ロイヤルオペラ:ヘンゼルとグレーテル2010/12/28 23:59

2010.12.28 Royal Opera House (London)
Rory Macdonald / Orchestra of the Royal Opera House
Moshe Leiser, Patrice Caurier (Director)
Kai Rüütel (Hansel), Ailish Tynan (Gretel)
Yvonne Howard (Gertrud), Thomas Allen (Peter)
Jane Henschel (Witch), Anna Siminska (Dew Fairy)
Madeleine Pierard (Sandman)
1. Humperdinck: Hänsel and Gretel

今年最後の観劇です。これで今年は52回、平均して週1回のペースを何とか守りました。年間回数としては過去最高です。ほぼ半分の25回を家族全員で出かけているので、相当の出費になってますが、まあ今のうちだけにできる、ささやかな贅沢ですので。

さて今シーズンの「ヘンゼルとグレーテル」、プログラム発表当初はチャールズ・マッケラス指揮というのがほぼ唯一最大の目玉でしたので、7月に亡くなられてしまったのが残念です。結局マッケラスを生演奏で聴くことはなりませんでした。

この日の公演は、マッケラス亡き後、トーマス・アレンを除いて、残った出演者の中では一番名が通っているであろうクリスティーネ・ライスが当日急にキャンセル、歌手陣のスケールダウンは否めないところです。こうなると俄然存在感が際立ってくるのはベテランのトーマス・アレン。イギリスに来る前に日本でNHK BSから録画したロイヤルオペラの同曲公演でも同じお父さん役を歌っており(ちなみにこの録画はBBC制作でダムラウのグレーテル、キルヒシュラーガーのヘンデル、指揮はコリン・ディヴィスという贅沢豪華版)、元々オハコなのでしょうが、ノリノリの演技と堂々とした歌唱はまさに当たり役、一人で美味しいところをさらって行ってました。

ヘンデル代役のカイ・リューテルはROHのヤングアーティストで、7月の「椿姫」ではフローラを歌っていましたが、すいません、記憶に残っていません。少年らしいツヤツヤの肌で、長身のためグレーテルとのバランスがよく、歌も演技も代役にしては全く上出来な完成度で、たいへんよくがんばっていました。一方のグレーテル役のタイナンは、一見してずんぐりおばさん体型で、オペラグラスでアップで見てしまうと失礼ながらけっこう老けたお顔。お母さんか魔女のほうがハマっているのではと思ってしまいましたが、ふたを開けるとそちらはもっと貫禄のある方々が役についていましたので、バランス的には、まあオッケーですか。グレーテル、お母さん、魔女ともに歌は、目が覚めるような華やかさはありませんでしたが、各々堅実で良かったです。眠りの精や霧の精(美人!)は若い分、歌が弱くてちょっと物足りない気もしました。

マッケラスの代役を勤めたマクドナルドはまだ30歳くらいの若者ですが、オケを小気味よくドライブして、好感の持てるリードでした。指揮者がよく見える席だったので観察していましたが、元々レパートリーなのか、あるいは相当研究したのか、曲の隅々まで知り尽くし、ずっと歌を歌いながら振っていました。すでにイギリス中心にROHなどで活躍しているようで、将来に期待です。

「ヘンゼルとグレーテル」は実演で見るといっそう楽しいオペラです。ROHの演出は一部大人向きの箇所もありますが、まあ、子供のオペラデビューには最適ではないでしょうか。

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