LSO/ズナイダー/アンデルシェフスキ(p):想定内のマーラー、想定外のモーツァルト2013/04/04 23:59

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2013.04.04 Barbican Hall (London)
Nikolaj Znaider / London Symphony Orchestra
Piotr Anderszewski (piano-1)
1. Mozart: Piano Concerto No. 25, K503
2. Mahler: Symphony No. 5

今年初のマーラーです。しかも5番はほぼ2年ぶり。過去3年を振り返ってマーラーの演奏会に何度行ったかを数えてみると、生誕150年だった2010年は8回、没後100年だった2011年はマゼール/フィルハーモニア管による全曲演奏会などもあったりして18回、記念イヤーが過ぎて落ち着いたはずの2012年も7回ありました。今年はこれ以降、一つもマーラーのチケットを買ってない…。

まずはモーツァルトのコンチェルト。ピアノのピョートル・アンデルシェフスキは初めて見る人ですが、一目見て、天然系。ピアノに向かっているとき以外は全く生活力なさそう(失礼)に見えます。その第一印象に違わず、ピアノは天才肌の個性的なモーツァルトでした。まず、音が異常に太い。ありがちなコロコロと音を回すモーツァルトではなく、軽快さを排除した非常にシリアスな演奏に、実は面食らいました。カデンツァも「え、これがモーツァルト?」と思うほどポリフォニックなものだったので、多分自作でしょうか。オケがこれまた重めの足取りでしたが、これはハイティンクの指揮でもそんな感じだったかもしれないので、LSOが奏でるモーツァルトの特質かもしれません。第2楽章がこれまた全く自分自身のモノローグ的な演奏で、本人の発するうなり声が気になって仕方がありませんでした。ともかく、余計なものがいっぱいくっついたモーツァルトという印象。うなり声を出す奏者はけっこういますけど、彼のは何だかとっても耳障りで、良いピアニストなんだろうけど、私にはダメでした。彼はポーランドとハンガリーのハーフらしいので、バルトークは絶対イケると思います。是非やってください。


メインのマーラー5番。ズナイダーはヴァイオリンでは過去2回聴いていますが、指揮は初めて。本音を言うと、器楽奏者が二足のわらじで、特に奏者として脂が乗ってしかるべきのころに指揮までやりたがるのには一般論として良い印象を持っていません。今日も「青二才のヴァイオリニストがマーラーとは、百年早いわ!」とまでは言いませんが、多少の色眼鏡はどうしても付けていました。さてこの人はどうしたもんかと半分眉唾で臨んだところ、ともかくオケが上手過ぎで、幸いというか、指揮者の力量など吹っ飛んでいました。前回LSOでマーラー5番を聴いたときにも増して、フィリップ・コッブのトランペットは胃に寒気が走るくらいパーフェクト。ホルンも負けじと、ちょっと音が揺れてしまったらその直後はムキになったりして、張り合っているのがよくわかりました。全体的にマーラーとしては全てが想定の範囲内で、特段個性の際立つところはありませんでした。オケを八面六臂にリードしているようには見えず、逆にリードされているようにも見えましたが、「良い日のLSO」をこれだけ確実に引き出しているのは、実は優れた指揮者なのかもしれません。コンマスのシモヴィッチはいつにも増して大きい身振りでノリノリの演奏でしたが、内実はこの人が全てを引っ張っていたのかも、と後になって気付きました。今日の結論として、少なくともLSOを指揮するズナイダーは、安心して聴ける音楽を与えてくれると言えそうです。