フィルハーモニア管/アシュケナージ/ガベッタ(vc):ショスタコの酢の物2013/02/21 23:59


2013.02.21 Royal Festival Hall (London)
Vladimir Ashkenazy / Philharmonia Orchestra
Sol Gabetta (cello)
1. Britten: Suite from "Death in Venice" (arr. Steuart Bedford)
2. Shostakovich: Cello Concerto No. 2
3. Shostakovich: Symphony No. 15

日曜にサウスバンクとバービカンをハシゴした後、月曜早朝から水曜まで出張、木曜金曜と再び連チャンという、なかなかキツいスケジュールでした。アシュケナージは好きな指揮者じゃありませんが、それでも聴きたかったのは、チャレンジングなプログラムだったので。しかしあまりにチャレンジングなため、疲れの溜まった身には苦行のように堪えました。

1曲目のブリテン「ヴェニスに死す」は、同名オペラから抜粋して小編成オケの組曲に仕上げたものですが、ちょうど「パゴダの王子」みたいなアジアンテイストを感じます。編曲のベッドフォードは確かこのオペラの初演を指揮した人ですね。私の耳にはブリテンらしい煮え切らない曲で、結局よくわかりませんでした。

続くショスタコのチェロコンチェルト第2番は、2年ほど前にプラハで聴いて以来です。そのときのソリスト、イケメンのミュラー=ショットと比べて今日のガベッタのほうがずっと男勝りの力強さを感じました。この若き美人チェリストは一見華奢に見えて、二の腕など実はなかなか筋肉質でパワーがあります。その分繊細さや透明感に欠ける気がして、ミュラー=ショットのときとは全く別の曲のような印象でした。やはりこれもまたつかみどころのない曲ですわな。アンコールはチェロ奏者4人を伴奏に弾きましたが、休憩時に観客がチェロ奏者に「今のは何て曲?」と聞いたら、「えーと、何だっけ」と応えられなかったのが微笑ましかったです。


あー、動いてしまって写真撮れませんでした…。


速攻で着替えてサイン会に臨んでいたガベッタさん。

メインのショスタコ15番はその昔、タコというとまだ5番と9番しか知らなかった頃にFMラジオで初めて聴いて、第一印象は「何て変な曲」だったけど何故かハマり、エアチェックしたテープを勉強のBGMによく聴いていました。実演は初めて、すごーく久々に聴きましたが、やっぱり何て変な曲(笑)。思い出しましたけど、第1楽章の「ウイリアム・テル」の他にもワーグナーや自作からの引用がいっぱいあるサンプリングミュージックなんですね。アシュケナージはN響と一緒にブダペストに来たのを聴いて以来。とにかくこの人のギクシャクとした指揮はどうにもいちいちカンに触っていけません。棒振りが杓子定規であえて手の内を見せないような指揮者は他にもいますが、この人の場合は本当にずっとスコアに目を落としながら、オケに合わせて腕を振り回しているだけに見えてしまうので、指揮者としていかがなものか、という思いを禁じ得ません。そんな感じでリズムは重たかったものの、日本公演から帰ったばかりのフィルハーモニア管は好調を維持して上手かっただけに、ちょっと無理が続いてしまった自分の体調と、今日の指揮者がサロネンじゃないという事実をちょっぴり残念に思いました。


指揮棒をくわえたり、やっぱり指揮者らしくない人です。


本日のフィオナちゃん。