チョン・ミョンフン/東京フィル:あんたは偉い!「田園」と「春の祭典」 ― 2024/02/27 23:59
2024.02.27 東京オペラシティ コンサートホール(東京)
チョン・ミョンフン / 東京フィルハーモニー交響楽団
1. ベートーヴェン: 交響曲第6番『田園』
2. ストラヴィンスキー: バレエ音楽『春の祭典』
チョン・ミョンフンは2016年に一度聴いたきりで、また聴きたいとは思いつつもチャンスがなかったところ、今シーズンのプログラムに「田園&ハルサイ」というそそる演奏会を発見、忙しい時期なのはわかっていつつもついポチってしまいました。この「田園&ハルサイ」は、先日も書きましたが1981年に聴きに行った小澤征爾/ボストン交響楽団の来日公演と全く同じで、当然その思い出もあってこのチケットを買ったわけです。先日の読響演奏会といい、2月は奇しくも個人的にはディープな小澤征爾追悼月間になってしまいました。
東フィルは昨年聴きましたが、定期演奏会はほぼ初めてかもしれません。東フィルの定期はオーチャード、サントリー、オペラシティの3箇所で同じプログラムをかっきり3回ずつ繰り返す仕様になっています。オペラシティのコンサートホールもえらい久しぶりだなと思って記録を調べると、前回は何と16年前の2008年。ついでに、「田園」は12年ぶり、「春の祭典」も10年ぶりの実演ですので、何とも久々づくしの演奏会です。
会場はほぼ満員。まず「田園」は、わりと緩くおおらかな演奏。この曲を心象風景と捉えるか、描写音楽と捉えるかといったら、後者が多めの解釈で、狙いはカラフルな色彩感だったかと思いましたが、ホルンの音が硬いのと、全体的にキレがない、悪い時の東フィルという感じがしました。まあここはまだジャブというか、後半のハルサイとのバランスを考えて、重くならず腹八分目程度で抑える意図もあったのかと。
というのも、後半のハルサイが前半と真逆といっていいくらいキレキレの豪演だったからです。チョンは、田園は言うまでもなく、ハルサイまで譜面を置かず全て暗譜で振り切りました。前半とは打って変わってハイレベルのブラスセクションが鋭いリズムをキレよく刻み込みます。要のダブルティンパニは、ステージスペースの都合か変則的な配置でしたが何の支障もなく二人の息もピッタリ。チョンのタクトと一体になったオケのうねりもシンクロ率が極めて高く、こればかりは、今日が今回のプログラムの最終日であることが功を奏していたと思いました。期待を遥かに上回る完成度の高いハルサイで、終演後の満足げなマエストロと、団員が見せた「してやったり」のドヤ顔がそれを如実に物語っていました。アンコールは大太鼓の連打から第一部の終曲「大地の踊り」を再演。アンコールでここだけ演るパターンは初めて聴きましたが、どうもチョンがハルサイを振るときの定番のようです。それにしても、日本のオケでここまでのレベルを聴けるとは、チョンは今後も見逃せません。
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