フィルハーモニア/ロウヴァリ:ファジル・サイは環境ビジネスの香り ― 2025/11/30 23:59
2025.11.30 Royal Festival Hall (London)
Santtu-Matias Rouvali / The Philharmonia Orchestra
Fazil Say (piano-2)
1. Sibelius: En Saga
2. Fazil Say: Mother Earth (Piano Concerto) (UK premiere)
3. Dvorak: Symphony No. 8
2021年に若くしてフィルハーモニア管6代目の主席指揮者に就任したロウヴァリは、2014年に一度ミューザ川崎ホールにて東響を振った演奏会を聴いて以来です。1曲目、元々はファリャ「恋の魔術師」がプログラムにあったのですが、数日前にメール連絡があり、シベリウス「エン・サガ」に曲目変更とのこと。直後の韓国ツアーで取り上げる曲に寄せたようですが、個人的にはファリャを聴きたかったので、がっかり。意気消沈して寝てました。
気を取り直して、2曲目は「母なる地球」をテーマにしたファジル・サイの新作ピアノ協奏曲。昔から気になっていたピアニストですがなかなか縁がなく、見るのも聴くのも初めてです。日本では「鬼才! 天才! ファジル・サイ!」というキャッチフレーズが先行して、私も鬼才にして怪人と勝手に思っていたのですが、ちょっと思ってたのと違う印象でした。もっとアヴァンギャルドな作風にぶっとんだピアノを想像していたら、既存イメージを寄せ集めたヒーリング音楽のような曲でした。ちょっと悪口っぽく言うと、思想政治的動機があって、芸術的野心はどこにもない感じ。鳥笛、ギロ、オーシャンドラムなどの打楽器を駆使して山と海の大自然を効果音でわかりやすく表現し、また自席からはよく見えなかったのですが、ピアノにもプリペアドの細工をしていたように聴こえました。そういった「飛び道具」を使わずに自然描写をするのが過去の大作曲家たちが取り組んできたクラシック音楽の矜持だと個人的には思うので、安直な効果音頼みは興醒めです。しかしジャンルを超えた人気ピアニストだけあって、ちょっと常識に欠けるファンも多く、演奏中にも写真や動画を撮ってて怒られてる人を多数見かけました。

メインのドヴォルザーク8番は、全体的に丁寧に作り込んだ演奏で、オケと指揮者が現在最も良い関係にあることがわかります。変に緊張感を煽ることもなく、聴衆のざわつきとか全く気にも留めずとっとと演奏を始めてしまうタイプですね。2014年に聴いた際はまだ20代にも関わらず、ラトルばりに細かいところまで仕掛けを施す恐れ知らずの芸風でしたが、年月が経ってだいぶ肩の力が抜けた感じです。細部まで気を配ったリードながらもあざとい感じはなく、カラッとした都会風のドヴォルザークでした。第9番の「新世界」ではなく、第8番でもそのアプローチを取るのが最近の流行りかもしれません。最終楽章のスピードはブラス泣かせではありましたが。
ロンドンではこれが今年最後の演奏会になるため、聴衆も招待しての創立80周年記念パーティーが終演後に開催されていましたが、翌日の仕事もあり、泣く泣く帰宅の途につきました。
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://miklos.asablo.jp/blog/2025/11/30/9827337/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。