都響/ブラビンズ/ハンスリップ(vn):今さら英国音楽その22014/11/04 23:59

2014.11.04 東京芸術劇場コンサートホール (東京)
Martyn Brabbins / 東京都交響楽団
Chloë Hanslip (violin-2)
1. ヴォーン・ウィリアムズ: ノーフォーク狂詩曲第2番 ニ短調(ホッガー補完版)
2. ディーリアス: ヴァイオリン協奏曲
3. ウォルトン: 交響曲第1番

2週間ほど前のサントリーホールに続く都響の英国音楽特集第二弾。最初のノーフォーク狂詩曲第2番は、作曲者の死後に復刻、補筆完成された曰くつきの曲です。日本初演はおろか、これが英国以外では初の演奏会だそう。「ウィリアム・テル」序曲を思わせるチェロの出だしからして第1番とはだいぶ空気が違います。民謡に取材していながらも、旋律的にはかなり甘めのロマンティックな作りで、まるで映画音楽のような箇所もあり。受け入れられる要素をたくさん持っている力作で、埋もれてしまうには惜しい佳曲と思いました。

続いて、クロエ・ハンスリップは2010年にウィーンでウォルトンの協奏曲を聴いて以来の2度目です。4年ぶりですが、それでもまだ27歳、若い!けど外見はさらに「肝っ玉母さん」化していました。さてディーリアス自体ほとんど聴いたことがない私は、もちろんこのヴァイオリン協奏曲も初耳。ハンスリップは楽譜を立てて演奏してましたから、彼女にとってもチャレンジなんでしょう。想像していた通り、叙情的な曲想がずっと続く癒し系の曲で、仕事帰りに聴くにはさすがに眠かった。ですので、ようわかりまへん、すいません。ハンスリップは、前に聴いた印象よりはだいぶ角が取れ丸くなったような気がしました。と思ったら、アンコールはラトヴィアの作曲家プラキディスの「2つのキリギリスの踊り」という不気味な小ピース。やっぱりちょっと尖った人のようです。

ウォルトンの交響曲第1番は難曲として知られていますが、これも全編通してちゃんと聴いたのは初めてで、頭にあったイメージとは随分違って驚きました。もちろん演奏難易度は非常に高そうですが、曲調は決して難解ではなく、むしろハリウッド超大作のようにハイカロリーで派手な曲。終楽章など、そのままハリーポッターのエンドクレジットで流れていても違和感ない感じです。この曲は、理屈抜きにカッコいい。もちろん、ブラビンスのツボを押さえた聴かせ方あってのことなんでしょう。オケは前回同様よく鳴っていたし、ことウォルトンに関しては、曲の魅力が十分に伝わりました。こういう演奏会に巡り合ったときは、本当に、指揮者とオケに感謝です。この日は客もノリノリで、終演後も満場の拍手。疲れの溜まった時期だったのですが、無理をしてでも聴きに行って良かったと思います。