OAE/ラトル/ラベック姉妹:ハイドンとモーツァルト2011/06/21 23:59


2011.06.21 Royal Festival Hall (London)
Sir Simon Rattle / Orchestra of the Age of Enlightenment
Katia Labèque, Marielle Labèque (P-2)
1. Haydn: Symphony No. 64 in A major (Tempora mutantur)
2. Mozart: Concerto in E-flat major for two pianos, K.365 (Piano Concerto No. 10)
3. Mozart: Symphony No. 33 in B flat major
4. Haydn: Symphony No. 95 in C minor

OAEことOrchestra of the Age of Enlightenmentは「啓蒙時代の管弦楽団」という意味の名称を持つ、ロンドンの古楽器楽団。当然普段のプログラムはバッハ、ヘンデル、ハイドン、モーツァルトの時代が中心で、新しめでもせいぜいメンデルスゾーン止まりなので私が食指をそそられることは基本的になく、今回ついに初体験です。妻にも「あなたがハイドンとモーツァルト?ホントに一人で行くんでしょうね?!」と怪しまれたくらいですが、思い立ったきっかけはサイモン・ラトル。昨年のPROMSおよび今年2月に聴いたラトルとベルリンフィルの充実ぶりに感銘を受けて、もっとラトルが聴いてみたくなり慌ててチケットを取った、というわけです。ラトル人気に加えてラベック姉妹も登場とのことで、ホールは満員御礼の入りでした。

今日はどの曲もほぼ初耳の曲ばかり。ハイドン、モーツァルトの中でもどちらかというとマイナーな曲が並び、私には選曲のコンセプトがわかりません。1曲目、ハイドン64番は「時の移ろい」という表題がつけられているようですが、何となく角の取れたハイドンです。特徴は第2楽章のLargoで、たいへんギクシャクとした進行の長くて変な曲でした。あるいはラトルが変なのか?続く短いメヌエットでまた軽やかな雰囲気に戻り、終楽章まで一気に駆け抜けました。うーん、やっぱりハイドンはよくわからん、というか、あれとこれの区別が自分でちゃんとついているのかというと…。

2曲目はラベック姉妹の登場。生で見るのは初めてですが、デビューしてサントリーのCMに出ていたころのイメージしか記憶にないので、さすがに老いましたなー。もちろん60歳前後とは思えない美貌であることは確かですが。今日は古楽器オケなので、ピアノも古楽器のフォルテピアノが2台向かい合わせで並んでおりました。指揮台に上ったラトルが、これは交響曲のスコアだと言って自分でスコアを取り替えに戻るハプニングがありましたが、まあご愛嬌。曲は、オケとピアノがあまり絡み合わず、ほぼ交互に演奏して行く進行ですが、今日は席が遠かったからか、フォルテピアノの鳴りの悪さが如実にわかりました。楽器2台もあって、結構力強そうなタッチで打鍵しているように見えても、しかも相手が古楽器集団でも、フォルテピアノの部分になるとガクンと音量が下がりるので、勢い、集中力・緊張感が高まります。面白かったのですが、聴いてて肩が凝りました。もちろんやんやの大喝采で、アンコールでは二人で一つの椅子に寄り添いながら座り、連弾の曲を披露しました。バラ売りしているのを見たことがないし、いつまでも仲の良いパートナーなんですね。次は普通のモダンピアノでも聴きたいものです。


譜面台を撤去し、後半戦はラトル先生、暗譜で臨みます。最初のモーツァルト33番は、これまた軽くてこじんまりとした曲。あーモーツァルトらしいメロディだなあ、などと思いつつ、あっという間に終わってしまいました。最後のハイドン95番では編成が増え、木管フルート、管の長いナチュラルトランペット、手締め式バロックティンパニが入って多少にぎやかになります。この曲は、2楽章と3楽章のチェロのソロがチャームポイントですね。古楽器らしからぬビブラートで浪々と歌わせていたのが印象的でした。晩年のザロモンセットの一つですから、さすがに聴き応えのある堅牢な交響曲という感じで、飽きませんでした。

ラトル先生は例によっていろいろと仕掛けをかましていたのかもしれませんが、苦手分野の初耳曲ばかりなのでもちろん論評できるはずもなく。ただ、全体を通して退屈することなく、思った以上に楽しめた演奏会でした。

コメント

_ かんとく ― 2011/06/25 14:18

Miklosさん TheTimesの批評では、滅多に出ない5星でしたよ。

_ 守屋 ― 2011/06/25 16:10

おはようございます。夏至が過ぎたばかりなんですよね?

 ラベック姉妹とは懐かしい。実際の演奏を聞いたことも観たこともありませんが、こちらのポストを読むまで日本でだけ名が知られているのだとばかり思っていました。

_ つるびねった ― 2011/06/27 00:13

ばら売り!
片方の人は(どちらの方かは名前が分からない)は、ムローヴァさんと組んで音楽会をやってらっしゃいますよ。
でもお二人はほんとに仲が良いんでしょうね。個性がだいぶ違うからときには大げんかしそうだけど、かえってそんなことないのかな。

_ Miklos ― 2011/06/27 06:28

>かんとくさん
イギリスのメディアは地元の英雄ラトルに対していつも評価が甘めのような気もしますが、それを差し引いても高評価に納得の、素晴らしい演奏会だったと思います。

>守屋さん
そうなんですよ、私もこの演奏会を見つけるまで、ラベック姉妹の名前は長らく忘れておりました。日本では「過去の人」というイメージで、失礼にも「一発屋」などと呼ばれることもあったようなので、一般マスコミに取り上げられるのも良し悪しですねえ。

>つるびねったさん
姉妹が別々に活動することもあるのは知りませんでした。この二人、確かに性格的には相当違いそうに見えます。長続きしているのは、お姉ちゃんのほうが「大人」なんでしょうね、多分。

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_ miu'z journal *2 -ロンドン音楽会日記- - 2011/06/27 00:10

21.06.2011 @royal festival hall

haydn: symphony no. 64
mozart: Concerto in E-flat major for two pianos, K.365
mozart: symphony no. 33
haydn: symphony no. 95

Katia Labèque, Marielle Labèque
sir simon rattle / oae

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