「なんでんかんでん」の思い出 ― 2012/12/26 23:59
とんこつラーメンのことを書いていて、いろいろと調べごとをしているうちにふと目に入ったニュース。
『環七沿いのラーメン店「なんでんかんでん」、25年間の営業に幕』
バブル期に行列のできるラーメン屋として名をはせた世田谷の「なんでんかんでん」本店が2012年11月5日をもって店を閉じたそうです。
先の日記で「本当にちゃんとしたとんこつスープを取ろうとしたら、悪臭を撒き散らして近所から苦情が来るくらいが当たり前。」と書いたとき、まずはこの店のことが頭にありました。
大学生時代、この店のごく近所で一人暮らししてました。風呂なしアパート(当時の学生はそれが普通でしたが)だったので毎日(よりは少ないか…)銭湯に通っていましたが、ある日、その通い道からちょっとずれた場所に新しいラーメン屋がオープンしているのをたまたま発見。お風呂帰りに興味本位で入ってみて、以来すっかりハマってしまいました。当時すでに熊本の桂花ラーメンは渋谷にありましたが、歯ごたえのあるストレートな細麺に、すぐに油膜が張ってくる脂っこい白濁スープは新鮮な感覚で、これはいいものを見つけたと九州出身の友人を連れて行ったら、これはほんまもんの博多ラーメンだと。
あたり前ですが開店当初はお客が少なくて、川原店長と、もう一人、確か何処かのホテルでコックをやってたという調理人の二人で作っていたと思うのですが、客はカウンターに私一人で、ひまなのでリンゴを剥いて食べていて、「リンゴ、どうですか」「あ、どうも」といただいたりして、あの店にもそんなのどかな時代がありました。
別の日、定期券入れをお店で落としてしまって、あちゃーなくしたと思っていたら、留守番電話に川原店長がオカマっぽいふざけた声で「お忘れになってるわよーん、取りにいらして〜」とメッセージを残していて、大慌てで取りにいった思い出もあります。よく通ってはいたけど個人的な付き合いはなかったので、一緒に入っていた身分証明書を見て電話してくれたのでした。
口コミで人気が出てきてお店も結構人が埋まるようになったころ、私は引っ越してしまいましたので、それ以降あまり行くことはできませんでした。特に「なんでんかんでん渋滞」と呼ばれるほどの異常な違法駐車と待ち行列ができるようになってからは、一度しか行ってません。最後に行った時、最初と比べてずいぶんと味が変わってしまったような気がして、もはやここまで待って食べるものでもないと、自分の中の「青春思い出箱」に封印してしまいました。
その後ブームも去り、フランチャイズ店はことごとく閉店し、本店にもかつてのような行列はできなくなったとのことでした。今回の閉店ニュースを読んで、もし自分がまだ東京にいたなら、最後に是非もう一度食べたかったものだと、しみじみ思いました。
あー、ほんまもんの博多ラーメンが食べたくなってきた…。
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