角川映画祭「犬神家の一族」「人間の証明」4K修復版@テアトル新宿2021/11/28 23:59



前回昨年2月のブログから気がつけば1年10ヶ月。その間「シン・エヴァンゲリオン劇場版」は2回映画館まで見に行ったりしましたが、それ以外は大人しく引きこもり生活が続いていました。ふと目にした「45年記念企画・角川映画祭」なるイベントの情報で、「犬神家の一族」が4Kリストア版で上映されるとのことで、かつては熱狂したこの映画を劇場でみる機会も今後そうないだろうと思い立ち、はるばる新宿まで出かけました(よく考えたら5年後には50周年でもっと大々的にイベントをやるはずだろうからそこでも上映されることはほぼ間違いないですよねえ)。せっかくなので2本くらいは見てやろうと思い、日曜日の午後に角川映画第一弾「犬神家」と第二弾「人間の証明」が連続上映される絶好のスケジュールを選択しました。はたして、同じことを考えた人はそんなにはいなかったようで「人間の証明」のほうは空席が目立ちましたが、「犬神家」はほぼ満員。

市川崑監督作品「犬神家の一族」は1976年公開の角川映画第一弾で、私が劇場で観たのはそのリバイバル上映で「悪魔の手毬唄」と2本立でやってたとき以来なので、実に40数年ぶり。佐藤純彌監督1977年作品の角川映画第二弾「人間の証明」のほうは劇場で観た記憶が実はないです。とはいえどちらもテレビで毎年のように放送されてきた人気映画だしセルDVDも持っているので繰り返し観ていますが、通しで最後に観たのは多分もう10年以上前かと。

それこそ飽きるほど観ている2作品だけに、長丁場だと途中で寝ちゃうんじゃないかと危惧していましたが、全くの杞憂でした。2本で計5時間の間、面白さと懐かしさで胸いっぱい。眠いどころではなく、実に感慨深い時間を過ごしました。

どちらも有名な映画なのでストーリーなどは省略しますが、多くの主要キャストがすでに鬼籍の人であることにあらためて40数年の時の長さを感じます。上映時間は「犬神家」が146分に対し、「人間の証明」は133分。どちらも今の映画の相場からすると長いですが、複雑な長編ミステリーを押し込めるには全然時間が足りないので、ここが脚本家の腕の見せ所かと。込み入った背景事情を言葉ではなく短い「絵」で見せてわかった気にさせる「犬神家」の脚本はあらためて優れていると思いました。「人間の証明」のほうも大胆に原作を刈り込んでいて、その分もっと尺を短くできるのにあえてファッションショーのシーンを何度も挿入して冗長にしたりと、妙なこだわりが独特のクセになっています。

もう一つ感じたのは、この時代の豪華キャストが集結しただけあって、皆さん演技がこってりと濃厚。それと対比して、「人間の証明」のジョージ・ケネディなどアメリカ側出演者の演技が皆、なんと軽いことか。薄いのではなく、手を抜いているわけでもなく、彼らの実に軽ろやかな立ち振る舞いが、この荒唐無稽なストーリーに自然なリアリティを与えてくれているのだと気づきました。

あとは「人間の証明」のロケ地になった、ホテル・ニューオータニ。東京に出てきて初めてニューオータニを見たとき、「おお、ストウハだ!」と感動したことを懐かしく思い出しました。

なお、今回この2作品はどちらも4Kリストア版なのですが、元々の映像が古いためか、正直そんなにクリアになったという印象はなかったです。ただ、40数年前に劇場で観た記憶が色も含め鮮明に蘇ってきたのは確かなので、少なくとも経年劣化を補いオリジナルに戻す効果はあったのかもしれません。

「蘇える金狼」「野獣死すべし」など観たい映画がまだ他にもありましたが、今回はこのへんで抑えといて、5年後の楽しみにとっておきましょう。

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