ロイヤルバレエ「くるみ割り人形」のライブビューイング2013/12/13 23:59


2013.12.13 Live Viewing from:
2013.12.12 Royal Opera House (London)
Tom Seligman / Orchestra of the Royal Opera House
Peter Wright (choreography, production & senario)
Marius Petipa (original scenario)
Laura Morera (The Sugar Plum Fairy), Federico Bonelli (The Prince)
Gary Avis (Herr Drosselmeyer), Francesca Hayward (Clara)
Alexander Campbell (Hans Peter/The Nutcracker), Yuhui Choe (Rose Fairy)
1. Tchaikovsky: The Nutcracker<BR>

初ライブビューイングです。日本に居ながらもほぼリアルタイムでロイヤルバレエが見れる貴重な企画だし、昨年の「くるみ割り人形」はブダペストで見たのでロンドンでは見ず、今年は見に行く予定がなく年末恒例の「くるみ割り人形」が途絶えてしまうところだったので、ちょうどよい機会でした。

ライブとは言っても時差があるので実際は中継録画ですが、前夜のパフォーマンスを1回限りの上映ですから貴重なワンチャンスです。19時15分に上映開始ですが、ダーシー・バッセルを司会に据えて、15分ほど前ふりが続きます。日本語字幕付きでギャリーさんの作品解説や、バレエスクールの様子、オリジナルの振付け師ピーター・ライトがレッスンを見に来たシーンなど、なかなか興味深い映像でした。

その後カメラはオペラハウスのオーディトリウムに切り替わり、指揮者が登場してようやく開演です。ライブビューイングの日はさすがにオケも手堅い演奏をしていましたが、これは映画館のせいなんでしょう、音響があまり良くなかったので音は不満でした。まあ、もちろん生と比べるのは無い物ねだりですが…。一方、バレエはだいたいオーケストラストールかストールサークルの最前列で見ることが多かったので、普段見たことがなかったアングルのシーンがいっぱい見れたのは新鮮でした。ただ、好きなときに見たいところをオペラグラスでアップで見る、というのができないのはちょっともどかしかった。

第1幕が終わるとちゃんと20分間の休憩があり、またバッセルの司会でチェレスタ奏者とケヴィン・オヘアへのインタビューがありました。このインタビューのところだけ、ふと気付くと字幕が出てなくて、見に来ていた大勢の子供さんは戸惑ったのではないかな。インタビューが終わって第2幕のあらすじに戻るとまた字幕が復活していたので、最初から台本で決まっている部分だけ、各国語の字幕が用意されているんでしょう。

本日のプリンシパルはモレラとボネッリ。モレラは上手い人なんですがクセのある役専門なので、シュガープラムにはちょっと違和感が…。身体も筋肉質で重量感があり、リフトではボネッリの顔が歪んでましたので(こういうのがアップになるから面白い、いやいや、辛い)実際重いんでしょう。花のワルツのユフィちゃんは相変わらず可憐です。足ワザの技巧は大したものだと素人目にも思いましたが、モレラと比べたらやっぱりスケール感がないなあと、前にも思った感想をまた感じてしまいました。平野さん、小林さん、高田さんも健在のご様子。クララを踊ったフランチェスカ・ヘイワードという人は記憶になかったんですが、ロイヤルのバレエスクールを出たばかりの若手とのこと。若いわりには女の色気があって、やけに艶っぽくなまめかしいクララが面白かったです。是非、お色気路線を突っ走って欲しいと思います。

つい半年前まで日常あたり前に目の前に広がっていた舞台が、もうスクリーンの向こう側、はるか遠くにしかないんだなあとしみじみ思い、ちょっと淋しくなりました。何にせよ、日本に居てもこうやって最新の舞台を見れるというのは有り難いことです。また行きたいと思います。ROHライブビューイングの今後の予告で、3月の「眠れる森の美女」のキャストにマクレー様の名前を見て、妻の目が眼鏡の奥でキラリと光ったのを、私は見逃しませんでした…。