フィルハーモニア管/カラボワツ/シャハム(vn):ロメオとジュリエット他2010/05/20 23:59

2010.05.20 Royal Festival Hall (London)
Kirill Karabits / The Pilharmonia Orchestra
Gil Shaham (Vn-2)
1. Bernstein: Overture, Candide
2. Barber: Violin Concerto
3. Prokofiev: Romeo and Juliet, Suite
 3-1) Montagues and Capulets (Suite #2-1)
 3-2) Juliet the Young Girl (Suite #2-2)
 3-3) Masks (Suite #1-5)
 3-4) Romeo and Juliet (Balcony Scene) (Suite #1-6)
 3-5) Death of Tybalt (Suite #1-7)
 3-6) Frair Laurence (Suite #2-3)
 3-7) Dance (Suite #2-4)
 3-8) Romeo at Juliet's Grave (Suite #2-7)

若手を代表する人気ヴァイオリニスト、ギル・シャハムと、さらに若い世代のウクライナ人指揮者、キリル・カラボワツを迎えての名曲プログラムです。まず1曲めの「キャンディード」序曲、カラボワツは指揮棒なしで快速にぶっ飛ばします。33歳という「ハーディング世代」ですが、遠慮がちなところがなく強引にオケを引っ張って行き、これは期待が持てます。オケはよく鳴っていましたが、木管がちょっとキーキー濁ってました。

ギル・シャハムは生演初めてでしたが、くたびれたサラリーマンのような冴えない風貌が意外でした。失礼ながら、39歳にしてはずいぶんとおっさんくさい。先入観に邪魔されたわけではないでしょうが、バーバーの1楽章、どうにも冴えません。よく聴くと最初からオケとピッチがずれてしまっていて、もちろん何とか修正しつつ弾いていたのでしょうがそれで済む範囲を超えていたようで、微妙に音痴感が漂う演奏になってしまい、何とも覇気に欠けました。1楽章が終わると聴衆に一礼、拍手が起こったのでもしやこれで引っ込むのでは、と危惧しましたが、手短にチューニングを直し、気を取り直して2楽章へ。打って変わって、ヴァイオリンが歌う歌う。1楽章の分を取り戻すかのように完璧な演奏でした。3楽章の全編高速パッセージも難なく走り抜け、やはりさすが若手のエースです。返す返すも1楽章がもったいない。叙情的でたいへん美しい曲なのに、万全の状態を聴きたかったです。最初、シャハムはステージでチューニングの確認をしませんでしたが、そういうポリシーの人(チューニングはお客に聴かせるものではない)も多いのはわかりますが、こういうことがあると良し悪しですねえ。

メインの「ロメジュリ」は組曲からの抜粋で、一部前後はしますが概ねストーリー順に並べ替えています。ロイヤルバレエのDVD(アレッサンドラ・フェリの奇跡のような踊り!)をこのところ妻が毎日のように見ているのでバレエ付き全曲版に聴き慣れてしまい、演奏会用組曲は非常にテンポが速く感じてしまいます。特に「ティボルトの死」は親の敵のように情け容赦ない高速演奏、しかもオケはちゃんと着いていってるからすごい。ティンパニもいつものごとく味わい深い音を叩き出していて良かったです。なお、パンフに載っていたのは実際の選曲と少し違いましたが、こちらが正解です。

カラボワツはオケに合わせず、引きずられず、一貫して自分のやりたいことを押し通しているように見えましたが、まだ若いのでそれでよいと思います。キャリア的には同世代のハーディングやネルソンスにはまだ見劣りがしますが、今シーズンよりボーンマス響の首席になったとのこと、是非遠慮せず意欲的なプログラムをガンガンとやって欲しいですね。

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