシュウイスキー。昔はそんなの見たことなかったと思うのですが、今やJamesonやTullamore Dewが近所のサミットやヨークマートにも普通に置いてあり、時代の変化に愕然としました…。

話はがらりと変わりますが、東京ステーションギャラリーで開催の「大野麥風展」、行こう行こうと思いながらもなかなか行けず、ふと気付けば今日がもう最終日でした…。がちょーん。ショック大魔神。ブログのネタを一つ逃してしまいましたよ…。

こちら退屈なロンドン、最後の発信です。2013/06/25 23:59




このたび日本に完全帰国することになりましたので、もうすぐロンドンを離れます。月に何度かしか更新しないルーズなブログでしたが、読みにきてくださった方々、コメントをくださった方々、weblogの会でわいわいやらせていただいた方々、本当にどうもありがとうございました。最後まで好きになれなかった国イギリスですが、ロンドン生活は結局、そう退屈なものではありませんでした。


書きかけの文章がまだ少し残っているので、そのうちこっそり追加・更新すると思いますが、とりあえず「London Boring」ブログはここまで、とさせていただきます。世間はTwitterやFacebookなるものが席巻しているようで(これらももう古い?)、ちまちまブログを書いている人はめっきり少数派になってしまった気がしますが、まとまった文章として記録を残しておくというこのスタイルが自分の性に合っているので、帰国後落ち着いたらまた何らかの形でブログは再会するつもりです。その時までしばしお別れ、皆様もどうかお元気でお過ごしくださいまし。


Miklos 拝


年末のバラ・マーケット2011/12/29 23:59

年末の買い出しに、バラ・マーケットへ久々に行って来ました。今年は29〜31の3日間しか開いてないので、早速買い出しの人々と観光客で賑わっていました。



残酷ではありますが、兎、鳩、雉、家鴨などが締めてそのまま吊るされているのも、日本ではまず見ることがないヨーロッパの風物詩ですね。


ここに来ると定番なのは、まず入り口左側のスペイン食材屋に行き、生ハムを注文。100gあたり6〜20ポンドくらいで、種類とグラム数をオーダーし、手作業で丁寧に切って行くので、長いときは40分待ちなどと言われます。今日は10ポンドの黒豚と15ポンドのイベリコ豚を100gずつ注文、まだ朝だったので6分待ちで済みました。

昨年行ったときに買ったフレンチ食材屋の白ソーセージは、今年まだ一度もお目にかかっていません。今日もフレッシュなソーセージは入荷してなく、もう作ってないのかも。本場ミュンヘンで食べたどの白ソーセージよりもおいしかったのに、かなし…。

生フォアグラの塊は、今年はフレンチ屋ではなく奥の禽類専門店で買ってみました。値段はフレンチ屋の約半分。ただしグースかダックかと聞くと、残念ながら全てダックとのこと。まあ、フレンチ屋のだってダックでしょう(フランスで一般的に食べられているのはダックのフォアグラですが、ハンガリーではグースが一級品、ダックは二級品でした)。一つ600gとちょっと小ぶりだったので、つい勢いで2個も買ってしまい…。身体に悪いのはわかっているんですが、日本に帰ったら食べられないと思うと、つい気が緩みます。


小腹がすいたので、前から気になっていたラクレットを食べてみました。お昼前でしたがすでに長蛇の行列が。茹でたジャガイモにピクルスを添えて、天火で焼き溶かしたラクレットチーズを削って乗せただけの料理です。そりゃあチーズのおこげは美味しいのですが、じっくりと熱を入れて溶かしてないので、すぐに冷えて固まってきます。ジャガイモも茹で過ぎ。これで5ポンドはちと高いぞ。同じ店でチーズのホットサンドも売っていて、こちらも5ポンド。溶けたチーズから出て来た大量の脂がパンによく染みて香ばしく、こちらのほうがまだ美味しかったです。が、カロリーは相当なもんだし、やっぱり5ポンドも出して食べるもんじゃないなあ。家で作ったほうがもっと美味しくできます。

ということで、皆様よいお年を。

Philipsのコードオンリーひげ剃り2011/12/10 23:59

1ヶ月ほど前になりますが、20年ぶりに電気ひげ剃りを買い替えました。下のブルーのが新しく買ったHQ6940という機種です。


上のほうの古いPhilipsは初めてヨーロッパ旅行に行く前に買ったので、かれこれ20年近く前の製品です。全電圧対応なのにロンドンのホテルでは何故か動かなかったのを思い出します。今から思うと、B型のアダプタが必要だったのにC型しか持ってなかったのが原因かも(一見ぴったり入るだけにタチが悪い)。

そう、どちらのひげ剃りもコードオンリー、つまり充電池のないタイプなのです。それ以前に使っていた何台もの電気ひげ剃りは、寿命が充電池の寿命で決まってしまいどれも数年も保たなかったし、急いでいるときに限って充電不十分で困ったことが何度もありました。そこで思い切って充電できないヤツを買ったら、めちゃめちゃ軽いし、キャンプにでも行かない限り電気は必ずあるので使えない事態はなく、たいへん気に入ってしまいました。それ以降20年ずっと現役でほぼ毎日何の問題もなく使ってきたのだから、選択は間違ってなかったわけです。メンテも、ひげが溜まったら開けてブラシで掃除するくらい。下手にアルコールとか超音波とかで洗浄しなかったのが(水洗いなどはもってのほか)さびを防ぐ意味でむしろよかったのでしょう。

しかし、さすがに経年劣化は否めず、モーターの音が年々うるさくなり、剃ったひげがこぼれるようになったり、歯の高さ調整のベルトも切れてしまって、ぼちぼち引退の時期かなと最近思い始めていました。Philipsのコードオンリーのひげ剃りは日本ではずいぶん前からカタログから外れており、買うならヨーロッパにいる今がチャンスということで。

が、世の常として、こういう機械類は昔の製品のほうが得てして作りがしっかりとしています。新しいPhilipsちゃん、確かに音は静かですが、歯の部分のはめ合いが甘くガタガタ動くので、やっぱりひげはこぼれてきます。何だかこいつはそんなに長持ちしないような気がしています。筐体が少し大きくなったのも、コンパクト好きな私としては気に食わない。しかしPhilipsでもコードオンリーはこいつとその後継機種しかカタログになく、選択肢がありません。コードオンリー、私は絶対に良いと思うんですが、世の中の需要はそんなにないんですかねえ…。まあ、20年も買い替えてくれなかったら、メーカーとしては商売あがったりですが。