大野和士/都響:プレ就任記念に新音楽監督が選んだのは、バルトークとシュミット2014/12/08 23:59

2014.12.08 東京文化会館 大ホール (東京)
大野和士 / 東京都交響楽団
1. バルトーク: 弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽 Sz.106
2. フランツ・シュミット: 交響曲第4番ハ長調

来年4月から新音楽監督に就任する予定の大野和士がプレお披露目として始動。記録を見ると前回大野さんを聴いたのは2013年2月のBBC響「Sound from Japan」で、遥か昔の印象があったのに、実はまだ「去年」の出来事だったんですね。それにしても、今更「運命」「未完成」「新世界」でもないでしょうが、お披露目でこの選曲は渋すぎます。

最初の弦チェレは、第3楽章がちょっと猟奇的演出が過ぎる気もしましたが、全体的にかっちりと生真面目な演奏。まあ、バルトークはこれでいいんですよ。弦合奏のレベル高し。しかしピアノがちょっと投げやりで足を引っ張っていたような。緻密だけど淡白で引っ掛かりがないのは、ある意味面白みに欠けますが、大野さんのキャラはこんなもんでしょうか。

フランツ・シュミットの曲自体、多分初めて聴きますが、バルトークとほぼ同世代、しかも同郷(当時は同じオーストリア・ハンガリー二重帝国)の作曲家ということも初めて知りました。冒頭のアイヴズを連想させる調性不安定なトランペットソロは、他の楽章にも出てきて一種の循環形式になっています。けっこうモダンな作りか、と思わせておいて、途中はけっこうベタな後期ロマン派の音楽で、バルトークとは作風が相当違います。また、全曲通して50分という長大さに加え、第3楽章のスケルツォ以外は全て抒情楽章というさらなる体感時間引き延ばし工作には、普通なら悶絶するところですが、意外と最後まで聴けました。確かに冗長ではあるが上手い具合にメリハリが付けられており、不思議と眠くなりませんでした。まあ、人気がブレークしそうな予感もないですけどね。大野さんの生真面目さはここでも活きたと思います。出だしは上々でしょう。

曲人気でも雲泥の差がありそうな「弦チェレ」と「シュミット4番」、ほぼ同時期に書かれたこれら2曲の対比がまた面白い一夜でした。

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
スパム対策で「クイズ認証」導入してます。2020年夏季五輪開催地の日本の首都は?(漢字で)

コメント:

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://miklos.asablo.jp/blog/2014/12/08/7524385/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。