LSO/パッパーノ:チャイ4は言葉にならない充実感2013/05/19 23:59


2013.05.19 Barbican Hall (London)
Sir Antonio Pappano / London Symphony Orchestra
1. Lutoslawski: Concerto for Orchestra
2. Tchaikovsky: Symphony No. 4

先週から、パッパーノ三連発になってます。先日のチャイコ5に続き、今日はチャイ4。しかしその前に、オープニングは生誕100年記念イヤーのルトスワフスキ「オーケストラのための協奏曲」、通称「オケコン」。古今東西数ある「オケコン」の中で、ダントツ人気のバルトークの次に有名なのが多分このルトスワフスキだと思いますが、実はほとんど初めて聴く曲でした。ポーランドの民族音楽に取材し、バルトークほどのカラフルさはなく終始重苦しい曲調ですが、熟練と洗練の境地であるバルトークよりもある意味荒々しい駆動力を感じる、なかなかカッコいい音楽です。パッパーノがどのくらいこの曲に思い入れがあるのかよくわかりませんが(少なくとも専門家ではないでしょう)、こういうぐいぐい押す音楽は得意とするところ、澱みなく畳み掛けて勢いをつけたままフィニッシュ。1曲目からお客大喜び。

メインのチャイ4。こないだのチャイ5と同様カンタービレ満開の「マカロニ・チャイコ」の系統でしたが、チャイ5ほど曲調がメランコリックではないので、第1楽章なんかは所々リズムにちょっとしたぎこちなさを感じたりもしました。しかし第2楽章ではパッパーノの本領発揮、作り物の匂いが一切しない、なめらかなエンヴェロープで流れて行く大自然の音楽。終楽章はLSOの高い演奏技術力を駆使して究極の「喜びの讃歌」を派手に演出します。先日のチャイ5も実はそうだったんですが、パッパーノのチャイコフスキーは何だか言葉にならない充実感に満ちあふれていて、あれこれ感想文をひねり出そうとするのですが、私の表現能力ではとても何かを書けたとは言えません。同じLSOでもどこか嘘っぽいゲルギエフのほうが、まだいろいろと言葉を連ねることができましたね。音楽を言葉にするって、本当に難しい…。

今日のティンパニは主席のトーマス。さてどうするかと注目していたら、やっぱり昨年同様、ペダルを駆使して勝手に俺流メロディを奏でていました。しかしふと思ったのは、こんな派手な改変をプロの指揮者が気付かないはずはないのに、この人、よく怒られないなと。




おまけ、本日のミナ嬢。