2012プロムス04:ジョン・アダムズと英米ヤングアーティストたち ― 2012/07/16 23:59
2012.07.16 Royal Albert Hall (London)
BBC Proms 2012 PROM 4
John Adams / Juilliard Orchestra + Orchestra of the Royal Academy of Music
Imogen Cooper (P-2)
1. Respighi: Roman Festivals
2. Ravel: Piano Concerto in G major
3. John Adams: City Noir (2009)
今年もまたBBCプロムスの季節がやってきました。私自身の今年の開幕は、ジュリアード音楽院と英国王立音楽院(RCM:ロイヤルカレッジではなく、RAM:ロイヤルアカデミーのほう)のジョイント学生オケ。このチケットはひとえに「ローマの祭」を聴きたいがために買いました。「ローマの祭」は昔から大好きな曲なのですが「松」「噴水」に比べると実演に接する機会が少なく、記憶をたどると10数年前に新婚旅行のウィーンで聴いたのと(ムーティ/スカラ座管)、その前だと約30年前に京大オケ(指揮は山田一雄だったかと)で聴いたくらいで、生演にたいへん渇望している曲であります。
ジョイントオケだけあって人が多いです。誰がジュリアードで誰がRAMかは区別がつきませんが、男女共たくさんいた東洋系の若者はおそらくほとんどジュリアードで、しかも顔つきから見て日系じゃなく中国系か韓国系でしょう。実際ジュリアード側のコンマスは(後ほどBBC Radio 3の中継で聴いたところによると)韓国系の麗しき女性でした。ちなみにRAM側のコンマスは白人のメガネっ娘美人。この二人が椅子を並べている指揮者の左横に、ほとんど目が釘付けになってしまいました(爆)。
待望の「ローマの祭」は元々が大編成の祝祭的な曲なので、人海戦術が功を奏して祝賀的雰囲気はよく出ていました。ジョン・アダムズは自作以外でどのくらい指揮の実績があるのか知りませんが、大げさにテンポを揺らしてベタベタに仰々しい音楽を作る人のようです。学生オケだししかも慣れないジョイントオケなので反応はあまり良くなく、管楽器のソロも褒められたのはクラリネットくらいで、あとはまだまだって感じでした。ホルンは音を聴くとなかなか良い音を出しているんですけど、ソロは苦手な様子。LSOあたりで、参りましたーとひれ伏すくらい圧巻な「ローマの祭」を一度は聴いてみたいものですけど、そんなチャンスはなかなかありませんなー。
続いてオケは編成をぐっと減らし、イモゲン・クーパーを迎えてのラヴェルのピアノコンチェルト。クーパーは軽くて音の粒が異常に均質化されたシーケンサーのようなピアノでしたが、そのわりには最初ミスタッチが目立ってハラハラしました。第2楽章もある意味珍しいくらいに四角四面の杓子定規なピアノで、面白みを一切感じませんでした。クーパーは2005年にブダペストで一度聴いていますが、そのときの備忘録を読み返すとクーパーのピアノに関してほとんど同じ感想が書かれていて、笑いました。そりゃそうだ、プロとしてポジションを確立している人がそうコロコロとスタイルを変えるはずもないです。小編成の学生オケは、もちろん名門校だから技量的に問題はないんですが(トランペットなどは大したものでした)、各奏者の音の線はまだまだ細く、やけに静かなラヴェルになっていました。
休憩後のメインはアダムズの比較的新しい管弦楽作品「シティ・ノワール」。再び大編成のオケにサックスとジャズドラムが加わり、大都会の退廃とエネルギーをジャズやアフリカンリズムを取り入れながら表現した曲で、作曲の文法は至って古典的、雰囲気はまるで映画音楽のようでした。ジュリアードのような学校の学生オケならば、クラシックの人が片手間にやっているのではない、キレキレのソロを吹くサックスが混じっていてもおかしくないなと勝手に期待していましたが、現実はそんなことはなく。ドラムスも、いやいややってます感がありあり。まあしかし全体としては、まだ評価の定まらぬ新曲にひたむきに取り組む音楽家の卵達は初々しく、応援のエールを惜しみなく送ってしまった夜でした。
BBC Proms 2012 PROM 4
John Adams / Juilliard Orchestra + Orchestra of the Royal Academy of Music
Imogen Cooper (P-2)
1. Respighi: Roman Festivals
2. Ravel: Piano Concerto in G major
3. John Adams: City Noir (2009)
今年もまたBBCプロムスの季節がやってきました。私自身の今年の開幕は、ジュリアード音楽院と英国王立音楽院(RCM:ロイヤルカレッジではなく、RAM:ロイヤルアカデミーのほう)のジョイント学生オケ。このチケットはひとえに「ローマの祭」を聴きたいがために買いました。「ローマの祭」は昔から大好きな曲なのですが「松」「噴水」に比べると実演に接する機会が少なく、記憶をたどると10数年前に新婚旅行のウィーンで聴いたのと(ムーティ/スカラ座管)、その前だと約30年前に京大オケ(指揮は山田一雄だったかと)で聴いたくらいで、生演にたいへん渇望している曲であります。
ジョイントオケだけあって人が多いです。誰がジュリアードで誰がRAMかは区別がつきませんが、男女共たくさんいた東洋系の若者はおそらくほとんどジュリアードで、しかも顔つきから見て日系じゃなく中国系か韓国系でしょう。実際ジュリアード側のコンマスは(後ほどBBC Radio 3の中継で聴いたところによると)韓国系の麗しき女性でした。ちなみにRAM側のコンマスは白人のメガネっ娘美人。この二人が椅子を並べている指揮者の左横に、ほとんど目が釘付けになってしまいました(爆)。
待望の「ローマの祭」は元々が大編成の祝祭的な曲なので、人海戦術が功を奏して祝賀的雰囲気はよく出ていました。ジョン・アダムズは自作以外でどのくらい指揮の実績があるのか知りませんが、大げさにテンポを揺らしてベタベタに仰々しい音楽を作る人のようです。学生オケだししかも慣れないジョイントオケなので反応はあまり良くなく、管楽器のソロも褒められたのはクラリネットくらいで、あとはまだまだって感じでした。ホルンは音を聴くとなかなか良い音を出しているんですけど、ソロは苦手な様子。LSOあたりで、参りましたーとひれ伏すくらい圧巻な「ローマの祭」を一度は聴いてみたいものですけど、そんなチャンスはなかなかありませんなー。
続いてオケは編成をぐっと減らし、イモゲン・クーパーを迎えてのラヴェルのピアノコンチェルト。クーパーは軽くて音の粒が異常に均質化されたシーケンサーのようなピアノでしたが、そのわりには最初ミスタッチが目立ってハラハラしました。第2楽章もある意味珍しいくらいに四角四面の杓子定規なピアノで、面白みを一切感じませんでした。クーパーは2005年にブダペストで一度聴いていますが、そのときの備忘録を読み返すとクーパーのピアノに関してほとんど同じ感想が書かれていて、笑いました。そりゃそうだ、プロとしてポジションを確立している人がそうコロコロとスタイルを変えるはずもないです。小編成の学生オケは、もちろん名門校だから技量的に問題はないんですが(トランペットなどは大したものでした)、各奏者の音の線はまだまだ細く、やけに静かなラヴェルになっていました。
休憩後のメインはアダムズの比較的新しい管弦楽作品「シティ・ノワール」。再び大編成のオケにサックスとジャズドラムが加わり、大都会の退廃とエネルギーをジャズやアフリカンリズムを取り入れながら表現した曲で、作曲の文法は至って古典的、雰囲気はまるで映画音楽のようでした。ジュリアードのような学校の学生オケならば、クラシックの人が片手間にやっているのではない、キレキレのソロを吹くサックスが混じっていてもおかしくないなと勝手に期待していましたが、現実はそんなことはなく。ドラムスも、いやいややってます感がありあり。まあしかし全体としては、まだ評価の定まらぬ新曲にひたむきに取り組む音楽家の卵達は初々しく、応援のエールを惜しみなく送ってしまった夜でした。
ソリスト、指揮者もそっちのけでコンマス追っかけるのに必死です(笑)。
ピンボケ悲しいですが、私の機材ではこれが限界。それにしても全くタイプの違うビューティーコンミスが揃って、目の保養になりました。
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