LPO/ポルタル/オグデン(g):アランフェスと三角帽子2011/11/25 23:59

2011.11.25 Royal Festival Hall (London)
Eduardo Portal / London Philharmonic Orchestra
Craig Ogden (Guitar-2)
1. Antonio José: Suite from 'El mozo de mulas' (The Muleteer)
2. Rodrigo: Concierto de Aranjuez for guitar & orchestra
3. Falla: The Three-cornered Hat, Suite No. 1
4. Falla: The Three-cornered Hat, Suite No. 2
5. Mussorgsky: Pictures at an Exhibition (orch. Ravel)

連夜の演奏会。未だ時差ぼけ抜け切らぬ体調のためけっこう辛いです。今夜の目当ては「三角帽子」ほぼオンリー。昔から大好きな曲なのですが実演で聴ける機会が少ないので、目に止まれば極力聴きに行くことにしています。

1曲目はアントニオ・ホセの歌劇「らば飼いの少年」からの組曲。ホセは名前からして初めて聴く作曲家でした。Wikipediaで調べるとラヴェルやダリと親交があり、次世代のスペイン楽壇を担う逸材として期待されていたにもかかわらず、スペイン内戦に巻き込まれて何と34歳の若さで処刑されてしまったそうです。指揮者のポルタルは見た目さらに若そうなハンサムボーイで、今年LPOの副指揮者をやっているようで、やせぎすの長身と鬼のような形相から巧みな棒さばきでオケをリードする、と思いきや、オケの反応がイマイチ。慣れない曲なので練習不足なんでしょうか。

気を取り直して2曲目は、第2楽章だけ超有名な「アランフェス協奏曲」。独奏は、名前だけは聞いたことがある人気ギタリスト、クレイグ・オグデン。この演奏会、最終的にはほぼ満員だったのですが、なるほど理由がわかりました(オグデンが出ると知らずにチケット買いました)。オケは中編成ながら音を刈り込んだ室内楽的アプローチだったので、脇の席でしたがギターはよく聴こえました。しゃらんしゃらんとメタリックな音は華やかでいいな、コールアングレのソロはいい音でがんばってるな、などと考えながら、意識は睡魔に飲まれていってました。すいません。

待望の「三角帽子」は小気味よいティンパニのリズムで景気よく始まりました。指揮者はオケに「スペインの旋律」を歌わせ、「スペインのリズム」を刻ませるべく孤軍奮闘し、オケ側もできる限りこの若者のリードに応えようと温かく接していたように見えましたが、どうもギクシャクしていたのはリハ不足と指揮者の経験不足なんでしょう。第1組曲の「粉屋の女房の踊り」で極端に粘ったファンダンゴのリズムに最初は「おおっ」と思わせたものの、フレーズを繰り返すに従い粘りは薄れていき、やりたいことはわかるがとにかくオケが着いていってない印象でした。他にも、第1組曲が終わったところで間をおいたので拍手が起き、一旦オケを立たせるような素振りを見せたのに誰も立たなかったり(そりゃそうだ、と思いました)、チグハグなことをやっていたのがいかにも手慣れていない感じで、初々しいやら、痛々しいやら。終曲のラスト、盛大なカスタネットに続く最後の一撃も前のめりで終わってしまって、だいぶ消化不良感が残りました。

ここでようやく休憩。短い曲が多いとは言え、前半にちょっと詰め込みすぎではないかなあ。休憩後の「展覧会の絵」は、バスク系のラヴェル編曲ということで辛うじてスペイン繋がりのプログラムと言えますが、やっぱりちょっと無理がある。これをやめて、むしろ「三角帽子」を全曲版でやったほうがすっきりとしたプログラムになったのではないかと。それはともかく、この「展覧会」でもギクシャク感は消えず、どうにも思い切りの悪い演奏になっていました。やっぱり慣れの問題でしょうか、曲の間にいちいち休止を入れるから、この季節はすかさず咳のオンパレードになってしまい、間合いも開くし、集中力が殺がれる結果になります。棒振りそのものは長身もあってずいぶんとさまになっているので、後は何とか場数を踏んで、先発投手が「試合を作る」技量をもっと磨いてくれれば、ですかなー。

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