カスプシク/読響/クレーメル(vn):爆演系「展覧会の絵」と、グラスの「二重協奏曲」2017/09/01 23:59

2017.09.01 東京芸術劇場コンサートホール (東京)
Jacek Kaspszyk / 読売日本交響楽団
Gidon Kremer (vn-2), Giedre Dirvanauskaite (vc-2)
1. ヴァインベルク: ポーランドのメロディ 作品47 no.2
2. フィリップ・グラス: ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲 (日本初演)
3. ムソルグスキー(ラヴェル編): 組曲「展覧会の絵」

けっこういろんな演奏家を広く浅く聴けてきた中で、ギドン・クレーメルは「まだ見ぬ巨匠」の筆頭でしたので、今シーズンのプログラムを見たとき、この演奏会は最高優先度でピックアップしました。5年ほど前出張でリガを訪れた際、夜にちょうどクレーメルのアンサンブル、クレメラータ・バルティカの演奏会があり、チャンスとばかりに当日券を求めたのですが、残念ながらソールドアウトでした。

1曲目の「ポーランドのメロディ」は、民謡を素材とした4曲から成る小組曲。もちろん初めて聴く曲でしたが、ポルカとかマズルカを取り混ぜた素朴な民謡曲で、カスプシクも軽い小手調といった感じです。ここのホルントップは相変わらず若いのにしっかりとしていて好感が持てます。

2曲目は待望のクレーメルと、クレメラータ・バルティカのチェリスト、ディルヴァナウスカイテによる、フィリップ・グラスの二重協奏曲。日本初演だそうで、こちらも初めて聴く曲ですが、言われなくても作曲者がわかる、典型的なグラス節。正直、演奏はクレーメルでなくてもよいようなミニマルミュージックで、これをもってクレーメルを語ることはちょっと無理です。ただ、遠路はるばるこの日本くんだりまで来てくれて、ありふれたメンコンやチャイコンではないチャレンジングな選曲でその技巧を聴かせてくれるのは得難い機会です。アンコールは「ラグ・ギドン・タイム」という洒落た小曲。

メインの「展覧会の絵」は重厚な音作りで、カスプシクの傾向がわかってきました。重心が低く芯のある弦、崩れず鳴らしきる管、相当力の入った演奏で、ラヴェル編曲のフレンチものよりも、完全にロシアものとして捉えています。読響からここまでの馬力を引き出すとは、オケの鳴らし方が上手い指揮者だと思いました。元々好んで聴くほうの曲ではなかったのですが、今日は退屈せずに最後まで聴き通せました。ということで、今日は前哨戦として、本チャンは5日後のもう一つの演奏会。選曲が重厚な分、期待は高まってしまうのでした。

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