ロンドン響/ゲルギエフ:シチェドリンでシーズン開幕2010/09/25 23:59

2010.09.25 Barbican Hall (London)
Valery Gergiev / London Symphony Orchestra
Denis Matsuev (P-2)
1. Bizet (arr. Shchedrin): Carmen Suite
2. Shchedrin: Piano Concerto No. 5
3. Mussorgsky (orch. Ravel): Pictures at an Exhibition

我らがLSOの2010/2011シーズン開幕は土曜日でしたので、家族で賑わしに行きました。何と言ってもLSOは基本的にどの演奏会のどの席でも、空いてさえいれば16歳以下の子供は4ポンドでチケットが買えますので、せっかく超一流の演奏が身近にあるのに、子供に聴かせない手はありません。

昨シーズン、LSOの演奏会はファミリーコンサートを除いて10回行きましたが、首席のゲルギエフは1度しか聴けず、曲もメシアンという変化球だったので、ゲルギエフの実像に触れたのは今日がほとんど初めてみたいなもんです。

まずはシチェドリンの「カルメン組曲」、これもキワモノの変化球みたいなもんですが、今シーズンはシチェドリンがテーマの一つのようで、多数の作品をとりあげる予定になっています。まず、おやっと思ったのは、指揮棒を使わずに指をぴらぴらさせ、けっこうわかりにくい指揮をするなあということ。出だしがピシッとせず、縦の線が甘いところは前任者のコリン・ディヴィス卿との共通点ですかね。テンポは全体的に遅めで、50分くらいかかっていたでしょうか。バレエ用の曲なんだし、もっと軽やかさが欲しかったと思います。スペイン風カスタネットもリズムがもたっとして、乗れませんでした。

次もシチェドリン、ピアノ協奏曲第5番です。といっても、他の番号も知らないので作風がよくわかりませんが、この第5番はアルペジオやスケールの多いソリッドな感じの曲でした。前衛の感はありませんが、音の洪水です。マツエフのピアノは、初めて聴く曲ではどうにも評価はできませんが、やはりチャイコフスキーコンクールの優勝者だけあって運指は非常に正確に見えました。打鍵がたいへん力強く、大げさな身振りでガンガン来るのですが、垂直に振り下ろすのではなくちょっと横滑りをしているというか、何となくそわそわと落ち着きのないピアノでした。最後は肘で鍵盤を押してましたが、スコア通りなんでしょうか。何せ、かぶりつきの席で見ていましたので、ピアノが揺れに揺れて、ステージから落ちて来ないかとハラハラしました。演奏終了後は作曲者のシチェドリン本人が舞台に呼ばれ、やんやの喝采を浴びておりました。子供にはちとつらいですが聴き応えたっぷりの佳曲で、チャンスがあればまた聴きたいですね。

休憩後、この時点で時刻はすでに9時30分。メインの「展覧会の絵」はゲルギエフの得意曲だけあって、オケの威力が全開のたいへんゴージャスな演奏でした。奏者もだいぶ疲れているはずですが、さすがLSOは破綻しないし(「卵の殻をつけた雛の踊り」ではちょっと崩壊しかけてましたが)、馬力も満点です。やはり私的にはどうしても縦の線は気になるところですが、全体としてはこの曲の最上級の演奏だったと言ってよいかと。押したり引いたりのメリハリの付け方が上手く、さすがゲルギエフは手慣れています。

終演はもう10時半近くになってました。すっかり満腹です。そう言えばゲルギエフは今年のPROMSでもマーラーの4番&5番という無茶なプログラムをやっていましたが、それに比べたらまだ穏やかでしたね。

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