Toy Story 3 3D2010/08/07 23:59

このところ親族が遊びに来たり、ポルトガル旅行に行ったりでバタバタとしていて、今日やっと見に行けました。

さすがPixer、期待を裏切らない面白さに圧倒されました。前2作は娘と一緒にDVDで、それこそ数えきれない回数見てきましたが、今回のは最高、子供には息つく暇を与えず楽しませ、大人も大いに笑わせ、最後はほろりとさせる、まさにパーフェクトなできばえです。「UP」もそんな感じでしたが、あれはあくまで変化球でしょう。「Toy Story 3」は豪腕正統派のストレート勝負。全く、参りました。

BBC PROMS 34: ベルリン・ドイツ響/メッツマッハー2010/08/10 23:59

2010.08.10 Royal Albert Hall (London)
BBC Proms 2010 PROM 34
Ingo Metzmacher / Deutsches Symphonie-Orchester Berlin
Leonidas Kavakos (Vn-2)
1. Schreker: Der ferne Klang - Nachtstueck
2. Korngold: Violin Concerto
3. Mahler: Symphony No. 7

メッツマッハーは今シーズン限りでベルリン・ドイツ響の音楽監督を退任するそうで、このプロムスが最後の演奏会になるようです。それにしては、地味めのプログラムのせいか空席がけっこう目立ちました。「ロマンス」を「ノクターン」で挟み込むというこの選曲は一本芯が通っていますが、フェアウェルコンサートにしてはちょっと渋過ぎですかね。

今回は行けなくなった別のプロムスのチケットと交換で入手したという事情もあり、妥協してクワイヤ席になったのですが、これが意外と音響が良いのに驚きました。程よい残響と自然な楽器の音が好ましく、指揮者、奏者の顔もよく見えますし、上の方のサークル席よりよっぽど良かったです。今年はもう遅いですが、来年もプロムスを聴くチャンスがもしあれば、このクワイヤ席をひいきにしたいと思いました。

1曲目は初めて聴く曲でした。世紀末作曲家シュレーカーは世代で言うとシェーンベルクとベルクの間、あるいはラヴェルとバルトークの間に位置しますが、その誰よりもロマン的で折衷的な音楽でした。オケは音的にはちょっと田舎風というか、アカ抜けない濁りを感じましたが、メッツマッハーのタクトの下(指揮棒は使っていませんが)、全体としては禁欲的ですっきりした響きにまとめられていたと思います。

カヴァコスを聴くのは4回め。昨年のプロムスでも聴きましたが、ますますマッチョなヴァイオリンになっている気がします。正直、女性的、というと語弊があるなら叙情的なコルンゴルトのコンチェルトでは、ヴァイオリンが雄弁すぎて微妙な感じでした。最初の2楽章は、あくまで繊細にまとめようとするメッツマッハーと噛み合ずちぐはぐな印象も受けましたが、終楽章は重点的にリハをしたのでしょうか、打って変わってスイング感に溢れたノリノリの協演になっていました。しかし、この人のテクニックはいつ聴いても凄いです。ただ、アンコールで演奏した「アルハンブラ宮殿の思い出」のヴァイオリン独奏編曲版はやりすぎというか、確かにこの曲を弾けるのはほとんどあんたしかおらんやろうけど、そこまでせんとも、もっと弾いて聴かせて楽しい曲はあるやろうに、と、かつてボリス・ベレゾフスキ(だったかな?)のピアノを聴いたときと同じ感想を思ってしまいました。

メインのマーラーは輪郭のはっきりとしたモダンな演奏でした。現代ものが得意なだけあって音の交通整理ができている上に、ティンパニまで含めてチューニングがしっかり合わせられているので、メリハリも活きてきます。管楽器のソロが派手にコケる箇所もありましたが、まあご愛嬌。集中力を感じる好演でした。ギターとマンドリンは最初ステージに出ていなかったのでどうするんだろうと思っていたら、4楽章直前に登場、マンドリンは何と2ndヴァイオリン最後尾の奏者が持ち替えで弾いていました。ティンパニは珍しく逆配置(ドイツ式)で、終楽章冒頭のソロは本来その方が演奏しやすいはずですが、マレット同士をカチンと当ててしまい、奏者の顔が見る見る赤らんで行きましたがこれもご愛嬌です(真面目な人なんですね)。

私に取って7番はマーラーの中でも聴く頻度の高くない曲ですが、途切れない集中力に、こちらも最後まで引き込まれてしまいました。現代ドイツの保守本流とはまさにこのようなものかと。解消するのがたいへんもったいないコンビですね。メッツマッハーさんは今後どうするんでしょうか?

ボリショイオペラ:エフゲニー・オネーギン(最終日)2010/08/14 23:59

2010.08.14 Royal Opera House (London)
Bolshoi Opera
Dmitri Jurowski / Orchestra of the Bolshoi Theatre
Chorus of the Bolshoi Opera
Dmitri Tcherniakov (Director)
Vasily Ladyuk (Eugene Onegin), Ekaterina Shcherbachenko (Tatyana)
Oksana Volkova (Olga), Roman Shulakov (Lensky)
Irina Rubtsova (Madame Larina), Irina Udalova (Nurse)
Mikhail Kazakov (Prince Gremin), Valery Gilmanov (Zaretsky)
1. Tchaikovsky: Eugene Onegin

今夏のボリショイ劇場引越し公演は、バレエの6演目に対して(コッペリアのみ鑑賞)オペラは「エフゲニー・オネーギン」1つでした。最終日の今日、チケットは直前までいっぱい余っていましたが最終的にはほぼソールドアウトになったようで、当日のリターンを求める人の列ができていました。

このオペラの実演は初めてです。グラインドボーン音楽祭のDVDで予習して行ったところ、全然違うので面食らいました。と言っても奇をてらったワケワカラン系演出では全くありません。大きな楕円テーブルが全3幕を通して終始ステージの中心に置かれており、物語は常にその周りで展開します。最初の2幕はずっとラーリン家の中が舞台で、休憩なしの2時間ぶっ続けで進みました。切りたくない演出家の意図もわからんではないですが、結局場面ごとに幕が下りてブツ切れになりますし、40分程度の第3幕とのバランスを考えると、あと1回休憩を入れてもよかったのでは、と思いました。パーティーのシーンではこれでもかと人が出てきて人海戦術で圧倒しますが、ハンガリー国立歌劇場もやたらと人をステージに乗せるのが得意ワザであったなあと、思い出しました。旧共産圏の傾向でしょうか。

タチアーナを歌ったシチェルバチェンコは昨年のBBCカーディフ国際声楽コンクールで優勝した期待の新星で、顔はちょっと宍戸錠が入ってますが、スリムでチャーミングな美麗ソプラノです。ボリショイ劇場ではこの演出のプレミエを歌ったそうで、ROHのWebサイトでもこの演目の解説では唯ひとり名前が載っていました(ので、彼女が出る日を選んだわけです)。声量は普通ですが、冒頭の地味で控えめな少女から、手紙のシーンでは内に秘めた情熱を激しく表し、ふられてしまった時の茫然自失ぶり、公爵夫人となった後の余裕のセレブぶりと冷淡さ、実に多彩な表現力に感心しました。一方、相手役のオネーギンを歌ったラデュークもロシアオペラ界期待の新星だそうですが、バリトンにしては低音があまりに薄く、テノールのような軽さでした。多分こればかりは練習や経験や変わるものではないので、転向した方がいいんではないでしょうか。レンスキ役のシュラコーフは元よりテノールですが、こちらも声と演技が軽く、主役の男声陣がこぞって軽薄な味を出していましたが、演出家の意図だったのかどうか。ただし、歌手陣の歌唱は総じてハイレベルでした。ROHのように突出したスター歌手がいるわけではありませんが、バランスよく粒ぞろいでした。しかしこの演出、レンスキはカワイソすぎ…。

指揮のディミトリ・ユロウスキはLPOの音楽監督ウラジーミルの実弟で、私は最初、お兄ちゃんが指揮者だと誤解していました。弟君はまだ30歳そこそこの超若手ですが、情感的で流麗なサウンドを引き出していました。特に弦の美しさは比類がなく、ロシアのオケにしては金管もマイルドな音にまとめていました。ただし、途中オケが鳴り過ぎて歌がかき消されてしまう箇所がいくつかあり、こればかりは若気の至りというか、オペラの経験不足なんでしょう。あと、お兄ちゃんを見習って少しダイエットした方が…。ともあれオケは非常に良かったので、コンサートホールでも一度このオケを聴いてみたいものです。

最後にちょっと一言。ROHのオーケストラストール(平土間)席は、前に座高の高い人が座ると絶望的に視界が遮られてしまうので困ります。作りが悪いといつも思いますね。今更どうしようもないことかもしれませんが。

ポルトガル旅行 (1) - リスボン2010/08/17 12:00

7月末から8月にかけて、休暇で初めてポルトガルを旅行してきました。すでに夏が終わったロンドンから行くと、気温37℃というその暑さがちょっと嬉しかったりします。毎日ほとんど雲らしい雲を見ない快晴続きで、アホみたいに天気が良かったです。


まずは旧市街のバイロ・アルト地区へ向かうケーブルカーから。


16世紀に天正少年使節も立ち寄ったと言われる、サン・ロケ教会。外見はたいへん地味でした。


サン・ペドロ・デ・アルカンタラ展望台から望むリスボンの街。


世界遺産、凛々しい立ち姿のジェロニモス修道院。


大航海時代をしのぶ、発見のモニュメント。


日本も1541年にポルトガルによって「発見」された異境だったのです。


こちらも世界遺産、ベレンの塔。屋上からの眺めは絶景でした。


国立古美術館。ポルトガルの古い宗教画、家具、装飾品が主ですが、日本人ミーハー的には、ボッシュの「聖アントニオの誘惑」や、狩野派の南蛮屏風が見所です。


ここはリスボン水族館。まあまあの規模です。葛西臨海公園の水族館とよく似たマグロ・カツオの大水槽があります。娘が行きたがるので、けっこういろんな都市で水族館を見ました。


ようやく観光中心にたどり着き、ロシオ広場。


随一の繁華街、アウグスタ通り。


でも、結局夕食はちょっと離れてアレンテージョ会館のレストランで食べました。ポルトガルの装飾タイル、アズレージョがレトロでたいへんゴージャスな雰囲気の内装でした。料理も当たりでした。ただ、ポルトガル料理は私にはどうも単調で、どこに行っても同じようなメニューしかなく、すぐに飽きました。

続く。

ポルトガル旅行 (2) - ポルト2010/08/18 12:00

続いて北の都、ポルト。こちらもバカみたいに晴天が続きましたが、うだるような暑さのリスボンに比べ、気温はせいぜい30℃くらいでたいへん過ごしやすかったです。


リベルダーデ広場から望む市庁舎(一番奥)。


クレリゴス教会。ポルトガルで最も高い塔の上の展望台に行ってみましょう。


クレリゴス教会の塔から見下ろすポルトの町並みは、いかにも旧市街然としたオレンジ色の屋根がきれいでした。逆光が惜しい。ここに登るときは、朝一番か夕刻がよいでしょう。


ポルトはこんなレトロな路面電車がまだ走っています。


ボルサ宮前の広場では、ポルトガルのヒーロー、エンリケ航海王子の像が海を指差しています。


サン・フランシスコ教会。たまたま、普段は閉まっているチャペルで結婚式があり、着飾った人々でごった返していました。



ポルトには外壁をアズレージョであしらったナイスな教会やビルがたくさんありました。


サン・ペント駅は手の混んだアズレージョで飾られたホールが有名です。


レロ&イルマオンのブックショップ。内装が本屋とは思えない豪華さで、中では観光客が写真を撮りまくっていました。


ドウロ川の対岸にはポルトワインのワイナリーが多数ありますが、中でも最も有名なSandemanのケーヴツアー&テイスティングに参加しました。


対岸から眺める夕刻の繁華街、カイス・ダ・リベイラ。ライトアップはそんなに気合いが入っていませんでした。

続く。

ポルトガル旅行 (3) - シントラ、その他2010/08/19 12:00

再び南下し、文化的景観が世界遺産になっているシントラへ。私の性向として、何はともあれ「高いところ」を目指します。


フェルディナント2世が建てさせたペーナ宮殿。ドイツのノイシュヴァンシュタイン城と同じ香りがしますが、こちらの方が外見はよりメルヘンチックでケバケバしいです。フェルディナント2世とルートヴィヒ2世はいとこ同士なんですね、さもありなん、納得です。


ムーアの城跡から見下ろすパノラマは、苦労して登った甲斐が十分あります。


シントラ旧市街は中世の様子が壊されず残っています。アズレージョをあしらった井戸(今は水道)がさりげなくあったりするのが、歴史を感じさせます。


シントラから車で1時間、ユーラシア大陸最西端のロカ岬です。良い天気でしたが海面にガスが出ていたので、水平線はぼやけていました。


海沿いの町、ナザレ。大昔、学校の授業で「ナザレのイエス」という映画を見せられたのを思い出しましたが、そのナザレはここポルトガルの漁村ではなく、イスラエルの内陸の都市だったんですね。誤解していました。


ナザレの市場でアジを発見。砂浜沿いのレストランで早速アジの塩焼きを食べましたが、美味かった。本当に新鮮なアジでした。


1917年に聖母マリアが出現したという「ファティマの奇跡」で有名な信仰の町、ファティマ。奇跡の前はほとんど荒れ地だったそうです。中世から残っているような教会と違い、歴史が浅いだけに、かえって強烈な信仰のオーラが充満しています。規模といい雰囲気といい、富士のふもとにある某宗教団体の総本山を訪れたときと同じ種類の空気を感じました。

以上、ポルトガル旅行のフォト日記でした。

日本はマジで暑かった2010/08/29 17:46

仕事で一週間日本に帰っておりました。話には聞いてましたが、お盆も過ぎたのでちょっとはましになったかと思いきや、いやー暑かったのなんの。気温で言えば先日行ったリスボンの方が上ですが、日中の湿気と、夜になっても気温の下がらない熱帯夜がたまらんです。

汗かきの私はハンカチ6枚持ち歩いてもまだ足りないので、途中洗っては会議室の日当りのよい窓際でこっそり干していました。東京駅では夕立に降られたように全身汗でびっしょ濡れのサラリーマンが大挙して歩いておりました。

一週間だけとわかっているからまだ辛抱できましたが、元々日本の蒸し暑い夏にめっぽう弱かった私には、ちょっと我慢の限界を超えていました。こればっかりは、すでに最高気温17℃の世界、夜などもうヒーター入れようかという涼しさになっているロンドンに戻ってきて、ほっと一息ついております。そういえばハンガリーから帰国した年の夏も、激しく夏バテしてしまいましたが、ロンドンはさらに東京とのギャップが大きいので、帰るときはたいへんだなーと今から恐れています。

Cats and Dogs: Revenge of Kitty Galore 3D2010/08/30 23:59

本日はバンクホリデー。夏休み最後の日だったので、娘を連れて行ってやりました。

3Dの迫力CG映像にはなっていますが、ストーリー、キャラクターともに前作(もう9年前ですか)よりトーンダウンしていますね。子供向けですが、見終わった後興奮しながらシアターを後にする、とまでは行かず、テンションは全体的に低いです。「羊たちの沈黙」などからシーンの引用があったりして、大人向けのサービスも少しあります。途中眠くなってしまいましたが、まあ気楽に見れる映画です。

人間側の主演(といっても出番は少ない)Chris O'Donnellは「フライド・グリーン・トマト」で鉄道事故で死んじゃうお兄ちゃん役やってた人なんですね。立派な大人になってしまって。