Queen + Adam Lambert @ Hammersmith Apollo 初日2012/07/11 23:59


2012.07.11 HMV Hammersmith Apollo (London)
Queen + Adam Lambert
Brian May (G, Vo), Roger Talor (Ds, Vo), Adam Lambert (Vo)
Spike Edney (Key, Musical Director), Neil Fairclough (B), Rufus Taylor (Ds, Perc)

このライブ、元々はクイーンのバンド結成40周年を記念してネブワースのロックフェスSonisphereにヘッドライナーとして出演する予定が、ロックフェス自体が開催中止になり、では単独でやろうという、クイーンファンにとってはむしろ願ってもない「瓢箪から駒」の話になったようです。ポール・ロジャースとの衝撃的なツアーから早7年、今回は米国のオーディション番組「American Idol」出身でTVではすでに共演している若手シンガー、アダム・ランバートをボーカルに迎えて、キエフ、モスクワ、ヴロツワフ(ポーランド)にロンドン2日間(後で追加公演が1日プラス)というミニツアーに結局落ち着きました。ロンドンの会場は初期のころ数々のライブをこなしてきたハマースミス・アポロ(当時の名称はオデオン)。まさかハマースミス・オデオンに生クイーンを見に行くなんてことが今更自分の身に起ころうとは、これっぽっちも想像しませんでした。

当然ながらロンドンの3日間とも即日完売のプラチナチケットで、後日出たリターンを何とか運良くゲットできたのですが、もう若くはないのでオールスタンディングのストールではなく、上階サークル後方の着席にしました。普通ならクイーンはスタジアム級の箱でしかパフォーマンスしないバンドであることを思えば、肉眼で見えるのだから近いものです。周りを見渡すと、年齢層の高いこと高いこと。どう見ても60歳は超えてそうな人もたくさんいました。


ステージまではこのくらい遠いです…。

アダム・ランバートは派手な衣装を何度も着替えながら、でも足は裸足で熱唱。ポール・ロジャースがAll Right Now等自分の持ち歌もいくつか入れて来たのと対象的にアダムは潔く全てクイーンナンバーで通しました。歌はそれなりにしっかり歌えていたのが驚きですが、やっぱり多少の気後れがあるのか、あるいは歌に集中するあまりか、仁王立ちでマイクを持つ場面が多く、パフォーマー、エンターテイナーとしての「格」は、ポール・ロジャースやジョージ・マイケルとは(もちろんフレディとも)比較するのが気の毒です。また、ポールがフレディのコピーをやる気などこれっぽっちもなく、見事に自分の歌として消化していたのに比べ、やっぱりアダムはフレディの節回しに引きずられている歌い方になっていて(まあ、しょうがないですけどね)、もっと吹っ切れたほうが結局は良いのになあ、と思ってしまいました。


アダムのたたずまいはカッコいいので、もっとハジケて動いてくれればよかったんですが…。

ブライアン・メイ、ロジャー・テイラーともにもうすぐ誕生日で、各々65歳、63歳になるんですなあ。二人ともすっかり白髪で老人顔になり、ロジャーなどは昔のキュートボーイは見る影もなく、お腹ポッコリの好々爺、という感じです。7年前はさすがにここまで老け込んではいなかったと思います。いつものごとく二人とも自分の持ち歌でメインボーカルを取りますが、声が出てなかったです。ブライアンのギターは(もちろん若いころほどの勢いはないものの)まだ往年のプレイを維持していましたが、ロジャーのドラムは手が回っておらず、息子のルーファス君が単なるパーカッションの色添え以上に父親のドラミングをサポートしていたおかげで何とか最後までもった、という感じでした。死ぬまで元気バリバリだと思っていたこの人達にも老いはやってくるんだなあと、ちょっと淋しくなりました。誤解を恐れず正直な感想を言うと、こないだ見たミュージカル「We Will Rock You」のほうが、バンド演奏という意味では数段上だったかなーと。でも、何だかんだ言っても、生きて動いている本物のブライアンとロジャーをまた見れたというだけで、わざわざ足を運んだ値打ちはあったし、ステージングは素直に楽しめるものでした。最後のほうは火は噴くわ、花火は上がるわで、オデオンの狭いステージがたいへんなことになっていました。



ドラムを息子のルーファスに任せ、自分はマイクを持って熱唱するロジャー。ポッコリお腹が気になります…。

ところでちょっと不快に思ったのは、演奏中のほとんど最初から最後まで、写真やビデオを撮ってる人の何と多いこと。スマホの性能が上がったからそういうこ ともできるようになったわけで、昔だったら考えられないことですよね。私も少しだけですがこっそり写真は撮ったので人のこと言えませんが、周りのことなど お構いなしにスマホを高く掲げてずっと録画している輩は、はっきり言って邪魔以外の何物でもない。お前はいったい何しに来たんじゃと。



最後はアダムがクイーンTシャツを着て登場。ブライアン、ロジャーとの競演は、彼にとっては夢のような体験でしょう。

Hammersmith, 11th July: Set List

Flash (intro)
Seven Seas Of Rhye
Keep Yourself Alive
We Will Rock You (Fast)
Fat Bottomed Girls
Don’t Stop Me Now
Under Pressure (Roger/Adam duet)
I Want It All
Who Wants To Live Forever
A Kind Of Magic (Roger)
These Are Days Of Our Lives (Roger)
The Show Must Go On (part) (Brian)
Love Of My Life (Brian)
'39 (Brian)
Dragon Attack
Drum Battle / Guitar Solo
I Want To Break Free
Another One Bites The Dust
Radio Ga Ga
Somebody To Love
Crazy Little Thing Called Love
Bohemian Rhapsody
---
Tie Your Mother Down (Brian)
We Will Rock You
We Are The Champions

コメント

_ 守屋 ― 2012/07/13 05:22

こんばんわ。楽しまれたようですね。

 ロッキング・オンのサイトや、新聞紙上の野外コンサートの写真を見ると、ロック・ポップコンサートでは観客が音楽を聴かずに写真や動画を撮ることの方が、コンサート会場に居る目的になっているように思えます。でも、ミュージシャンもそれを黙認しているのですから、コンサートに行く目的が20世紀とは違ってきているのかもしれないですね。

_ Miklos ― 2012/07/13 06:59

「ライブ」で音楽を聴けるという喜びは、それこそクラシックでもロックでもジャズでも、ジャンル問わずこれほど貴重で幸運な体験はないはずなんですが、せっかくの「ライブ」をメディアに収めることだけにしか執着しないのは、何と本末転倒で悲しいことかと思います。

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