フルシャ/都響@ミューザ川崎:正統派「わが祖国」、後半が面白い2017/07/26 23:59

2017.07.26 ミューザ川崎シンフォニーホール (川崎)
Jakub Hrůša / 東京都交響楽団
1. スメタナ: 連作交響詩「わが祖国」(全曲)

今年も「フェスタサマーミューザ」の季節が到来し、貴重な平日夜の演奏会です。ほぼ満員で、客入りも上々。東京・横浜からの集客を考えると週末にブッキングしたいのはわかるのですが、毎度の満員御礼を見て、平日ニーズもそれなりにあるのは確実なので、東響さんも毎月とは言わんがちょっと考えてくれないかなと思います。

スメタナの代表作「わが祖国」を生で聴くのは、メジャー過ぎる「モルダウ」含め、多分初めてだと思います。要はそのくらい個人的興味の薄い曲でしたが、あらためて全曲通して聴いてみて、やっぱりこの曲は性に合わんなとの認識を再確認しました。あくまで個人的な感想であり、私の感覚などはどう見ても少数派であることは承知の上で言いますと、特に前半の3曲が退屈です。第1曲「高い城」冒頭のつかみも悪い。ハープのデュオは、そりゃー美しく幻想的とも言えなくはないですが、自分としてワクワク感は全くなく、これから始まる退屈な時間を予感させるものでしかない。続く「モルダウ」は、元々好きな曲ではない上に、どうしても手垢まみれ感満載で、素直に耳を傾けることができず、大概このあたりでギブアップ。「モルダウ」まで聴いたのだから、大体わかった、ハイ終了、でいいだろうと。休憩を挟んで気を取り直し、聴いてみた後半3曲は、円熟を感じるシンフォニックな作りで、なかなかカッコイイ曲であると気付けたのが今回の発見でした。レコードで聴くとき、最初から順番に聴こうとしてはいけなかったのですね。

チェコ人の若手スター、フルシャは、当然のように暗譜で臨みます。超定番のご当地モノとして研究し尽くしているとは思いますが、ある意味指揮者以上に手慣れているチェコのオケを振るときと異なり、バックグラウンドの全く違う日本のオケに短時間で解釈を叩き込むのは、さぞ難儀だろうと思います。前述のように個人的に馴染みの薄い曲ゆえ、解釈の微妙な特徴はよくわかりませんが、フルシャは見るからに正統派の中庸路線で、小細工なしにしっかりとオケを鳴らして起伏を作っていました。チェコフィルのような土着の渋味が出ないのは仕方ありませんが、都響の反応は良かったと思います。オーボエ、フルートを筆頭に、ソロも冴えていました。