BBC響/ミンコフスキ/パーション(s):ペール・ギュント2012/12/15 23:59

2012.12.15 Barbican Hall (London)
Marc Minkowski / BBC Symphony Orchestra
BBC Singers
Alain Perroux (stage director), Johannes Weisser (Peer Gynt/baritone)
Miah Persson (Solveig/soprano), Ann Hallenberg (Anitra/mezzo-soprano)
Actors from the Guildhall School of Music & Drama:
Patrick Walshe McBride (Peer Gynt)
Grace Andrews (Solveig, the Girl in Green, Anitra, and other roles)
Evelyn Miller (Narrator), Melanie Heslop (Ase, and other roles)
Cormac Brown (Mads Moen, the King of the Trolls, and other roles)
Tom Lincoln (The Boyg, the Passenger, the Button-moulder, and other roles)
1. Grieg: Peer Gynt (concert performance)

前日に引き続き、12月はバービカンが続きます。「ペール・ギュント」は最も著名なクラシック曲の一つと言ってもよいくらいの有名曲ですが、なかなか全曲通して聴く機会はありません。本来はイプセン原作の戯曲のために作られた劇付随音楽というカテゴリ。音楽だけだと全部で85分くらいですが、途中の台詞を含めると2時間を越える長丁場となります。

あらすじは、「母と二人で暮らす放蕩息子のペール・ギュントは、村の結婚式で出会った清楚な乙女ソルヴェイグに恋をしつつも、花嫁のイングリッドをさらって逃亡、放浪のたびに出る。飽きたらイングリッドを捨て、魔王の娘(緑の少女)と結婚しようとして最後は逃げ出し、追ってきたソルヴェイグも山小屋に置いたまま、故郷に戻って母オーゼの死を見取る。怪しげな商売で財産を築くも妖艶な娘アニトラに騙し取られ、年老いて故郷に帰ると閻魔大王のようなボタン職人にボタンにされそうになり、最後は山小屋にたどり着いて、ずっとペールを待っていたソルヴェイグの子守唄を聴きつつ息を引き取る。」という、荒唐無稽な中にも寂寞な余韻が残る一大叙事詩です。

今日はミア・パーションを筆頭に北欧系の独唱者を揃え、歌は原語(ノルウェー語)で歌われますが、劇の部分は英訳版を使い、ギルドホール音楽演劇学校の学生6人によってプレイされました。ペールとナレーター以外は一人で何役もやらなければいけないのでたいへんでしたが、役者の卵さんたちは若いながらも皆芸達者で、笑かし、泣かせてくれました。特にペール役の男の子は熱演で、やんやの拍手を受けていました。個人的にはオーゼの子が可愛かったのと、ナレーターの女の子が多分一番若いのに滑舌は最も確かで頼もしかったです。

それにしても今日はオケが良かった。ミンコフスキは初めて聴きますが、元々はバロック系の人ながら、ロマン派も振れる芸域の広さを持った人の様子。きびきびとキレの良い劇的な表現がこの壮大かつはちゃめちゃなストーリーにマッチして、たいへん好ましかったです。合唱も今日はアマチュアのBBCシンフォニーコーラスではなく、プロ集団のBBCシンガーズ。少数精鋭で精緻な合唱を聴かせてくれました。独唱は、ソルヴェイグ以外はスポットで歌うだけですし、何故か舞台手前ではなく中ほどで歌う演出だったので声の通りも悪く、印象不足でした。ソルヴェイグ役のパーションは一人指揮者の横で歌ったかと思えば、舞台袖に引っ込んでまた歌い、再び指揮者の横に戻ってきて歌うという忙しさ。私の好みからするとちょっと線が細すぎる気もしましたが透き通る美声で、役にはぴったりでした。オペラでも聴いてみたいと思いましたが、声量はどうなんでしょうかね?


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