コンセルトヘボウ管/ハイティンク:風林火山のブルックナー2012/05/20 23:59

2012.05.20 Barbican Hall (London)
Bernard Haitink / Royal Concertgebouw Orchestra, Amsterdam
1. Bruckner: Symphony No. 5

バービカンのRCOシリーズ第3弾最終日はマエストロ・ハイティンクの登壇です。ブルックナーの5番と言えば昨年のルツェルン祝祭管の神懸りな演奏が記憶に新しいところですが、オケの上手さではRCOも絶対負けてないだけに、期待は高まります。

まず気付いたのは、弦楽器はチェロ、コントラバスを向かって右に置くモダンな配置で、弦の後ろは一段上がって左半分にホルン2、フルート2、オーボエ2、さらに一段上がって左から残りのホルン2、ファゴット2、クラリネット2、トランペット、トロンボーン、チューバを横一列に並べ、一番後ろ中央にティンパニ(ドイツ式配置)という、特に管楽器の置き方がちょっと変則的とも思える配置でした。RCOはこの上なく分厚い弦の音が持ち味ですが、にもかかわらず管楽器は本当にミニマムな人数しか置かず、俺らにちんけなサポートなんていらねーぜ、という管奏者の誇りを感じました。

冒頭のピツィカートから金管コラールが入ってくるところで、ちょっと「ん?」。トランペットとホルンの音がわずかに潰れて、ささくれ立っています。気のせいかなとも思ったのですが、その後しばらく同じ音色が続き、腰が浮き上がっているような気がしてなりませんでした。ホルンはらしくもなく何箇所か音を外すし、ウォーミングアップが足りなかったんでしょうか。とは言え、冷静に捉えると全然大したキズではなく、他のオケなら全く問題にならないレベルでしたが、他のパートがあまりに完璧で充実していただけにかえって気に障ってしまいました。日曜日の午後3時にロンドンで演奏会をやるということは、日帰りコースなんですかね?マチネはあまり得意じゃないのかも。しかしながら、気になったのは第1楽章だけで、弦は一貫して音の厚みと統制感が素晴らしかったし、木管も骨太で力強く、金管の唇もすっかり暖まった終楽章は全体がまろやかに溶け合い一体となったゴージャスなサウンドがとてつもない迫力で響き渡りました。

ハイティンクの小細工なし、直球勝負の質実剛健な音楽作りはブルックナーによくマッチしていて、もちろんブルックナーってそんな単純なものでもないことは承知の上で、一つのスタンダードとして揺るぎない地位を確立していると思いました。言うなれば風林火山のブルックナー(意味不明)。さすがに、ロンドンでのハイティンク人気はたいしたもので、ほぼ総立ちの拍手喝采で、指揮台から下りたら歩くのも難儀な老巨匠は何度もステージに呼び戻されていました。


遠い写真ですいません…。

コメント

_ feliz ― 2012/05/23 03:46

早い早い、更新もう追いつきましたね。オケは完璧でもう言うことなしという感じでした。私も普段は結構ミスは気になるのですが、この日は気づいても全く気になりませんでした。それにしてもさすがハイティンクの人気はすごいですね。あの質実剛健さがまさに武士のよう。風林火山とはまさに言い当てたり~です(^_^)。

_ Miklos ― 2012/05/23 06:21

ふぅ〜、何とか追いつきました。とか言ってるとすぐ次のが来るから、油断なりません。ハイティンクはCDを買う気は起こらないのですが、ライブは聴けるだけ聴きたいと思います。まあ、もうちょっとレパートリーを広げてもらえると嬉しいのですが…。

_ かんとく ― 2012/05/24 09:51

ハイティンクは昔ロイヤルオペラの監督もやってたんですね。だからでしょうか、いつも拍手がとても暖かい気がします。

_ Miklos ― 2012/05/26 08:22

ハイティンクはロンドンフィルやグラインドボーンの監督もやってましたし、LSOには毎年頻繁に客演に来てますので、サーをあげてもいいくらいに英国音楽業界には貢献してますよね。

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_ *クラシック*音楽生活@イギリス - 2012/05/23 03:39

Sun 20 May, 2012 15:00- @Barbican Hall

Bruckner Symphony No.5

Royal Concertgebouw Orchestra
Bernard Haitink conductor

今回のRCOツアーロンドン公演の2回目。最近ブルックナーづいてますが今...

_ miu'z journal *2 -ロンドン音楽会日記- - 2012/06/05 08:14

20.05.2012 @barbican hall

bruckner: symphony no. 5

bernard haitink / royal concertgebouw o

ハイティンクさんのブルックナーはわたしには不思議です。去年のロンドン・シンフォニーとの交響曲第4番はこれ以上ないと言うくらいにステキで代のお気に入りの演奏なんですけど、一昨年のシカゴ・シンフォニーとの第7番はちっとも共感できなかったし、10年くらい前に聴いたウィーン・フィルとの第8番は、まあ普通ね、という感じでした。なんだか一定しません。
今日のロイヤル・コンセルトヘボウとの第5番は、正直...