BBC響/ポンス/アヤン(t)/ブランドン(s):シンフォニアはホラー系2012/12/07 23:59


2012.12.07 Barbican Hall (London)
Josep Pons / BBC Symphony Orchestra
Synergy Vocals (voices-1), Atalla Ayan (tenor-2)
Sarah Jane Brandon (soprano-3)
BBC Symphony Chorus
1. Berio: Sinfonia for orchestra and eight amplified voices
2. Verdi: 8 Romanze for tenor and orchestra (orch. Berio)
3. Verdi: Four Sacred Pieces

イタリアの新旧巨匠を繋げ、さらには前週のマーラー「復活」とも呼応した、地味ですがなかなか粋なプログラムです。

20年前に初めてウィーンを訪れた際、ベリオ本人の指揮するウィーン響でカレーラスが彼の歌曲のみを歌う演奏会をたまたま当日券で見たことがあります。三大テノールの一角としてすでに超スターであったカレーラスを讃えて、オケが引き上げた後もファンのおばちゃん達が舞台前まで詰め掛け、延々とスタンディングオベーションを続けていたのが印象に残っています(あらためてカレーラスの生年を調べてみると、当時の年齢は現在の私くらいであることに気付き、愕然・・・)。このときのベリオの歌曲がどんなだったか、記録も取っていないし全然思い出せないのですが、今日の「シンフォニア」みたいなポストモダンとは全然違う、全くイタリアン・ベルカントな曲だったような気がします。

思い出話はさておき、「シンフォニア」は一度聴いてみたかった曲で、確か昨年のLSOでもハーディングが取り上げていましたが、残念ながら都合が悪く行けませんでした。この曲の第3楽章は、マーラー「復活」の第3楽章スケルツォを中心に、全編他人の曲の引用で構成したという実験的試みで有名です。英語版のWikipediaに引用されている曲のリストがありますが、選曲はバーンスタインの「ヤング・ピープルズ・コンサート」で取り上げられていた曲から着想を得た、との説があるようです。曲はいわゆる現代音楽調の不協和音オンパレードで、突然ドカンと脅かしが入ったりします。引用の箇所では聴き覚えのある曲が聞こえてきたかと思えば、調子外れの鼻歌がそれをなぞり、雑然としつつもかなり不気味な雰囲気を醸し出しています。このホラーな感覚はどこかで記憶にあるぞと思ったら、そう、それはディズニーランドの「ホーンテッド・マンション」(パリのランドだとPhantom Manor)。音楽を聴くというより、何かポストモダンのアートを見ているかのような刺激でした。何度でも聴きたくなる面白い曲です。演奏は難しそうですが。


ここで休憩が入ったので、休憩後が長かったです。歌曲苦手な私には、ちょい退屈な時間が続きました。最初の「8つのロマンス」はヴェルディのピアノ伴奏歌曲をベリオがテナー独唱とオーケストラ用に編曲したもの。さっきの「シンフォニア」と比べたら当然ながら曲調はロマンチックだし、アレンジもポストモダンでは全然ない。ブラジル人テナーのアヤンはハツラツと歌い、甘くて軽い声質がアラーニャみたいです。歌はいっぱいいっぱいの感じで、深みと説得力を求めるにはまだまだ若いでしょうかね。

最後の「聖歌四編」は元々一つの曲として作曲されたわけではなく、個別の4曲「アヴェ・マリア」「スターバト・マーテル」「処女マリア讃歌」「テ・デウム」を寄せ集めたもの。宗教曲としては盛りだくさんの内容となってます。ソプラノ独唱付きですが出番は少なく、オケも寡黙で、あくまで合唱に重きを置いた曲です。でもその合唱にアラが目立ってあまり上手くなかったのが難点。うーん、自分のための曲ではないかなあ。最後は爆睡してしまいました、すいません。宗教曲は鬼門じゃ。レクイエムとか、絶対に寝てしまうんですよねえ・・・。


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