日本フィル/タカーチ=ナジ/ペレーニ:至極を超えたドヴォルザーク ― 2025/06/07 23:59
2025.06.07 サントリーホール (東京)
Gábor Takács-Nagy / 日本フィルハーモニー交響楽団
Miklós Perényi (cello-1)
1. ドヴォルザーク: チェロ協奏曲 ロ短調 op.104, B.191
2. ブラームス: ハイドンの主題による変奏曲 変ロ長調 op.56a
3. モーツァルト: 交響曲第41番《ジュピター》 ハ長調 K.551
前週に続いてタカーチ=ナジ・ガーボルの日フィル初客演シリーズ、最終日(と前日)は場所をサントリーホールに変え、盟友ペレーニおじさんとの共演です。
ハンガリーだけでなく世界が認める巨匠のペレーニさん、ブダペスト在住時にハンガリー国立フィル、ブダペスト祝祭管へのソリスト客演と、タカーチ=ナジらと結成したミクロコスモスSQで何度か聴く機会がありましたが、この至極のチェロをこれだけ至近距離で聴ける幸せを毎回ただただ噛み締めていました。最後に聴いたのは2009年のN響への客演で、この時もドヴォルザークのコンチェルトでした。そこから16年ぶりのペレーニさん、顔はさすがに老けましたが(元々老け顔ではありますが)、足取りはしっかりとしていたので一安心。虚飾を一切廃した誠実な芸風は今も健在で、渋いという一言では足りない、音は澄み切ってさらに極上、じっくりと磨き上げた天上のドヴォルザークでした。オケは編成小さめで控えめ、丁寧なバッキングに徹していました。アンコールはバッハの「アルマンド」、ペレーニさんのバッハは今なお進化中で、彼岸に届く透明さを感じました。
今日の後半戦は、ブラームスもジュピターもあまり好んで聴く曲ではなく、自分にとっては正直オマケです。今日もガーボルさんのスコアは蛍光ペンでびっしりと書き込み。横浜の演奏会と同じ感想になりますが、ガーボルさんのリードは弦アンサンブルが非常に丁寧で、上手いというか細かいです。自分が一人で弾くかのような演奏を合奏させている感じで、こう弾いてほしいという伝え方が(特に弦の奏者にとって)たいへん卓越しているのだと思います。ということで、細部に興味はないので一緒くたで失礼ですが、非常に安定したブラームスとモーツアルトでした。アンコールは今日もバルトークやってくれるかなと期待したのですが、「ジュピター」第3楽章メヌエットのリピートでちょいがっかり。
終演後、ステージ上では一般参賀を差し置いて、今日で退団される第2ヴァイオリンの加藤祐一氏と川口貴氏に花束贈呈、団員入り乱れての記念写真撮影大会になっていて微笑ましかったです。
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