ロンドンのニューウェーブとんこつラーメン三題2012/12/21 23:59

ラーメン不毛地帯のロンドンに、今年は立て続けに新しいお店がオープンしました。一点張は以前すでに紹介しましたが、今回は最近できた3店舗(何故か全て「とんこつラーメン」)をトライしてきましたのでご報告。

Shoryu
http://www.shoryuramen.com/
ピカデリーのジャパンセンターの道を挟んだ向かい側に先月開店したばかりのホヤホヤです。プレオープンの半額セールに妻が行ったときは1時間並んだとのことだったので、空いてそうな夕方5時ごろを狙って行ったらガラガラでした。本格的博多ラーメンがついにオープンというふれこみだったので、まずは「博多とんこつ」£8と、ついでに餃子£5を注文。



スープは見たところ白濁の博多ラーメン風。臭みはなく、やけにあっさりした味わいです。まあ、こういうのが好きな人もいるでしょうが、博多の味ではないな。気になったのはミルク臭い味がしたこと。もしや、色を整えるために牛乳を加えている?あと麺は、妻から聞いていた通りヤワい縮れ麺で、全然博多の麺じゃありません。まあ、妻が「麺がダンゴ状で話にならない」とボロカスに言ってたほど食えないこともなかったですが、やっぱり「ロンドンのラーメン」の域は出ず。餃子はまあ普通でした。一点張の餃子よりは良いかも。テーブルに胡椒、ニンニク、ゴマ等を置いといて欲しいところです。でもリピートはないですかね。

Bone Daddies
http://bonedaddiesramen.com/
こちらはソーホーにちょっと前にオープンしていた、元NOBUで働いていたというオーストラリア人がオーナーのラーメン屋。店構えは全くモダンなバー風で、全然ラーメン屋らしくないので、最初気付かず通り過ぎてしまいました。ランチタイムでしたが日本人らしき客はゼロ、白人ばっかりでした。ジャパニーズな雰囲気はみじんもありません。ただし、すりゴマとニンニク潰しがテーブルにあるのは好感度大(胡椒はなし)。ここでもまずは「とんこつラーメン」£11にトライ。



非常にクリーミーなスープは見た目京都の「天下一品」系です。他のブログで「ダブルクリームが入っている」と書いている人がいましたが、Shoryuと違ってミルク系の風味はせず、正統的な骨髄系のスープでした。チャーシュー、煮玉子はちゃんと日本風に作ってあります。ただ、麺はやっぱり…。あと、量が少ないですね。これで£11はかなりの割高感です。

Tonkotsu
http://www.tonkotsu.co.uk/
最後はこれまたソーホーの新しいお店。「とんこつ一本で勝負する」というこだわりの店名と思いきや、メニューには東京醤油などもあり。ここも調理人、給仕共に白人ばっかりでしたが、店構えはここが一番日本のラーメン屋に近いかな。注文はもちろん「とんこつラーメン」£11。餃子£5も付けました(それにしてもロンドンのラーメン屋の餃子って、何でみんな高いんだ)。テーブルに胡椒はありましたが、生ニンニクはオプションで別料金でした。



スープはあっさり薄味、色も薄くて白濁度が低いです。MSGは一切使っていませんというふれこみ通り、確かに変な味はしないけど旨みも薄かったです。ちょっと加えた酸味がさらにさっぱり感を増していました。こういうのが好きな人もいるんでしょうけど、私の期待するとんこつでは全然ないなー。餃子がまたラーメン以上に薄味で、これはいただけなかった。一方、チャーシュー、煮玉子はBone Daddiesと似ていて、まともでした。麺はやっぱり残念な「ロンドン麺」。ただし、チラシに書いてあったニュースを読むと、現在製麺機を日本から取り寄せ中とのこと。機械があればいいってもんじゃないですが、店主が麺にもこだわるつもりがあるというのは重要です。製麺機の成果が出たころにまた行ってみるとしましょう。

まずは基本的なこととして、本当にちゃんとしたとんこつスープを取ろうとしたら、悪臭を撒き散らして近所から苦情が来るくらいが当たり前。ピカデリーとかソーホーみたいな一等地にお店を構えるのはそもそも無理があるというか、お店の本気度を問いたくなるところです。実際どの店のスープも濃厚な旨み、こってり感、とんこつ特有の獣臭さが物足りません。それにもまして問題なのは、麺。ロンドンにはなぜまともな麺が入ってこないんでしょうか。前に「一点張」の店長のインタビューを読んだときも、スープへのこだわりを延々としゃべっているわりには麺への言及はほとんどなく、こりゃーダメだ、麺が改善される日は来ないな、と思ってしまいました。ロンドンにも麺に目覚めるラーメン屋が早く出てきてくれないものかと、切に思います。