都響/ペレス:バレエ・リュスの傑作、「ペトルーシュカ」と「三角帽子」2019/06/08 23:59

2019.06.08 東京芸術劇場コンサートホール (東京)
Arejo Pérez / 東京都交響楽団
長尾洋史 (piano-1)
加藤のぞみ (mezzo-soprano-2)
1. ストラヴィンスキー: バレエ音楽《ペトルーシュカ》(1947年版)
2. ファリャ: バレエ音楽《三角帽子》(全曲)

バレエ・リュス繋がりの、私の大好物2曲。「三角帽子」は最近よく演目で目にするので、ファリャの何かの記念イヤーかなと思ったのですが、特にそういうものはなく、強いて言うなら「三角帽子」バレエの初演から100年後が今年でした。今回が都響初登場のアレホ・ペレスはアルゼンチン出身ですが、ファリャが晩年にフランコ政権を避けて亡命した先はアルゼンチン。また、ストラヴィンスキーとファリャはパリの芸術家サークル「アパッシュ」のメンバーとして親交があった、というようなところも加味して組まれたプログラムでしょうかね。

「ペトルーシュカ」の1947年版は、3管編成で軽くした分、より頻繁に演奏されるべきバージョンなのですが、昨今は原点主義が主流になっているためか、私の実体験で、4管編成の1911年版がプログラムに乗ることが多いように思います。ということで実は貴重な1947年版体験なのですが、まず冒頭から音量の加減なし。バランスが悪いというか、繊細なこだわりなしの開始にちょっと不安。初登場のハンデからか、縦線が甘く、思うようにリズムが作れていない気がしました。あまり得意レパートリーではないのかも。盛り上がりに欠けたまま淡々と進み、最後はコンサートエンディングで、ペトルーシュカは死なないで華やかな中に終わったので、全体として欲求不満。そういえば前回ペトルーシュカを聴いたのも(7年前のビエロフラーヴェク/チェコフィル)1947年版のこのエンディングだったのを思い出しました。レコードで聴く限り、1947年版といえどもカットなしで最後まで演奏するのが普通と思い込んでいたので、上演上の慣習なのかもしれません。

「三角帽子」は、前半とは打って変わり、旋律の歌わせ方が手慣れていて、こっちのほうが絶対おハコです。ステージ後方に位置した独唱は、スペイン在住のメゾソプラノ、加藤のぞみさん。出番は少ないものの、情緒ある熱唱がいっそう華を添えていました。ん、さっきのピアノの人が、今度はうしろでピアノを弾いている…。指揮者がノっているうえに、都響の木管は上手い人が揃っているので、安心して聴いていられます。お名前はわからないですが、ホルンに新顔の美人すぎる奏者(浜辺美波似)を発見したので、途中から視線はもっぱらそっちに。そうこうしているうちにあっという間に、私の大好きな終曲。アチェレランドで追い込んでいくのが小気味よかったです。欲を言えば、一番最後のブレークではスネアドラムにカスタネットを重ねて欲しかった。

短いコンサートでしたが、アンコールなしであっさり閉演。さてアレホ君、爪痕をどのくらい残したかは微妙。次の登場はいつだろうか…。

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