読響/下野:ハイドンとブルックナーの「第九」2014/09/09 23:59

2014.09.09 サントリーホール (東京)
下野竜也 / 読売日本交響楽団
1. ハイドン: 交響曲第9番ハ長調 Hob.19­
2. ブルックナー: 交響曲第9番ニ短調 WAB.109

先週に引き続き読響。下野竜也は多分初めて聴きます。まず1曲目はハイドンの「第九」。なぜに第9番かと言えば、メインがブル9なので番号を合わせた、以上の脈絡はないと思いますが、有名どころの「交響曲第9番」はどれも大曲なので、確かに他の選択肢があるとしたらモーツァルトかショスタコーヴィチくらいですか。ハイドンの第9番は、第1番を書いた5年後くらい、作曲者30歳のときの作品なので、意外と年食ってからの曲なんですね。ちなみにモーツァルトが交響曲第9番を書いたのは16歳ごろのようです。本題に戻ると、もちろん私は全く初めて聴く曲で、3楽章形式ですが4楽章型の舞曲(メヌエット)楽章で終わるような中途半端感が残る曲でした。ハープシコードの通奏低音付きでしたが、他の楽器の演奏は見たところ普通にモダンでした。

さてメイン。先日のアルプス交響曲を聴いて、もっと金管の洪水のようなブル9が、果たしてまともに演奏できるのか不安を覚えましたが、なかなかどうして、よくまとまった演奏にほっとしました。全体的にブラスは控えめで、特にトランペットが埋もれ気味だったのはかえって良かった。バランスを考えたコントロールは間違いなく指揮者の手柄でしょう。どちらかというときびきびとした進行ながらも、メリハリがあるのでスケール感は出ていて、納得感のある演奏解釈でした。個人的にはもうちょっと低音が効いた重厚感が出ているほうが好みなのと、後半木管が上ずり気味でピッチも怪しくなったり、コーダのワーグナーチューバが厳しかったのがちょい残念ではありましたが、それはオケの力量の限界の話で、それでもこれだけの好演を引き出した下野は相当デキる奴、との認識を持ちました。是非欧米の馬力オケでこれを振って欲しいものです。