レヴェル42 ― 2012/10/28 23:59
2012.10.28 Royal Albert Hall (London)
Level 42
Mark King (bass, vocal), Mike Lindup (keyboards, vocal)
Nathan King (guitar), Sean Freeman (saxophone), Pete Ray Biggin (drums)
レヴェル42は80年代にヒット曲を飛ばした、ジャズ・ロックの走りのようなバンドですが、中心メンバーだったマーク・キングとマイク・リンダップ以外はサポートメンバーで、今でも元気にライブ活動を続けております。去年、一昨年は日本にも行っているはず。
7時半開演でしたが、まずは前座でアコースティックギターをかき鳴らす元気のいいロックンロールおねえちゃんで出てきて数曲歌い、少し休憩を挟んで真打ち登場かと思いきや、もう一人のヘッドライナーは、これまたアコースティックギターを抱えたフォークソングのおにいちゃん。5〜6曲歌ってました。その後セットアップでまた時間が開いて、結局本チャンが始まったのはほとんど9時。前座は別に悪くはなかったけど、それを見に来たわけではないので、長過ぎです。
レヴェル42の生ライブを見るのは実は初めて。名物ベースのマーク・キングは、見た目はすっかり老けたオジサンですが、体力はまだまだ衰えていなさそうで、ぴょんぴょん飛び跳ね、声もしっかり出ていました。ベースを構える高さが低くなった(というより普通になった)かな。サポートメンバーは、オリジナルではないとは言え、ギターのネーザン・キング(マークの弟)、サックスのシーン・フリーマンはもう10年以上一緒にやってる人たちです。ドラムだけ比較的新しく、2010年から。みんなそれなりに老けているので、みんなオリジナルメンバーかと思ってしまったのは内緒です。
それにしても音がでかかった。こないだのクイーン+アダム・ランバートよりも大音量で、耳がジンジンしました。会場のロイヤル・アルバート・ホールは日本武道館を一回り小さくしたような会場ですが、音響は武道館よりもむしろ東京ドームに近く、特に今日の席は上のほうのサークルだったので、音がぐわんぐわんと回ってとんでもないことになってました。従って、音楽にじっくり耳を傾けるという環境ではなかったことを最初に宣言しておきます。スタジアムならともかく、何故レヴェル42でここまで音を大きくしないといけないのか。一方で、今はツアーが主な活動みたいなので、照明効果はよくこなれていました。バックに縦長3枚のスクリーンを置き、各種効果映像に混じって時折ヒット曲の当時のビデオクリップを流していましたが、30年近く前の自分らの姿とステージ上で生で対峙するというのは、相当に勇気の要ることではないかと。特にマークは、全然別人と言っていいかもしれない。
見たところ客の年齢層は高く、若い人はほとんど見ませんでした。最後のほうでSun Goes Down、Something About You、Hot Waterといったヒット曲が連発すると、オジサンオバサン踊りまくり。ディスコ世代なんですねえ。などと思いながらサークル席前列に座って下界を見下ろしておりました。ふと周りの客席を見渡すと、ベースのスラッピングを真似ている人の何と多いことか(笑)。ほとんどの人はマークのベースを見に来ているのですから、気持ちは分かります。何にせよ彼のベース弾き語りはまだまだ健在であることを確認できただけでも収穫でした。あと5〜6年は大丈夫でしょうけど、次はマークのソロプロジェクトをRonnie Scott'sあたりでじっくり聴くのが正解な気がします。
Set List:
Lessons In Love
Children Say
Running In The Family
It's Over
To Be With You Again
Two Solitudes
Fashion Fever
The Sleepwalkers
Freedom Someday
---
All I Need
Out of Sight Out of Mind
Guaranteed
---
Heathrow
The Sun Goes Down (Living It Up)
Starchild
Something About You
Hot Water
---
Love Games (Bass solo introduction)
Heaven in My Hands
Level 42
Mark King (bass, vocal), Mike Lindup (keyboards, vocal)
Nathan King (guitar), Sean Freeman (saxophone), Pete Ray Biggin (drums)
レヴェル42は80年代にヒット曲を飛ばした、ジャズ・ロックの走りのようなバンドですが、中心メンバーだったマーク・キングとマイク・リンダップ以外はサポートメンバーで、今でも元気にライブ活動を続けております。去年、一昨年は日本にも行っているはず。
7時半開演でしたが、まずは前座でアコースティックギターをかき鳴らす元気のいいロックンロールおねえちゃんで出てきて数曲歌い、少し休憩を挟んで真打ち登場かと思いきや、もう一人のヘッドライナーは、これまたアコースティックギターを抱えたフォークソングのおにいちゃん。5〜6曲歌ってました。その後セットアップでまた時間が開いて、結局本チャンが始まったのはほとんど9時。前座は別に悪くはなかったけど、それを見に来たわけではないので、長過ぎです。
レヴェル42の生ライブを見るのは実は初めて。名物ベースのマーク・キングは、見た目はすっかり老けたオジサンですが、体力はまだまだ衰えていなさそうで、ぴょんぴょん飛び跳ね、声もしっかり出ていました。ベースを構える高さが低くなった(というより普通になった)かな。サポートメンバーは、オリジナルではないとは言え、ギターのネーザン・キング(マークの弟)、サックスのシーン・フリーマンはもう10年以上一緒にやってる人たちです。ドラムだけ比較的新しく、2010年から。みんなそれなりに老けているので、みんなオリジナルメンバーかと思ってしまったのは内緒です。
それにしても音がでかかった。こないだのクイーン+アダム・ランバートよりも大音量で、耳がジンジンしました。会場のロイヤル・アルバート・ホールは日本武道館を一回り小さくしたような会場ですが、音響は武道館よりもむしろ東京ドームに近く、特に今日の席は上のほうのサークルだったので、音がぐわんぐわんと回ってとんでもないことになってました。従って、音楽にじっくり耳を傾けるという環境ではなかったことを最初に宣言しておきます。スタジアムならともかく、何故レヴェル42でここまで音を大きくしないといけないのか。一方で、今はツアーが主な活動みたいなので、照明効果はよくこなれていました。バックに縦長3枚のスクリーンを置き、各種効果映像に混じって時折ヒット曲の当時のビデオクリップを流していましたが、30年近く前の自分らの姿とステージ上で生で対峙するというのは、相当に勇気の要ることではないかと。特にマークは、全然別人と言っていいかもしれない。
見たところ客の年齢層は高く、若い人はほとんど見ませんでした。最後のほうでSun Goes Down、Something About You、Hot Waterといったヒット曲が連発すると、オジサンオバサン踊りまくり。ディスコ世代なんですねえ。などと思いながらサークル席前列に座って下界を見下ろしておりました。ふと周りの客席を見渡すと、ベースのスラッピングを真似ている人の何と多いことか(笑)。ほとんどの人はマークのベースを見に来ているのですから、気持ちは分かります。何にせよ彼のベース弾き語りはまだまだ健在であることを確認できただけでも収穫でした。あと5〜6年は大丈夫でしょうけど、次はマークのソロプロジェクトをRonnie Scott'sあたりでじっくり聴くのが正解な気がします。
Set List:
Lessons In Love
Children Say
Running In The Family
It's Over
To Be With You Again
Two Solitudes
Fashion Fever
The Sleepwalkers
Freedom Someday
---
All I Need
Out of Sight Out of Mind
Guaranteed
---
Heathrow
The Sun Goes Down (Living It Up)
Starchild
Something About You
Hot Water
---
Love Games (Bass solo introduction)
Heaven in My Hands
チリー・ゴンザレス/BBC響:ラッパー・ピアニストのエンターテイメント ― 2012/10/20 23:59
2012.10.20 Barbican Hall (London)
Chilly Gonzales (P)
Jules Buckley / BBC Symphony Orchestra
Joe Flory (Ds)
チリー・ゴンザレスはカナダ出身のヒップホッパー、プロデューサー、ソングライターにして、ピアニストでもある多彩な人です。自ら「音楽の天才」を標榜しているようです。会社の同僚が私の誕生日にプレゼントしてくれた「Solo Piano」というCDを聴くまで、実は名前すら知りませんでした。欧米では人気者のようでチケットは早々にソールドアウトでしたが、ある日たまたま1席だけリターンが出ているのを見つけて、面白そうだから思わずゲットしました。
スタインウェイのピアノにはマイクが取り付けられ、ピアノとドラムはPAを通した音になりますから、これは純然たるクラシックの演奏会とはやはり趣きが異なります。最初はスポットライトの下、ナイトガウンにスリッパ履きというリラックスした装いでゴンザレス登場、ピアノソロの曲を数曲弾きました。ボサノバ調の曲では合いの手のように鍵盤の蓋をカツンと胴体に当てたり(スタインウェイが・・・)、右手で和音を上昇させていくときC8の鍵を越えて鍵盤のないところまであえて叩いたり、床に座り込んで鍵盤を見ないで弾くとか、遊び放題。CDを聴いたときも感じたのですが、ピアノ自体は無味無臭で、ジャズの匂いもほとんどありません。「サティの再来」とか言われることもあるようですが、曲はどう聴いてもやっぱりポピュラーの範疇を出るものではなく、サティやショパンと言うよりも、ラテンの入ったリチャード・クレイダーマン。くさすつもりは毛頭ありませんが、ピアニストとしての技量も、真っ当なクラシックのプロ奏者と同じ土俵で論じるものではないでしょう。ただ、自分の表現手段としては自由自在にピアノを駆使していて、演奏は常にインプロヴィゼーション混じりで、それこそがこの人の持ち味かと。従ってCDよりもライブが真骨頂なのでしょうね。
続いてBBC響のメンバーとドラムの若者が登場。ドラムはアクリルの壁でぴっちり隔離されていて(真後ろでガンガン叩かれたら他の奏者がたまらんのでしょうね)、ちょっとかわいそうでした。オケが出てくるとちょっと肩の荷がおりたのか、ゴンザレスはマイクを握ってラッパーに転じます。ひとしきりエネルギーを発散させた後は、子供のころはひねくれていてメジャーの曲をあえてマイナーで弾いたりした、などと言いながら「ハッピー・バースデー」や「フレール・ジャック・マーチ」を短調にしてオケに演奏させてみたり、客席の女の子をステージに上げてスリーノートを弾かせ、それを元に即興してみたり、多彩なエンターテイメントを繰り広げます。
一応メインである彼の「ピアノ協奏曲第1番」は4楽章構成の20分くらいの曲でした。ニューエイジ系の癒される旋律で、形式はいたって単純なポップスの文法に則っていて、ピアノ協奏曲と名打つよりも「ゴンザレス組曲」とでも呼んだほうが内容的には適当でしょう。そうは言っても、前半に演奏してきた我が侭な自己表現と比べたら、すいぶんとよそ行きでかしこまった印象があり、正直あまり面白くなかった。終楽章、即興でやるカデンツが終りそうでなかなか終らず、オケがなかなか入れずに、指揮者も困った顔でいったん振り上げた指揮棒を下ろしてしまったり(実はこれも演出だったのかな?)、遊び心は忘れていませんでしたが。
この後はまたはしゃぐゴンザレスに戻り、チェロ、ヴィオラにクイーン「Another One Bites The Dust」のリフを弾かせて、マイケル・ジャクソン「Billy Jean」のベースラインを木管、ブリトニー・スピアーズ「Toxic」のフレーズをヴァイオリンで各々重ねて(やることのない金管は踊り担当)、自分はラップを歌うとか、客席まで出て行ってボディサーフィン(人ごみの上に乗って滑るように移動する)をやってみたり、普段のバービカンではなかなか見られない光景が新鮮でした。
ちょっと遅めの夜8時に始まったコンサートは、休憩無しのぶっ続け2時間で終ったらもう10時。ちょっと疲れましたが、本人はまだまだエネルギーが有り余っている感じでした。エンターテイナーとしての多才ぶりは確かに天才を自称するだけのことはあるなと。CDをくれた同僚は、彼のピアノソロは好きだけどラップは聴かない(聴きたくない)と言ってましたが、私的にはピアノソロだけではヒーリング過ぎて退屈、多分途中で寝ちゃったでしょう。
Chilly Gonzales (P)
Jules Buckley / BBC Symphony Orchestra
Joe Flory (Ds)
チリー・ゴンザレスはカナダ出身のヒップホッパー、プロデューサー、ソングライターにして、ピアニストでもある多彩な人です。自ら「音楽の天才」を標榜しているようです。会社の同僚が私の誕生日にプレゼントしてくれた「Solo Piano」というCDを聴くまで、実は名前すら知りませんでした。欧米では人気者のようでチケットは早々にソールドアウトでしたが、ある日たまたま1席だけリターンが出ているのを見つけて、面白そうだから思わずゲットしました。
スタインウェイのピアノにはマイクが取り付けられ、ピアノとドラムはPAを通した音になりますから、これは純然たるクラシックの演奏会とはやはり趣きが異なります。最初はスポットライトの下、ナイトガウンにスリッパ履きというリラックスした装いでゴンザレス登場、ピアノソロの曲を数曲弾きました。ボサノバ調の曲では合いの手のように鍵盤の蓋をカツンと胴体に当てたり(スタインウェイが・・・)、右手で和音を上昇させていくときC8の鍵を越えて鍵盤のないところまであえて叩いたり、床に座り込んで鍵盤を見ないで弾くとか、遊び放題。CDを聴いたときも感じたのですが、ピアノ自体は無味無臭で、ジャズの匂いもほとんどありません。「サティの再来」とか言われることもあるようですが、曲はどう聴いてもやっぱりポピュラーの範疇を出るものではなく、サティやショパンと言うよりも、ラテンの入ったリチャード・クレイダーマン。くさすつもりは毛頭ありませんが、ピアニストとしての技量も、真っ当なクラシックのプロ奏者と同じ土俵で論じるものではないでしょう。ただ、自分の表現手段としては自由自在にピアノを駆使していて、演奏は常にインプロヴィゼーション混じりで、それこそがこの人の持ち味かと。従ってCDよりもライブが真骨頂なのでしょうね。
続いてBBC響のメンバーとドラムの若者が登場。ドラムはアクリルの壁でぴっちり隔離されていて(真後ろでガンガン叩かれたら他の奏者がたまらんのでしょうね)、ちょっとかわいそうでした。オケが出てくるとちょっと肩の荷がおりたのか、ゴンザレスはマイクを握ってラッパーに転じます。ひとしきりエネルギーを発散させた後は、子供のころはひねくれていてメジャーの曲をあえてマイナーで弾いたりした、などと言いながら「ハッピー・バースデー」や「フレール・ジャック・マーチ」を短調にしてオケに演奏させてみたり、客席の女の子をステージに上げてスリーノートを弾かせ、それを元に即興してみたり、多彩なエンターテイメントを繰り広げます。
一応メインである彼の「ピアノ協奏曲第1番」は4楽章構成の20分くらいの曲でした。ニューエイジ系の癒される旋律で、形式はいたって単純なポップスの文法に則っていて、ピアノ協奏曲と名打つよりも「ゴンザレス組曲」とでも呼んだほうが内容的には適当でしょう。そうは言っても、前半に演奏してきた我が侭な自己表現と比べたら、すいぶんとよそ行きでかしこまった印象があり、正直あまり面白くなかった。終楽章、即興でやるカデンツが終りそうでなかなか終らず、オケがなかなか入れずに、指揮者も困った顔でいったん振り上げた指揮棒を下ろしてしまったり(実はこれも演出だったのかな?)、遊び心は忘れていませんでしたが。
この後はまたはしゃぐゴンザレスに戻り、チェロ、ヴィオラにクイーン「Another One Bites The Dust」のリフを弾かせて、マイケル・ジャクソン「Billy Jean」のベースラインを木管、ブリトニー・スピアーズ「Toxic」のフレーズをヴァイオリンで各々重ねて(やることのない金管は踊り担当)、自分はラップを歌うとか、客席まで出て行ってボディサーフィン(人ごみの上に乗って滑るように移動する)をやってみたり、普段のバービカンではなかなか見られない光景が新鮮でした。
ちょっと遅めの夜8時に始まったコンサートは、休憩無しのぶっ続け2時間で終ったらもう10時。ちょっと疲れましたが、本人はまだまだエネルギーが有り余っている感じでした。エンターテイナーとしての多才ぶりは確かに天才を自称するだけのことはあるなと。CDをくれた同僚は、彼のピアノソロは好きだけどラップは聴かない(聴きたくない)と言ってましたが、私的にはピアノソロだけではヒーリング過ぎて退屈、多分途中で寝ちゃったでしょう。
Queen + Adam Lambert @ Hammersmith Apollo 最終日 ― 2012/07/14 23:59
2012.07.14 HMV Hammersmith Apollo (London)
Queen + Adam Lambert
Brian May (G, Vo), Roger Talor (Ds, Vo), Adam Lambert (Vo)
Spike Edney (Key, Musical Director), Neil Fairclough (B), Rufus Taylor (Ds, Perc)
クイーン+アダム・ランバートの最終日。初日をすでに見ていますし、昼に「ポーギーとベス」を見た後、ほとんどその足でライブを見に行くのはけっこうキツイと思ったのですが、まあせっかくチケットを買ったので老体に鞭打ってがんばってみました。
初日が25分くらい待たせたのに対し、今日は15分遅れで始まりました。DVDのためのビデオ撮りがあるとの噂があり、また初日・二日目の様子はすでにたくさんYouTubeやブログにアップされていたので追加公演である最終日のチケットホルダーはもう十分に期待を煽られていて、会場の熱気は相当なものでした。
ショーの構成はほぼ同じなので意外性はありませんでしたが、初日で時々気になったハウリングが今日はなく、初日と比べてバンドの音がずいぶんと固まっていました。今日のロジャーは黒いシャツをダラリと出して、ポッコリお腹が目立たないようにしていました。ブライアンは初日より相当調子が良さそうで、張り切りすぎて最後のTie Your Mother Downで弦を切ってました。アダム君も調子はさらに上がっていましたが、相変わらず動きは大人しい。ブライアンはもう65歳なんだから、その分も君がもっと走りなさい!
毎回ほぼ同じのセットリストの中で、ブライアンのアコースティックコーナー冒頭は毎回違う曲を一部分だけ弾き語ります。初日はThe Show Must Go On、二日目はSomebody To Loveでしたが、今日は意外なところでYou're My Best Friend。初日ではやらなかった本チャンのThe Show Must Go Onは、今日はラス前にちゃんと仰々しくやってくれました。これがここまで歌えるのだから、アダムは確かに良いシンガーです。
さて今回のクイーン+アダム・ランバート、今後ツアーを西ヨーロッパ、アメリカ、アジアまで拡大していくのかどうかは知りませんが、クイーンファンにオススメできるかどうかは、ちょっと微妙。クイーンのライブを追体験するんだ、という風に割り切れば十分楽しめるものでしょう。でも、一気に老いてしまったブライアンとロジャーを見るのは辛いと感じる人も多いかも。
Hammersmith, 14th July: Set List
Flash (intro)
Seven Seas Of Rhye
Keep Yourself Alive
We Will Rock You (Fast ver.)
Fat Bottomed Girls
Don’t Stop Me Now
Under Pressure (Roger/Adam duet)
I Want It All
Somebody To Love
Who Wants To Live Forever
A Kind Of Magic (Roger vo.)
These Are Days Of Our Lives (Roger vo.)
You're My Best Friend (part) (Brian vo.)
Love Of My Life (Brian vo.)
'39 (Brian vo.)
Dragon Attack
Bass Solo
Drum Battle
Guitar Solo
I Want To Break Free
Another One Bites The Dust
Radio Ga Ga
Crazy Little Thing Called Love
The Show Must Go On
Bohemian Rhapsody
---
Tie Your Mother Down (Brian vo.)
We Will Rock You
We Are The Champions
God Save The Queen
Queen + Adam Lambert @ Hammersmith Apollo 初日 ― 2012/07/11 23:59
2012.07.11 HMV Hammersmith Apollo (London)
Queen + Adam Lambert
Brian May (G, Vo), Roger Talor (Ds, Vo), Adam Lambert (Vo)
Spike Edney (Key, Musical Director), Neil Fairclough (B), Rufus Taylor (Ds, Perc)
このライブ、元々はクイーンのバンド結成40周年を記念してネブワースのロックフェスSonisphereにヘッドライナーとして出演する予定が、ロックフェス自体が開催中止になり、では単独でやろうという、クイーンファンにとってはむしろ願ってもない「瓢箪から駒」の話になったようです。ポール・ロジャースとの衝撃的なツアーから早7年、今回は米国のオーディション番組「American Idol」出身でTVではすでに共演している若手シンガー、アダム・ランバートをボーカルに迎えて、キエフ、モスクワ、ヴロツワフ(ポーランド)にロンドン2日間(後で追加公演が1日プラス)というミニツアーに結局落ち着きました。ロンドンの会場は初期のころ数々のライブをこなしてきたハマースミス・アポロ(当時の名称はオデオン)。まさかハマースミス・オデオンに生クイーンを見に行くなんてことが今更自分の身に起ころうとは、これっぽっちも想像しませんでした。
当然ながらロンドンの3日間とも即日完売のプラチナチケットで、後日出たリターンを何とか運良くゲットできたのですが、もう若くはないのでオールスタンディングのストールではなく、上階サークル後方の着席にしました。普通ならクイーンはスタジアム級の箱でしかパフォーマンスしないバンドであることを思えば、肉眼で見えるのだから近いものです。周りを見渡すと、年齢層の高いこと高いこと。どう見ても60歳は超えてそうな人もたくさんいました。
当然ながらロンドンの3日間とも即日完売のプラチナチケットで、後日出たリターンを何とか運良くゲットできたのですが、もう若くはないのでオールスタンディングのストールではなく、上階サークル後方の着席にしました。普通ならクイーンはスタジアム級の箱でしかパフォーマンスしないバンドであることを思えば、肉眼で見えるのだから近いものです。周りを見渡すと、年齢層の高いこと高いこと。どう見ても60歳は超えてそうな人もたくさんいました。
ステージまではこのくらい遠いです…。
アダム・ランバートは派手な衣装を何度も着替えながら、でも足は裸足で熱唱。ポール・ロジャースがAll Right Now等自分の持ち歌もいくつか入れて来たのと対象的にアダムは潔く全てクイーンナンバーで通しました。歌はそれなりにしっかり歌えていたのが驚きですが、やっぱり多少の気後れがあるのか、あるいは歌に集中するあまりか、仁王立ちでマイクを持つ場面が多く、パフォーマー、エンターテイナーとしての「格」は、ポール・ロジャースやジョージ・マイケルとは(もちろんフレディとも)比較するのが気の毒です。また、ポールがフレディのコピーをやる気などこれっぽっちもなく、見事に自分の歌として消化していたのに比べ、やっぱりアダムはフレディの節回しに引きずられている歌い方になっていて(まあ、しょうがないですけどね)、もっと吹っ切れたほうが結局は良いのになあ、と思ってしまいました。
ブライアン・メイ、ロジャー・テイラーともにもうすぐ誕生日で、各々65歳、63歳になるんですなあ。二人ともすっかり白髪で老人顔になり、ロジャーなどは昔のキュートボーイは見る影もなく、お腹ポッコリの好々爺、という感じです。7年前はさすがにここまで老け込んではいなかったと思います。いつものごとく二人とも自分の持ち歌でメインボーカルを取りますが、声が出てなかったです。ブライアンのギターは(もちろん若いころほどの勢いはないものの)まだ往年のプレイを維持していましたが、ロジャーのドラムは手が回っておらず、息子のルーファス君が単なるパーカッションの色添え以上に父親のドラミングをサポートしていたおかげで何とか最後までもった、という感じでした。死ぬまで元気バリバリだと思っていたこの人達にも老いはやってくるんだなあと、ちょっと淋しくなりました。誤解を恐れず正直な感想を言うと、こないだ見たミュージカル「We Will Rock You」のほうが、バンド演奏という意味では数段上だったかなーと。でも、何だかんだ言っても、生きて動いている本物のブライアンとロジャーをまた見れたというだけで、わざわざ足を運んだ値打ちはあったし、ステージングは素直に楽しめるものでした。最後のほうは火は噴くわ、花火は上がるわで、オデオンの狭いステージがたいへんなことになっていました。
ドラムを息子のルーファスに任せ、自分はマイクを持って熱唱するロジャー。ポッコリお腹が気になります…。
ところでちょっと不快に思ったのは、演奏中のほとんど最初から最後まで、写真やビデオを撮ってる人の何と多いこと。スマホの性能が上がったからそういうこ ともできるようになったわけで、昔だったら考えられないことですよね。私も少しだけですがこっそり写真は撮ったので人のこと言えませんが、周りのことなど お構いなしにスマホを高く掲げてずっと録画している輩は、はっきり言って邪魔以外の何物でもない。お前はいったい何しに来たんじゃと。
最後はアダムがクイーンTシャツを着て登場。ブライアン、ロジャーとの競演は、彼にとっては夢のような体験でしょう。
Hammersmith, 11th July: Set List
Flash (intro)
Seven Seas Of Rhye
Keep Yourself Alive
We Will Rock You (Fast)
Fat Bottomed Girls
Don’t Stop Me Now
Under Pressure (Roger/Adam duet)
I Want It All
Who Wants To Live Forever
A Kind Of Magic (Roger)
These Are Days Of Our Lives (Roger)
The Show Must Go On (part) (Brian)
Love Of My Life (Brian)
'39 (Brian)
Dragon Attack
Drum Battle / Guitar Solo
I Want To Break Free
Another One Bites The Dust
Radio Ga Ga
Somebody To Love
Crazy Little Thing Called Love
Bohemian Rhapsody
---
Tie Your Mother Down (Brian)
We Will Rock You
We Are The Champions
We Will Rock You - The Musical by Queen and Ben Elton ― 2012/04/28 23:59
2012.04.28 Dominion Theatre (London)
We Will Rock You - The Musical by Queen and Ben Elton
Noel Sullivan (Galileo Figaro), Emma Hatton (Scaramouche)
Brenda Edwards (Killer Queen), Alasdair Harvey(Khashoggi)
Wayne Robinson (Brit), Rachel John (Meat)
David Gwyn (Rebel Leader), Dean Read (Pop)
今年10周年の人気ミュージカル。クイーンファンのはしくれとして、一度は見とかなくてはとずっと思いつつもなかなかチャンスがなく(時間がなかったというよりは、オケ、オペラ、バレエへの投資を優先していたからなんですが)、ようやく見に行けました。
会場はトテナム・コートロード駅を出て目の前のドミニオン・シアター。エントランスの上に巨大なフレディ像があるので非常に目立ちます。中に入ると結構古くさい劇場。コリーシアムよりもさらにくたびれてる感じです。席はストールの後方(WW列)だったのですが、上階席の天井が思いっきりかぶさっていて圧迫感があり、舞台の上のほうは一部見えないものの、鑑賞に支障があるほどのものではありません。実はチケットを取る際、ロンドンに来たてのころホールの席選びで大いに勉強になったTheatremonkey.comのコメントを今回も参考にさせてもらいました。そこにもあるように、このクラスのチケットでは一つ前のVV列のほうがベターでしょう。というのは、何故だかわかりませんがVV列のさらに前の3列分くらい、一人も座らずごそっと空いていて視界良好だったからです。多分高いチケットの最後尾なので売れないんでしょう。
We Will Rock You - The Musical by Queen and Ben Elton
Noel Sullivan (Galileo Figaro), Emma Hatton (Scaramouche)
Brenda Edwards (Killer Queen), Alasdair Harvey(Khashoggi)
Wayne Robinson (Brit), Rachel John (Meat)
David Gwyn (Rebel Leader), Dean Read (Pop)
今年10周年の人気ミュージカル。クイーンファンのはしくれとして、一度は見とかなくてはとずっと思いつつもなかなかチャンスがなく(時間がなかったというよりは、オケ、オペラ、バレエへの投資を優先していたからなんですが)、ようやく見に行けました。
会場はトテナム・コートロード駅を出て目の前のドミニオン・シアター。エントランスの上に巨大なフレディ像があるので非常に目立ちます。中に入ると結構古くさい劇場。コリーシアムよりもさらにくたびれてる感じです。席はストールの後方(WW列)だったのですが、上階席の天井が思いっきりかぶさっていて圧迫感があり、舞台の上のほうは一部見えないものの、鑑賞に支障があるほどのものではありません。実はチケットを取る際、ロンドンに来たてのころホールの席選びで大いに勉強になったTheatremonkey.comのコメントを今回も参考にさせてもらいました。そこにもあるように、このクラスのチケットでは一つ前のVV列のほうがベターでしょう。というのは、何故だかわかりませんがVV列のさらに前の3列分くらい、一人も座らずごそっと空いていて視界良好だったからです。多分高いチケットの最後尾なので売れないんでしょう。
ちなみに、WW列から見たステージはこんな感じです。
ミュージカルは当然クイーンの楽曲のみで構成されていて、休憩含めて3時間くらいと、結構長いです(でもオペラを思うと普通か)。あらすじは、
遠い未来、キラー・クイーン率いる巨大企業グローバル・ソフトに支配された地球で、ボヘミアンと名乗る反乱分子が地下活動(アジトは廃墟となったトテナム・コートロード地下鉄駅)を続けている最中、少年ガリレオと少女スカラムーシュが出会い、ボヘミアン達と共に伝説のロックバンド・クイーンが残した楽器を探す。ついに見つけた伝説の地で石の中から出現したブライアン・メイ・スペシャルモデルのギターを弾くとキラー・クイーンは倒れ、人々に自由が訪れた、めでたしめでたし、「伝説のチャンピオン」大合唱。ボヘミアン・ラプソディも聴きたいかい?
という、まあたわいもないもの。曲のセットリストは以下の通りです。
Act I:
1. Innuendo
2. Radio Ga Ga
3. I Want to Break Free
4. Somebody to Love
5. Killer Queen
6. Play the Game
7. Death on Two Legs (instrumental)
8. Under Pressure
9. A Kind of Magic
10. I Want It All
11. Headlong
12. No-One but You
13. Crazy Little Thing Called Love
14. Ogre Battle (instrumental)
Act II:
15. One Vision
16. Who Wants to Live Forever
17. Flash
18. Seven Seas of Rhye
19. Fat Bottomed Girls
20. Don't Stop Me Now
21. Another One Bites the Dust
22. Hammer to Fall
23. These Are the Days of Our Lives
24. Bicycle Race
25. Headlong (reprise)
26. Brighton Rock solo (instrumental)
27. Tie Your Mother Down (instrumental)
28. We Will Rock You
29. We Are the Champions
Encore:
30. We Will Rock You (fast version)
31. Bohemian Rhapsody
ぱっと見、後期の曲に偏ってるかも、と思ったのですが(まあどこからが「後期」かという議論はあるものの)、実際に初出のアルバムごとに集計すると以下のようなところでした(2回出てくるHeadlongは1回として数えてます)。
2 Queen II (1974)
2 Sheer Heart Attack (1974)
2 A Night at the Opera (1975)
2 A Day at the Races (1976)
2 News of the World (1977)
3 Jazz (1978)
1 Live Killers (1979)
3 The Game (1980)
1 Flash Gordon (1980)
1 Greatest Hits (1981) or Hot Space (1982)
3 The Works (1984)
3 A Kind of Magic (1986)
1 The Miracle (1989)
3 Innuendo (1991)
1 *Single (1997) or Greatest Hits III (1999)
これを見ると、一つのアルバムからの選曲は最大3曲に止め、ほぼ全てのアルバムから選出して、どの世代のファンからも支持されたい(逆に言うとソッポを向かれる世代がないように)という全方位的な気配り、別の言い方をするとマーケティング戦略が感じられます。ただ、ファーストの「Queen」と、ある意味ラストの「Made in Heaven」からの選曲が1つもないのは残念で、どうせなら"Keep Yourself Alive"とか"I was born to love you"も押し込んで欲しかった、とは思います。
ロックミュージカルなので音量はロックコンサートと同じと思ってください。普段クラシックのみを聴き慣れた耳になっている人には、音が大き過ぎて絶えられないかもしれません。ミュージシャンは、よく見えなかったのですが舞台左右の櫓の上で分かれて演奏していました。クイーンの楽曲がほぼ原曲そのまんまのアレンジで、ギターソロ含めクイーンサウンドを涙ぐましいくらい忠実に再現しているのが嬉しかったですが、これも当然ファンの涙をしぼる戦略なんでしょう。後であらためてパンフに書いてあったバンドメンバーを見てみると、キーボードにSpike Edney、ベースにNeil Murrayの名前が。何と!モノホンじゃないですか。スパイクは長年ツアーのサポートをやっててほとんどクイーンの準メンバーですし、大御所ニールもブライアン・メイ・バンドでクイーンの曲は相当演奏しています。この日の公演にその人達が実際ピットに入っていたかは確認できませんでしたが(彼らもそんなにヒマじゃない気がする)、このミュージカルがバックバンドの充実を重要視している姿勢はたいへんよくわかりました。
歌手は、もちろんフレディと比較してどうのこうのいうのは野暮として、皆さんさすがにちゃんと「歌える」人が揃ってました。そりゃそうだわな、でないとクイーンの楽曲でミュージカルを構成するというアイデア自体が成り立たないもの。中でもKiller Queen役の人は恰幅の良い黒人女性でしたが、腰の据わった声とコミカルな演技が特筆ものでした。出番が少ないわりに美味しい場面ばかりなのも、おトクな役柄だったでしょう。
クイーン好きなら、まあ一度はご覧になっといて損はないミュージカルです。私も、また見てみたいと思いました。もちろん、本当は本家のクイーンのライブを見れればなあ、という無い物ねだりなんですけどね…。ところでいつもオペラ座や演奏会に頻繁に連れて行ってるうちの娘も、このミュージカルはたいへん気に入ってしまって、「次から私はミュージカルがいい、オペラとかコンサートはもうヤダ」などと抜かしておるので、両親ピンチ、です…。
おまけ。スイスのモントルーにあるフレディの像。
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