ファビュラスビースト・ダンスシアター:春の祭典/ペトルーシュカ2013/04/13 23:59

2013.04.13 Sadler's Wells (London)
Fabulous Beast Dance Theatre - The Rite of Spring & Petrushka
Michael Keegan-Dolan (director/choreography)
Lidija Bizjak, Sanja Bizjak (four-hand piano)
Cast:
Olwen Fouéré, Anna Kaszuba, Louise Mochia
Rachel Poirier, Ino Riga, Brooke Smiley
Bill Lengfelder, Saju Hari, Saku Koistinen
Emmanuel Obeya, Innpang Ooi, Keir Patrick
1. Stravinsky: The Rite of Spring (four-hand piano version)
2. Stravinsky: Petrushka (four-hand piano version)

ストラヴィンスキーの「春の祭典」は放っておいても毎年たくさん演奏されている定番曲ですが、今年は初演から100年を記念してさらに聴く頻度が多くなります。サドラーズ・ウェルズでは「String of Rites」と称したシリーズでいくつかのカンパニーがこの曲にインスパイアされたパフォーマンスを披露しますが、これもその一つ。ファビュラスビースト・ダンスシアターの「春の祭典」は2009年にENOで一度見たので2回目ですが、今回は伴奏がオーケストラではなくピアノ連弾(作曲者自身のスコア)というのが変わっています。演奏するのはビジャーク姉妹というセルビア出身の美人デュオ。姉妹と言っても、意外と12歳も年の差があるんですね。CDも出しているくらいのオハコなので、実に手慣れた演奏でした。


ちょうど今日の演目を収録したCDのジャケット。この写真は確かに美人だ。

前に見たときは寒々しい冬の夜に革ジャン姿の労働者風がぞろぞろ出て来ますが、今回はスーツ姿の男女で屋内に場面設定が変わっていました。細かいところは憶えていませんが、おそらく踊りもかなり変わっている気がします。私はコンテンポラリーは普段ほとんど見ないので、このかぶり物あり、性的描写ありの18禁演出は、やっぱりヘンだなと思いますが、大元のコンセプトは至って真面目に踏襲している、ある意味わかりやすいダンスでした。男女共にスッポンポンになる瞬間はありますが、一番肌の奇麗な子は下着寸止めで脱がなかったのが残念(泣笑)。

カーテンコールもなく写真がないので、カンパニーのサイトからちょいと引用。



これらは多分前回の上演の写真で、今回は舞台も衣装もちょっと変わってましたが、雰囲気は変わらずこんな感じです。


休憩時間中も舞台の上でずっと練習に勤しむビジャーク姉妹。でも曲はペトルーシュカではありませんでした。おいおい(笑)。

今回初めての「ペトルーシュカ」を実は楽しみにしていましたが、「春の祭典」ほどの掘り下げはまだない感じでした。狂言回しの役割の老女(オルウェン・フエレ)はここでも登場し、舞台右隅で3m以上ありそうなバーチェアみたいな椅子にずっと座っています。梯子がないと下りられないので、上演中身動き取れません。もし何かの拍子に椅子の支柱が折れたら大怪我するなあと思いつつハラハラしながら見ていました。その足下には、先ほどの犬のマスクをかぶった老人(ビル・レングフェルダー)がホームレスのごとく床にグダっと座っています。しかし舞台の上は白布の背景に全身白服のダンサーたちが溌剌と踊り、やけに清潔感があってコントラストを成しています。こちらは大元のストーリーとは全く関係無しの振付けで、18禁の要素はなく、最後は舞台中央上から縄梯子が下りてきて女性が登っていったり、意表をつく表現は随所にあったものの、「春の祭典」に比べるとコアがない気がしました。まあ、一度見たくらいで理解できたとは到底言えません。

それにしても、どちらの演目でも舞台の上で役者が煙草に実際火をつけてバコバコ吸っておりまして、イギリスでも屋内で煙草が吸える場所があったんだ、という新鮮な驚きがありました。


ダンサーたちは途中で白いドーランを自分の顔に塗るので、最後は前衛劇みたいに(笑)。


右端は振付けのマイケル・キーガン・ドーラン。