2011 BBC PROMS 室内楽 7:ヨーヨー・マ(vc)/キャスリン・ストット(p)2011/08/29 23:59


2011.08.29 Cadgan Hall (London)
BBC Proms 2011 Chamber Music 7
Yo-Yo Ma (Vc), Kathryn Stott (P)
1. Graham Fitkin: L (London Premiere)
2. Egberto Gismonti/Geraldo Carneiro: Bodas de prata and Quatro cantos
3. Rachmaninov: Cello Sonata in G minor

珍しく室内楽でも聴いてみようかと思ったのは、もちろんヨーヨー・マが目当てです。ロイヤルアルバートホールの演奏会でもよかったのですが、曲目がフィトキンの新作チェロ協奏曲(初演)というちょっと得体が知れないものだったのと、あのホールでは距離がありすぎて多分不満が残るだろうなとの予測の下、カドガンホールの室内楽マチネのほうを狙いました。ラフな服装のストットに、お堅いスーツ姿ながらも出てくるなり人目をはばかることなく客席の知り合いに笑顔で手を振るヨーヨー、非常にリラックスした雰囲気です。

1曲目の「L」はローマ数字で50を意味します。長年の伴奏パートナーであるストットがヨーヨー50歳の誕生日プレゼントとしてグラハム・フィトキンに委託した曲で、ストットが50歳を迎えるのを待って、もちろん二人によって初演されたそうです。変拍子バリバリでユニゾンが多い、プログレロックを思わせる曲で、呼吸ぴったりな疾走感が際立っていました。

2曲目は、ジャンルを超えたコラボを積極的に行ってきたヨーヨーが2003年に発表した「オブリガード・ブラジル」からのピース。サンバやボサノバとはまた一味違った癒し系ブラジル音楽は、美しいの一言。ヨーヨーのチェロは輝かしいばかりに華のある音で、全くブレない高音が特に素晴らしいです。

メインはラフマニノフのソナタ。チェロソナタなどほとんど聴くことがない私にはもちろん馴染みのない曲ですが、チェロもピアノも難しいので有名だそう。浪花節、もといラフマニノフ節が解放されたという感じはなく、私的にはロマンチシズムを抑えたストイックな曲に思えました。ストットの硬質なピアノは曲想によくマッチしていましたが、ヨーヨーの明るくこぶしのよく回るチェロはまた全然個性が違い、この異質な二人の演奏が息はぴったりと合っているのだから面白いものです。終演後、お互いを称え合う二人はたいへん仲良さそうで、終始リラックスした空気がとても心地よかった昼下がりのひと時でした。


ピンボケ失礼。


健闘を称え合う二人。

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