都響/大野和士/エーベルレ(vn):ベルクとブルックナーの遺作を並べる2019/09/03 23:59

2019.09.03 東京文化会館 大ホール (東京)
大野和士 / 東京都交響楽団
Veronika Eberle (violin-1)
1. ベルク: ヴァイオリン協奏曲《ある天使の思い出に》
2. ブルックナー: 交響曲第9番 ニ短調 WAB109(ノヴァーク版)

ブル9も最近聴いてないなーと思い(調べると5年ぶり)、気まぐれで買ってみたチケット。寝不足で体調も悪く、ちょっと演奏会にはきつい身体だったかも。

2003年以降に聴きに行った演奏会は演目を全部リスト化していますが、ざっと眺めて、シェーンベルク、ベルク、ウェーベルンのいわゆる「新ウィーン楽派」が極端に少ないことに気づきました。特にベルクは過去に「室内交響曲」1曲のみという体たらく。決して嫌いというわけでもないんですが、無意識に避けてきたんでしょうかね。ベルクの代表作であるヴァイオリン協奏曲も、実は聴くのはほとんど初めて。今さら指摘することでもないでしょうが、音列技法の作法に従い無調の仮面をかぶってはいるものの、不協和音は少なく、むしろ調性と調和を感じさせる不思議な曲です。ヴァイオリンのエーベルレは名前からして知らない人でしたが、30歳の若さで容姿淡麗、ヴァイオリンはさらに輪をかけて美しいという恵まれた資質の持ち主。1曲だけではもちろんよくわかりませんが、ベルク向きなのは確かでした。それを下支えするオケは、金管の弱音が不安定すぎるのが玉に瑕だったものの、ひたすら静かに、控えめに伴奏。

メインのブル9は最初から弱音欠如型。音圧だけはやたらとある演奏でしたが、引っかかりがなく、大野さんのこだわりポイントが見えてこない。第2楽章になると、今度は一転してスペクタクル感が強くなり、オケが鳴りまくってます。第3楽章も音大き過ぎで、全体的にメリハリがない。終わってみて「うるさかった」という印象しか残らなかったのは、自分の体調のせいだけでもないでしょう。ブルックナーをやるときは、もっとダイナミックレンジを広く取り、特に金管の弱音を磨いてほしい(もちろん強奏の馬力も必須ですが)、と思いました。これはインバル先生のときにはあまり感じなかったことですので、都響ならできるはず。

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