フィルハーモニア管/マゼール:マーラー「夜の歌」 ― 2011/05/26 23:59
2011.05.26 Royal Festival Hall (London)
Lorin Maazel / The Philharmonia Orchestra
1. Mahler: Symphony No. 7
「マゼールのマーラー・チクルスを厳選して聴きに行く」シリーズ第7弾。今シーズンは結局この7番まで皆勤賞です。ぱちぱち。もう一つ、ロンドンに引越しが決まったときに密かに目論んでいた「マーラーの全交響曲をロンドンのローカルオケで聴く」シリーズのようやく完結でもあります。2009/2010のシーズン以降で聴いたマーラーの交響曲とオケは各々以下の通り。
1番:LSO, PO (+ Berliner Phil)
2番:POX2
3番:PO (+ Berliner Phil)
4番:LSO, LPO, PO (+ Berliner Phil)
5番:LSO, POX2
6番:LSO, LPO, PO, BBCSO
7番:PO (+ DSO Berlin)
8番:BBCSO
9番:LSO (+ LA Phil)
10番:LSOX2
大地:LSO
今年2月のベルリンフィルで「マーラーの全交響曲をロンドンで聴く」のは達成していたのですが、3番、7番がなかなかローカルオケでは聴く機会がなく、マゼール・チクルス万歳です。しかし記録を見ていると、マーラーをこれだけ聴いているその間に、タコ、プロコはおろか、ベートーヴェン、ブラームス、チャイコフスキーですら交響曲はあまり聴いてませんし、モーツァルト、メンデルスゾーンの交響曲に至ってはゼロ。我ながらひどい偏食です。
前置きがだらだらと長いのですが、自分はこの曲に対してあまり語れるものを持っていないのが正直なところ。マーラーの中では7番、8番、大地の歌の3曲はそれ以外と比べて本当に聴く機会が少なく、細部があまり頭に入っていないので、マゼールがいかに「ヘンタイ」なことをやっても察知できる自信がないんです。
さて、今日は午後から激しい雨が断続的に降り、地下鉄が止まらないか心配でした。多分雨とは関係ないですがJubilee Lineが遅れていたのでちょっと心配していましたら、コンマスのジョルト氏、今日はちゃんと間に合って出てきました。よかったよかった、と思いきや、今度は登場したマゼール先生が「おや、譜面台がないぞ」とクレーム。すぐに指揮台を下りてしまいました。ほどなく譜面台とスコアがセットされ、御大も別に気を損ねた様子もなく、いつものように颯爽と棒を振り始めました。
陰々滅々とした第1楽章が、私がこの曲をあまり好まない原因の一つかもしれません。マゼールのテンポは今日も遅めです。冒頭のテナーホルンの主題(実際にテナーホルン使ってました?私の席からはトロンボーンで代用しているように見えたのですが)と、続く木管がいかにも苦しげで、こっちもますます息が苦しくなりました。金管は破綻なくがんばっていたし、集中力ある演奏でしたが、何せ重苦しくてたまらんです。何だか疲労感だけ残ったような長い第1楽章がやっと終わり、気を取り直して第2楽章は、ここまでちょっと抑え目だったティンパニがドカンと爽快な打撃を叩き込んでくれて多少溜飲が下がりました。しかしまだまだ陰々滅々は続きます。第3楽章はマーラーのスケルツォの中でも特に陰にこもったものだと思いますが、皮を破らんばかりのティンパニの一撃と、強烈なバルトーク・ピチカートに目が覚めました。この7番の2楽章と3楽章は表面的には「マーラー節」の集大成のようで、聴き覚えのあるフラグメントが連発してちょっとうんざりしますが、構成とか楽器の使い方にそれまでと違う新しい試みをいろいろ詰め込んでいて(個別に指摘できるほど聴き込んでいないのが弱いですが)、それも聴いていて道に迷ってしまう原因かなと。
4楽章は逆に、新しい境地の音楽。マンドリンとギターは私の席とは反対側でしたがよく聴こえましたし、陰から陽に向けての間奏曲の役割をしっかり果たしていました。お待ちかねの終楽章は冒頭からティンパニが期待通りの大暴れ。よく見るとフィオナちゃんもノリノリで、休符の間にもリズムに乗って首を軽く左右に振っていた姿がますますキュートでした。マゼール先生はこのシリーズで時々あったような、せっかくの流れを阻害するヘンなマネはせず、構成が弱いといわれるこの曲でもむしろうまい具合に起伏を作り、スムースな流れを導いていました。と思うのは自分があまりこの曲が好きじゃないからで、もしかしたらやっぱりヘンタイな演奏だったのかもしれませんが…。
フィオナちゃんの隣りのヴィオラトップの女性も演奏中の姿がなかなか美しく、おおっ、と思ったのですが、やっぱりプロポーションも抜群のフィオナちゃんにはかないませんでした。いや、ヴィオラの演奏はたいへん良かったんですよ…。もはや自分でも、何しに演奏会に行っとんじゃ、と思い始めてきたので、美人奏者探しは当分封印です。
Lorin Maazel / The Philharmonia Orchestra
1. Mahler: Symphony No. 7
「マゼールのマーラー・チクルスを厳選して聴きに行く」シリーズ第7弾。今シーズンは結局この7番まで皆勤賞です。ぱちぱち。もう一つ、ロンドンに引越しが決まったときに密かに目論んでいた「マーラーの全交響曲をロンドンのローカルオケで聴く」シリーズのようやく完結でもあります。2009/2010のシーズン以降で聴いたマーラーの交響曲とオケは各々以下の通り。
1番:LSO, PO (+ Berliner Phil)
2番:POX2
3番:PO (+ Berliner Phil)
4番:LSO, LPO, PO (+ Berliner Phil)
5番:LSO, POX2
6番:LSO, LPO, PO, BBCSO
7番:PO (+ DSO Berlin)
8番:BBCSO
9番:LSO (+ LA Phil)
10番:LSOX2
大地:LSO
今年2月のベルリンフィルで「マーラーの全交響曲をロンドンで聴く」のは達成していたのですが、3番、7番がなかなかローカルオケでは聴く機会がなく、マゼール・チクルス万歳です。しかし記録を見ていると、マーラーをこれだけ聴いているその間に、タコ、プロコはおろか、ベートーヴェン、ブラームス、チャイコフスキーですら交響曲はあまり聴いてませんし、モーツァルト、メンデルスゾーンの交響曲に至ってはゼロ。我ながらひどい偏食です。
前置きがだらだらと長いのですが、自分はこの曲に対してあまり語れるものを持っていないのが正直なところ。マーラーの中では7番、8番、大地の歌の3曲はそれ以外と比べて本当に聴く機会が少なく、細部があまり頭に入っていないので、マゼールがいかに「ヘンタイ」なことをやっても察知できる自信がないんです。
さて、今日は午後から激しい雨が断続的に降り、地下鉄が止まらないか心配でした。多分雨とは関係ないですがJubilee Lineが遅れていたのでちょっと心配していましたら、コンマスのジョルト氏、今日はちゃんと間に合って出てきました。よかったよかった、と思いきや、今度は登場したマゼール先生が「おや、譜面台がないぞ」とクレーム。すぐに指揮台を下りてしまいました。ほどなく譜面台とスコアがセットされ、御大も別に気を損ねた様子もなく、いつものように颯爽と棒を振り始めました。
陰々滅々とした第1楽章が、私がこの曲をあまり好まない原因の一つかもしれません。マゼールのテンポは今日も遅めです。冒頭のテナーホルンの主題(実際にテナーホルン使ってました?私の席からはトロンボーンで代用しているように見えたのですが)と、続く木管がいかにも苦しげで、こっちもますます息が苦しくなりました。金管は破綻なくがんばっていたし、集中力ある演奏でしたが、何せ重苦しくてたまらんです。何だか疲労感だけ残ったような長い第1楽章がやっと終わり、気を取り直して第2楽章は、ここまでちょっと抑え目だったティンパニがドカンと爽快な打撃を叩き込んでくれて多少溜飲が下がりました。しかしまだまだ陰々滅々は続きます。第3楽章はマーラーのスケルツォの中でも特に陰にこもったものだと思いますが、皮を破らんばかりのティンパニの一撃と、強烈なバルトーク・ピチカートに目が覚めました。この7番の2楽章と3楽章は表面的には「マーラー節」の集大成のようで、聴き覚えのあるフラグメントが連発してちょっとうんざりしますが、構成とか楽器の使い方にそれまでと違う新しい試みをいろいろ詰め込んでいて(個別に指摘できるほど聴き込んでいないのが弱いですが)、それも聴いていて道に迷ってしまう原因かなと。
4楽章は逆に、新しい境地の音楽。マンドリンとギターは私の席とは反対側でしたがよく聴こえましたし、陰から陽に向けての間奏曲の役割をしっかり果たしていました。お待ちかねの終楽章は冒頭からティンパニが期待通りの大暴れ。よく見るとフィオナちゃんもノリノリで、休符の間にもリズムに乗って首を軽く左右に振っていた姿がますますキュートでした。マゼール先生はこのシリーズで時々あったような、せっかくの流れを阻害するヘンなマネはせず、構成が弱いといわれるこの曲でもむしろうまい具合に起伏を作り、スムースな流れを導いていました。と思うのは自分があまりこの曲が好きじゃないからで、もしかしたらやっぱりヘンタイな演奏だったのかもしれませんが…。
フィオナちゃんの隣りのヴィオラトップの女性も演奏中の姿がなかなか美しく、おおっ、と思ったのですが、やっぱりプロポーションも抜群のフィオナちゃんにはかないませんでした。いや、ヴィオラの演奏はたいへん良かったんですよ…。もはや自分でも、何しに演奏会に行っとんじゃ、と思い始めてきたので、美人奏者探しは当分封印です。

開演前に真剣なまなざしで練習するフィオナちゃん。

終演後、「うーん、どうだったかしら」という微妙な表情
コメント
_ つるびねった ― 2011/05/28 08:07
_ Miklos ― 2011/05/28 08:31
すいません、今シーズンはもしかしたらフィオナちゃん見納めかも、と思ってたくさん写真を撮ってしまいました。
そうですか、やっぱり変態演奏でしたか。つうか、曲自体がヘンですよね。スミスさん、この日は特にティンパニが「歌って」ました。なかなか真似できるものではありません。
そうですか、やっぱり変態演奏でしたか。つうか、曲自体がヘンですよね。スミスさん、この日は特にティンパニが「歌って」ました。なかなか真似できるものではありません。
_ かんとく ― 2011/05/30 05:43
Miklosさん
フィオナちゃんをはじめ、フィルハーモニアの女性奏者のレベルはロンドンオケの中でもダントツという判定なのですが、如何でしょう。ホルンには見た目高校生ぐらいの人が居ましたけど。Miklosさんのおかげで新しい聴き方(見方)の楽しみが増えました。
フィオナちゃんをはじめ、フィルハーモニアの女性奏者のレベルはロンドンオケの中でもダントツという判定なのですが、如何でしょう。ホルンには見た目高校生ぐらいの人が居ましたけど。Miklosさんのおかげで新しい聴き方(見方)の楽しみが増えました。
_ Miklos ― 2011/06/01 07:30
何だか私が「女性奏者評論家」のような言われようになってきましたが、決してそんなことはありません。実際、いつも席が前すぎてかえって奏者の顔がよく見えないんです。それはともかく、せっかくヨーロッパのオケを聴きにいってるんですから、人形のような白人べっぴんさんで目の保養を、という楽しみ方もあってよろしいのではないかと。
_ dognorah ― 2011/06/02 07:11
私はこの曲が結構好きでして、今回も大変楽しめました。ということでマゼール指揮フィルハーモニア管はこれで3回とも大満足の演奏です。残るは9番しか切符を買っていませんが、未だかつてその曲に感動したことはないのでどうなるか今から不安と期待で一杯です。
_ Miklos ― 2011/06/02 09:12
dognorahさん、残る3曲は来シーズンですね。10番を補完全曲版でやってくれないのが大いに不満です。しかしマゼールのことですから、次もかくしゃくと登場し、またヘンテコな演奏を聴かせてくれることと思います。
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_ miu'z journal *2 -ロンドン音楽会日記- - 2011/05/28 08:01
26.05.2011 @royal festival hall
mahler: symphony no. 7
lorin maazel / po
マゼールさんとフィルハーモニアのマーラー交響曲シリーズ、何はなくともチケットを取らなきゃと思ったのは今日の交響曲第7番です。だってだって、スミスさんのティンパニ、大活躍、絶対すごいことになるんだから。マーラーのこの曲を聴くのは、ロンドンに来てから今日が3回目! しかも1回目は同じフィルハーモニアで(サロネンさんの指揮)、ティンパニのスミスさんに注目することを決定づけた音楽会だったんですね。今日もわくわく。
厳選してとおっ...
mahler: symphony no. 7
lorin maazel / po
マゼールさんとフィルハーモニアのマーラー交響曲シリーズ、何はなくともチケットを取らなきゃと思ったのは今日の交響曲第7番です。だってだって、スミスさんのティンパニ、大活躍、絶対すごいことになるんだから。マーラーのこの曲を聴くのは、ロンドンに来てから今日が3回目! しかも1回目は同じフィルハーモニアで(サロネンさんの指揮)、ティンパニのスミスさんに注目することを決定づけた音楽会だったんですね。今日もわくわく。
厳選してとおっ...
わたしは、かなり変態的な演奏に聴きましたよ。でも、その変態ぶりが曲にぴったり合っていました。マーラーもかなり変態です。
スミスさん、わたしも第1楽章は抑えてるなって思いました。そして第2楽章はいきなり決めてくれましたね。わたしはもう楽しくて楽しくてにこにこ。フィナーレもばしばしやってくれて満足です。