LSO/パッパーノ/テツラフ(vn):マカロニ・チャイコ!2013/05/16 23:59

2013.05.16 Barbican Hall (London)
Sir Antonio Pappano / London Symphony Orchestra
Christian Tetzlaff (violin-1)
1. Shostakovich: Violin Concerto No. 1
2. Tchaikovsky: Symphony No. 5

先週に続いてパッパーノ大将、今週はLSOです。まずはショスタコのヴァイオリン協奏曲第1番。テツラフは昨年9月のウィグモアホール以来、久々ですが、あご髭をたくわえてちょっとオジン臭くなってました。全身をしなやかに駆使した、ニュアンスの深いヴァイオリンは、何を弾いてもこの人のスタイルです。ただ、今日は角度のついた位置から聴いていたので、身体を揺らすたびに奏者自身が壁になって音を遮り、変に波のついた演奏に聴こえてしまいました。正確無比に指がよく回って、もちろんめちゃめちゃ上手いんだけれど、エモーショナルな部分は極力抑えてあり、こけ脅しのないストレートな上手さが、何度聴いてもまた次が聴きたくなる、この人の魅力です。アンコールは定番のバッハのパルティータから「サラバンド」。うーむ、何度目かなと思って過去の備忘録を読み返してみると、意外や、アンコールでは聴いてなくて、聴いたのは昨年9月のソロコンサートなのでした。



深々と、頭を下げる、クリスチャン(季語なし)

メインの「チャイ5」はパッパーノのオハコのようです。基本、スコアに忠実。必要以上に粘ったり、無理な加速をしたりという煽動的な要素はありませんが、特徴はとにかく旋律がよく歌う、カンタービレのチャイコフスキー。元々叙情的、感傷的な旋律の宝庫である曲ではありますが、オペラマイスター・パッパーノの「歌」は、凍土の上に吹雪吹きすさぶ北の大地のメランコリーと言うよりも、もっとラテン系でカラッと明るい、ロシアの風土からは異質のもの。言うなればマカロニウエスタンならぬ「マカロニチャイコ」でしょうか。とは言っても生粋イタリア人のような名前のアントニオ・パッパーノ、実はイギリスで生まれアメリカで音楽教育を受けた、音楽的にはバリバリのアングロサクソン系経歴の人なので、イタリアの風土はあまり関係ないようです。

オケは相変わらず上手いです。第3楽章の弦の速いパッセージなど、よくここまでピシッと揃うもんだと。金管も腹八分目の余力を持って流してます。今日のティンパニはサブのベデウィ。至って真面目に、スコア通りの音を正統に叩いていたのが主席のトーマスと対照的でした。

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