デイヴ・ウェックル&トム・ケネディ・プロジェクト@ロニー・スコッツ ― 2026/05/27 23:59

2026.05.27 Ronnie Scott’s Jazz Club, Main Club (London)
The Dave Weckl/Tom Kennedy Project
Dave Weckl (drums)
Tom Kennedy (electric bass)
Ryan Davlin (tenor sax)
Stu Mindeman (keyboards)
昨日に続き、二夜連続でロニー・スコッツ。今日は欧州ツアー中のデイヴ・ウェックル&トム・ケネディのプロジェクトです。昨今のジャズ・シーンなど全く知識がない私にとって、心を引き寄せられたのがまずはドラマーのプロジェクトでしたので、たまたまサイモン・フィリップスとデイヴ・ウェックルというレジェンドが続いてしまったおかけで連チャンになってしまいました。サイモンが「ストレートな凄腕ラウド系」だとすれば、デイヴ・ウェックルはまさに「異星から来た、人間を超えたハイテク手数系」ドラマー。ちょっとでも隙間があれば高精細な変態的フレーズのオカズで埋めていき、なおかつ音楽としてセンス良く成立させるバランス感覚を備えた、サイモンとは全くタイプの違うジャズ・ドラマーです。過去に一度だけそのプレイを見たのは2004年、真夏の盛りのブダペストで、チック・コリア・エレクトリック・バンドのオールスタンディングライブでした。
今回はPriorityではなくStandardの席を試してみました(というかPriorityは売切れ…)。昨日の経験から10分早めに到着したものの、入場の列はさほど変わらず、やはり着席できたのは17時45分頃。案内された席がやや後方なのはまあ仕方がないのですが、ちょうど柱がドラムセットに被る位置でドラマーの姿が見えにくく、がっかりしました。会場内には他にも柱はあるものの、ステージを遮るような柱はこの1本だけで、自分で選べるなら(特にドラムが目当ての自分にとっては)絶対に選ばないエリアの席です。実際、ドラムはほぼ全身がスポッと柱の影に入ってしまい、演奏中に辛うじて見えたのがドラマーの左手首から先だけというたいへん残念な状況。今後ここに来る際は何としてもこの邪魔な柱を回避したく、そうすると基本はPriority席を買うのかなと思いました。あとは入場する際の配席担当者にダメ元で希望を言ってみるとか。

ベースのトム・ケネディは、初めて見ますが、長身の眼鏡姿が頼もしさを感じさせるナイスミドル。ウェックルとは90年代から組んで、ずっと一緒にプレイしている相性抜群の盟友です。スラップはやらないものの、こちらもかなりの手数系と言えそうです。今日のセットリストは、5月に出たばかりのケネディ自身の新作リードアルバム「The Summit」と、彼の過去作からの選曲が中心。名義こそウェックルを前面に出したプロジェクトながら、実質的なバンドリーダーはケネディだと見ました。演奏した曲はどれ一つ音源を持っておらず、知らない曲だったのですが、曲を知らないのがむしろデフォルトで、それでも十分楽しめるのがジャズライブの良いところだと改めて感じました。

そもそも今回の目的は「デイヴ・ウェックルの生プレイを見ること」。その意味では「見る」ことは満足できなかったものの、生演奏の音は堪能できました。ドラムセットはヤマハ製で、ラックで固定された比較的オーソドックスなジャズドラムの構成。打ち込みはなかったと思うのですが、ミキサーがあり、本人もイヤモニをしていたので、モニタの返し、兼、耳の保護もあったのではないかと。それにしてもやはりウェックルは凄かったの一言です。圧倒的なドラムプレイと千手観音のドラムソロは66歳になった今も健在。基本パターンの際は昔よりも多少大人しくなった気もしましたが、無理筋なオカズをしれっと突然詰め込んで、リズムは一切ブレることなく通り過ぎるその安定感よ。単に音数が多いだけでなく、片手だけで高速タム回しをやってみたり、誰もやらないようなフレーズのアイデアがいちいちカッコ良い。センスがぶっ飛んでるので、長年のパートナー、ケネディですら時々合わせ損ねる場面もありました。そして、異次元のドラムソロはもう言葉もありません。恐ろしいのは、これだけメチャクチャ叩きまくって、まだまだ余力を残しているような余裕が感じられること。しかし、無駄な動きが少なく身体的な動作は非常にコンパクトなので、柱の影からはやっぱり左手の手首から先しか見えないという恨み節…。とにかく今日は席が最悪だったので、ウェックルにはどんな企画でもいいからまた近いうちに来てくれないかな、と思うものであります。
最近のコメント