ミハイロフスキー・バレエ/オーシポワ/ワシーリエフ:ドン・キホーテ2013/03/30 23:59


2013.03.30 London Coliseum (London)
The Mikhaillovsky Ballet: Don Quixote
Pavel Bubelnikov / Orchestra of the Mikhailovsky Theatre
Marius Petipa, Alexander Gorsky (original choreography)
Nina Anisimova, Igor Belsky, Robert Gerbek, Kasyan Goleizovsky,
Fyodor Lopukhov (featured choreography), Mikhail Messerer (staging)
Natalia Osipova (Kitri), Ivan Vasiliev (Basilio, a barber)
Marat Shemiunov (Don Quixote), Alexey Kuznetsov (Sancho Panza)
Philip Parkhachov (Lorenzo), Pavel Maslennikov (Gamache, a nobleman)
Evgeny Deryabin (Espada, a toreador), Valeria Zapasnikova (street dancer)
Sabina Yapparova, Anna Kuligina (flower girls, Kitri's friends)
Olga Semyonova (Mercedes), Irina Kosheleva (Queen of the Dryads)
Veronica Ignatyeva (Cupid), Roman Petukhov (Duke)
Alexander Omar, Mariam Ugrekhviladze (solo in Gypsy dances)
Kristina Makhviladze, Alexey Malakhov (Fandango)
Asthik Ogannesian, Anna Kuligina (variations)
1. Minkus: Don Quixote

ミハイロフスキー・バレエの第2弾。今日のプリンシパルはオーシポワ、ワシーリエフの元ボリショイ組。このペアは一昨年の夏にアシュトン版の「ロメオとジュリエット」で見ていますが、当時はまだミハイロフスキーに移籍する前だったんですね。「ドン・キホーテ」は初めて見ますが、飛んだり跳ねたり系のシンプルに楽しいバレエとのことで、全身バネのようなこのペアには打ってつけと思ったら、正に期待以上のもの凄さでした。

オーシポワは開始早々バッタのようにぴょんぴょんと飛び跳ね、息が乱れることもありません(少なくとも私にはそう見えた)。全く軸のぶれない回転は、フェッテの加速が効き過ぎて回転数が足らないどころかむしろ1〜2回は余計に回ってそうな勢いです。終始明るく健康的でスポーティなダンスは、バレエとしてはかなり異形なのかも。表情の作り方など、ほとんどシンクロナイズドスイミングのようでした。お相手のワシーリエフも負けじと、カエルの足のような太股を駆使した跳躍力を発揮し、アクロバットな飛び技を連発。いちいちやんやの喝采を浴びていました。身体能力にかけては本当に超人的なこの人達が息もぴったりに繰り広げるデュエットは他の追従を許さず突出していました。二人にとってもオハコであるし、好きなんでしょう。苦もなく楽しそうに大ワザを決めていく二人を見ていると、この演目をこのペアで見れて本当に良かったとしみじみ思いました。しかしこの人達にも弱点はあって、第3幕のグラン・パ・ド・ドゥでは、もちろんここでも技巧は超人的なのですが、スポーティな凄さだけでは魅力ある踊りを組み立てられないのが露呈してしまったようにも見えました。とは言え、脂の乗ってる今しか見れない、素晴らしい「ドン・キホーテ」であったのは間違いありません。オケは今日もしっかりしていて、ミハイロフスキーは今後も要チェックであると確信しました。


顔だけ見てるとヤンソンスとドゥダメルが並んでいるように見えますな。



踊りはないものの、ドン・キホーテとサンチョ・パンサもいい味を出してました。

コメント

_ 守屋 ― 2013/04/03 06:08

おはようございます。オーシポワへの評価はバレエ・ファンの間でも割れているようですが、書かれていらっしゃるように、「今」の彼女をみられてよかったのではないでしょうか。ご存じないかもしれないですが、デュアトが離れるのは資金提供者だったケフマンが破産したため。オーシポワトヴァシリエフが残るのかどうか気になります。

_ Miklos ― 2013/04/03 10:03

いや、そういう裏事情は全く知らないのですが、要は、資金の要だったスポンサーがいなくなったということですか。見た限り、オーシポワ、ワシーリエフは世界中のどこに行っても食べて行けるでしょうから、あまり心配はないんでしょうね。

_ londonphoto ― 2013/04/09 04:39

そのオシポワ、ロイヤルバレエに入団決まりましたね。まさかまさかの展開で仰天しました。

_ Miklos ― 2013/04/09 05:31

そうそう、私も驚きました。しかも最初からプリンシパルとして入団とは。いくら他所でプリンシパルだったとしても、ロイヤルに入団するときは一番下のアーティストから始めさせるのがルールだったと思ったのですが。

他のバレエ団との関係はどうするんでしょうね。ボリショイからミハイロフスキーに移籍した理由は、いろんなところにゲストで出たいから、というものだったはず。あと、残されたワシーリエフの立場は?この「身体能力ペア」はなかなかお似合いだったので、パートナー解消はもったいないですね。

_ 守屋 ― 2013/04/09 06:31

おはようございます。

>そのオシポワ、ロイヤルバレエに入団決まりましたね
 えっ?来シーズンの「ドンキ」対策でしょうか?旧ソ連、そしてロシアからはムハメドフ以来ではないかと。

>いくら他所でプリンシパルだったとしても、ロイヤルに入団するときは一番下のアーティストから
 これは、ダンサーの力量によりのようです。ラムは、ボストンではプリンシパルでしたが入団時はファースト・ソロイスト。すぐにプリンシパルになりましたが。

_ Miklos ― 2013/04/12 06:02

今のところドンキにはキャスティングされてないようですね。ロホの穴埋め的役割でしょうかね。

ロイヤルに入団するときよそでの過去の実績はキャリーオーバーされない、というのは複数の人のインタビューで読んだ記憶があったのですが、いきなり最初からプリンシパルというのはあまり例のない、最上級の待遇ではないんでしょうか。

_ 守屋 ― 2013/04/12 06:30

最上級の待遇ですが、ダウエルの時にはかなり有ったように思いますし、メイソン女史の時も有りました。

ギエム、アコスタ、コボー、ロホ、ペルッソン(さっさと退団)、サモドゥロフ、マルケス、キッシュ、ボネッリ。

 プリンシパルで入団しても、結局ロイヤル・バレエに合わないこともあり得るというのがバレエの難しさだと感じます。

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
スパム対策で「クイズ認証」導入してます。2020年夏季五輪開催地の日本の首都は?(漢字で)

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://miklos.asablo.jp/blog/2013/03/30/6764378/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。