フレンチバレエの系譜、ロト/都響の「ダフニスとクロエ」ほか2020/02/03 23:59

2020.02.03 東京文化会館 大ホール (東京)
François-Xavier Roth / 東京都交響楽団
栗友会合唱団
1. ラモー: オペラ=バレ『優雅なインドの国々』組曲
2. ルベル: バレエ音楽《四大元素》
3. ラヴェル: バレエ音楽《ダフニスとクロエ》(全曲)

ロトは2000年のドナテッラ・フリック指揮者コンクール優勝者としてLSOとは関係が深く、自分がロンドンにいたころも何度かLSOに登場していましたが、当時は自分の中で優先度が低かったので、指揮者狙いでチケットを買う対象ではありませんでした。備忘録に書いてなければすっかり忘れていたところですが、2010年4月にプレヴィン/LSOで「アルプス交響曲」をやる演奏会のチケットをワクワクでゲットするも、あいにくプレヴィンが病気でキャンセル、代役に立ったロトは演目を「新世界」に変えてしまったのでチケットをリターンした、というニアミスはありました。それから10年しか経ってませんが、レ・シエクルの成功でロトはすっかり巨匠の風格です。実際、初めて目にする生ロト、年輪の刻まれたその顔は、まだ40代とは到底思えません。世代的にはキリル・ペトレンコ、ステファン・ドヌーヴと同世代ですが、ふーむ、老け顔具合はそんなに変わらんか・・・。

前半はバロック時代のフランスの作品。どちらも全く知らない曲です。バロックというとバッハとかヴィヴァルディの理知的に整ったイメージしか頭に浮かばなかった私からすると、両曲とも意外とアバンギャルド。ラモーは打楽器賑やかで、バロックトランペットも痛快な明るい曲。リュートみたいなのとギターを持ち替えている奏者がいたり、よくわからない手作りっぽい楽器も見えて、彩り豊かで飽きさせませんでした。一方のルベルは、これまた予想を裏切る、まさかの大不協和音から始まり、ロマンチックに展開する意味深な曲。どちらもバレエっぽいなと思ってあらためてプログラムを開いてみると、やっぱりバレエ曲。なるほど今日はフレンチバレエの系譜を垣間見る趣向なのだなと今更ながら気づきました。

メインの「ダフクロ」は、全曲通しで聴くのは超久しぶり。この曲はやっぱりコーラスが入って初めて音響が完成するのだなとあらためて気付かされます。フルートは寺本さんじゃなかったのは残念ですが、まあでもとても上手かったです。全体的にハイレベルで鳴っていた中、近年の都響はどうにもホルンがガンですが、それはさておき。都響を振るのは2回目というロトですが、さすがカリスマ、全く自分の手中で転がして、エゲツないくらいのキレキレリズムでガンガン攻めてきます。ちょっとラヴェルらしからぬこのエグさは、前半のバロックバレエと呼応しているのかなと思いました。個性的なダフクロでしたが、全体を通しては納得感のある演奏会でした。