2012プロムス13:バレンボイム/WEDO:エレクトリック&ディスコ・ミュージック ― 2012/07/24 23:59
2012.07.24 Royal Albert Hall (London)
BBC Proms 2012 PROM 13
Daniel Barenboim / West–Eastern Divan Orchestra
Michael Barenboim (Vn-2), IRCAM (Live Electronics-2)
1. Beethoven: Symphony No. 8 in F major
2. Pierre Boulez: Anthèmes 2 (1997)
3. Beethoven: Symphony No. 7 in A major
前日に続き、ウエスト=イースタン・ディヴァン管のベートーヴェン・チクルス。オリンピックも近づいて、今日は観光バスで乗り付けた団体客が多かったようです(オリンピック観戦+BBCプロムス演奏会付きツアーでしょうかね)。
最初の第8番では、バレンボイムは昨日と比べてだいぶ大雑把で、団員の自発的なリズムに任せるかのような指揮でした。大げさなアゴーギグもなく、昨日のゴツゴツした進行とは打って変わって軽やかなベートーヴェン。今日もコーラス席からの鑑賞でしたが、後ろから見ていてあれっと思ったのはティンパニ。最初、昨日と違ってドイツ式(音の低いほうが右手)で叩いていたので違和感があったのですが、確かにこの曲のティンパニは古典期として画期的で、第1、第3楽章はFとC、第4楽章はFとオクターブ上のFでしかも高速で交互に二度打ちするという特殊な使い方をするので、なるほど第4楽章の演奏しやすさを優先して左からC、F、F(オクターブ上)という配置にしたのね、とすぐに納得。これはこれで器用な奏法ですが、ティンパニ君はそれで飽き足らず、終楽章では本来ないはずのCもいっぱい叩いていました。私は初めて見ましたが、合理的なので、こういう叩き方をする人は他にもいっぱいいそうです。
BBC Proms 2012 PROM 13
Daniel Barenboim / West–Eastern Divan Orchestra
Michael Barenboim (Vn-2), IRCAM (Live Electronics-2)
1. Beethoven: Symphony No. 8 in F major
2. Pierre Boulez: Anthèmes 2 (1997)
3. Beethoven: Symphony No. 7 in A major
前日に続き、ウエスト=イースタン・ディヴァン管のベートーヴェン・チクルス。オリンピックも近づいて、今日は観光バスで乗り付けた団体客が多かったようです(オリンピック観戦+BBCプロムス演奏会付きツアーでしょうかね)。
最初の第8番では、バレンボイムは昨日と比べてだいぶ大雑把で、団員の自発的なリズムに任せるかのような指揮でした。大げさなアゴーギグもなく、昨日のゴツゴツした進行とは打って変わって軽やかなベートーヴェン。今日もコーラス席からの鑑賞でしたが、後ろから見ていてあれっと思ったのはティンパニ。最初、昨日と違ってドイツ式(音の低いほうが右手)で叩いていたので違和感があったのですが、確かにこの曲のティンパニは古典期として画期的で、第1、第3楽章はFとC、第4楽章はFとオクターブ上のFでしかも高速で交互に二度打ちするという特殊な使い方をするので、なるほど第4楽章の演奏しやすさを優先して左からC、F、F(オクターブ上)という配置にしたのね、とすぐに納得。これはこれで器用な奏法ですが、ティンパニ君はそれで飽き足らず、終楽章では本来ないはずのCもいっぱい叩いていました。私は初めて見ましたが、合理的なので、こういう叩き方をする人は他にもいっぱいいそうです。
ティンパニ君は音が良く、なかなかよい奏者でした。
今回のチクルスはプログラムの埋め草にベートーベンの序曲や協奏曲を持ってくるのではなく、ベートーヴェンとは時代も作風も極端に違うブーレーズの作品を組み合わせているところがユニーク。今日は「アンセム2」というヴァイオリン独奏に電気的エフェクトをかけた曲で、従ってバレンボイムの指揮はなし。その代わりというわけでもないですが、演奏はWEDOのコンマス、マイケル・バレンボイム。ステージの前側に横一列に7つ並べた譜面台を端から順番に弾いて行くので、奏者の立ち位置で曲がどのくらい進んだか分かるのが便利です。ヴァイオリンと電子楽器の競演という曲でもなく、あくまで主役はヴァイオリンソロで、その音にエフェクトをかけて元の音に被せていくという趣向のようですが、曲自体はワケワカラン系でした。「アンセム2」という曲名はもちろん英語で言う「anthem」ですが、「anti+thematic」の意味もかけてあるそうで、また電気エフェクトの響き方には偶然性も絡んでいそうです。結構深い曲なのかも。
この立見の大観衆を目の前に一人で演奏するのは、緊張したでしょうね。
休憩後のメインは第7番。昨日から見ていてここまでのバレンボイムは、演奏開始前や楽章間にたっぷり時間を取って汗を拭っていたりしていましたが、第7番は登場するなり拍手も鳴り止まないうちにいきなり振り始めました。あからさまにギアチェンジです。やっぱり細かく拍を刻むのではなくおおらかな指揮でしたが、リズムはノリノリで、楽団員の若さが良い効果となって熱い演奏になっていました。バレンボイムはこの流れを止めまいと、楽章間の間合いをやめ、間髪入れず次に進みます。終楽章の前だけはハンカチでちょっと汗を拭いていましたが。この曲をディスコミュージックと呼んだのはグレン・グールドか、バーンスタインでしたっけ?飛び跳ねながら畳みかけるように終った後、聴衆は前日以上に興奮のるつぼ、異常な盛り上がりでした。
いつも丁寧に奏者を称えるバレンボイム。
コメント
_ 守屋 ― 2012/07/30 14:43
_ Miklos ― 2012/07/31 08:40
守屋さん、ティンパニのオクターブ調律で最も有名なのはベートーヴェン「第九」の第2楽章で、これがやっぱりF-Fのオクターブチューニングです。第8番はそれを先取りしているという意味でティンパニ史的には重要な曲です。ティンパニの「通常の」音域はだいたいこのF-F間にありまして、つまり、高々1オクターブ程度の音域しか出せない楽器なんですよ…。
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Miklosさんと違って楽器についての知識がないのはよくわかっていますが、ティンパニにオクターブの差があるということを全く知りませんでした。