2011 BBC PROMS 56:BBC響/ビシュコフ/ゲルシュタイン(p):BBC響も後ろから見る2011/08/26 23:59


2011.08.26 Royal Albert Hall (London)
BBC Proms 2011 PROM 56
Semyon Bychkov / BBC Symphony Orchestra
Kirill Gerstein (P-1)
1. R. Strauss: Burleske
2. Mahler: Symphony No. 6 in A minor

時差ボケがいまだに抜け切らず、夕方になると目と頭がお眠りモードに引き寄せられて行ってしまいますが、そんな中の本日はビシュコフ/BBC響のプロムス。前回のLSOと同じく、本拠地バービカンでは体験できないコーラス席での鑑賞です。

1曲目のブルレスケは初めて聴く曲でした。リヒャルト・シュトラウスらしからぬストレートにロマンチックなピアノ・ヴィルトゥオーソですが、主題を導くメロディアスなティンパニから始まって、最後はまたティンパニの一音で締めくくられるのが特徴的です。キリル・ゲルシュタインは、かのバークリー音楽院のジャズ科出身で、その後クラシックに転向したという異色のキャリアを持つロシア人ピアニストですが、ここに限らずどのホールでも、コーラス席はピアノが聴こえにくいのが最大の難点ですね。今日も残念ながらピアノがどうのこうのという以前の問題で、どんな奏者なのかあまりよくわかりませんでした。BBCのサイトでじっくり聴き直したいです。

メインのマーラー6番は、今年2月にビエロフラーヴェクの指揮で聴いた、同じくBBC響の好演が記憶に新しいところですが、やはり指揮者が違うと趣きが相当変わります。ビシュコフはとことん歌を歌わせ、大仰なタメを作って壮大に盛り上げるのが得意な人という印象なのですが、果たして今日も早めのテンポで行進曲がキビキビと開始され、第2主題の「アルマのテーマ」もたっぷりとベルカントでとっても感傷的。ドラマ性重視のロマンチックな演奏です。管楽器のベルアップとか、カウベルや鐘を叩く位置とか、細かいところはスコアに忠実でしたが、全体的なフレームはビシュコフ独自のものでした。オケはさすがに堅実、堅牢で、トランペットやホルンも1カ所音がつぶれた以外はほぼ完璧な演奏。ティンパニの音が軽いのがちょっと気に食わなかったですが。ハープが4本立っていたのは音的にもビジュアル的にも圧巻でした。

ビシュコフは過不足ない的確な棒振りで、音楽をドラマチックに盛り上げるのがやっぱり非常に上手い。20年前の私だったら熱狂した演奏でしょう。しかし何故か、2月に聴いたビエロフラーヴェクの丁寧に積み上げられた節度ある演奏が、むしろしみじみと思い出されました。私も年を取ったのかな…。

なお、中間楽章はスケルツォ→アンダンテの順、終楽章のハンマーは現行のスコア通り2回のみでした。3回目を叩く実演にはなかなか巡り会えないので今日は期待したのですが、ちょっと残念。そのハンマー、見かけは特大ながら、打ち付ける台に重みがなかったのか、台ごと跳ね上がっていて、音は見かけほど重厚ではありませんでした。


打楽器群はステージ下手側上段に固められていました。前後に並んだティンパニが新鮮です。

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