UK Amazonで日本映画2011/09/07 07:41

もう数ヶ月前の話になりますが、Amazon.co.ukをつらつらと見ていて、日本映画がけっこうあるのに気付きました。かつて熱狂した映画が£5くらいで売っているのを見て思わずポチポチっと買ってしまったのが下の二つ。



狙ったわけではありませんが、どちらも高倉健主演、佐藤純彌監督の作品でした。言わずもがなですが、後者は角川映画第3弾の「野性の証明」です。

一気に見てしまいましたが、いやー、面白かった。あらためて見てみると「野性の証明」はありえねーだろーという展開の連続で、ストーリー完全に破綻してますが、勢いだけで一気に最後まで見せてしまいます。それに、出てくる役者さんのかっこいいことといったら!高倉健はもちろんのこと、三国連太郎、夏八木勲、田村高広、松方弘樹、梅宮辰夫、成田三樹夫、館ひろし、丹波哲郎、寺田農、皆それぞれ役どころをがっつりとつかみ、出番の長い短い関係なく、この人以外に想像できないと思えるほどのハマリっぷり。よくもまあこんな映画に(失礼!)真顔でここまで仕事ができるもんだと感心しました。よっぽどギャラが良かったんでしょうか。

「新幹線大爆破」は、欧米ではアクションスターとして超有名な「ソニー千葉シリーズ」の1本です。アメリカやフランスで公開された短縮板でなく、オリジナル152分の尺で収録されているのが嬉しい。この作品、確かに千葉真一は出てますけど、新幹線の運転手というアクションの一切ない地味な役どころ。でも、芸の濃いい人々の狭間で、彼でなければ出せない存在感はビンビン立ってます。こちらは何度見ても掛け値なしに面白い映画です。

Kung Fu Panda 2 3D2011/06/28 07:34

娘との約束だったので、仕事帰りの夕方に一緒に見に行きました。

ハリウッドの3D CGアニメは見るたびに躍動感、浮遊感が凄さを増していて、技術の進歩は全くたいしたものです。それに対して、プロットは全然進化してません。アクションは香港カンフー映画へのオマージュ、との解釈も可能なのかもしれませんが、ストーリーがあまりに予定調和的でヌルいです。エンディングでパート3への布石を打っていたようですが、Dream Worksなんだから、次はもうちょっとヒネッた展開を期待します。

見ている間は気付きませんでしたが、エンドクレジットを見ると声優陣がとんでもないです。主役のジャック・ブラックはともかく、ダスティン・ホフマン、アンジェリーナ・ジョリー、ゲイリー・オールドマン、ジャッキー・チェン、ルーシー・リュー、ジャン=クロード・ヴァン・ダムなど蒼々たる顔ぶれ。もしこれだけ集めて実写映画を撮るとしたら相当たいへんだろうなと思います。

Norwegian Wood (ノルウェイの森)2011/04/05 08:42

原作を読んだのはもう20年も前ですか。読んでみたのは単に世間で評判だったからですが、ご多分にもれず、たちまち村上春樹の世界にのめり込み、一時期村上作品を片っ端から読み込んでいた時期がありました。それ以前にハマっていた筒井康隆のハードSF作品や、ジョン・アーヴィングの長編小説(村上春樹の翻訳もありました)と同じ空気を感じたのも要因だったと思います。

前回「ノルウェイの森」を読み返したのもずいぶん前になるので相当忘れていますが、映画は原作のディティールと空気へのリスペクトを感じました。大胆な発想で再構築した脚本ではなく、原作を丁寧に刈り込み煮詰めて行ったので時間の流れに違和感がありませんでした。ただし、原作のノスタルジックな雰囲気はかなりスポイルされていましたが、これは外国(ベトナム)人監督だから仕方がないのかな。

役者選びとキャラクター作りは、読み込んだ小説の映画化にはどうしても辛口になってしまいます。村上小説は、やっぱり「やれやれ」がないとね。とは言え、原作の時代設定、原作の発表時、今回の映画化と、各々約20年の間隔がある中で、よくがんばった、とも思います。水原希子の緑だけは、あまりに痩せ過ぎの今風モデル体型でイメージ違いまくったけど。

違和感があったのは音楽。どこの現代音楽作曲家かと思ったら、Radioheadの人(Jonny Greenwood)なんですね。ポップスのジャンルに身を置いている人が作ったとは思えない、終始リゲティのような音楽でした。この音楽は映画が懐古的で甘ったるいムードに陥るのを徹底的に拒絶していますので、完全に監督の意図が入っているでしょう。そう言えば、こないだ見た「告白」にもRadioheadの曲が使われていて、今日本映画界では「旬」なんですかね。日本でそんなに人気が出そうなバンドじゃないように思うんですけど。

あとは、細野晴臣、高橋幸宏がちょい役で出てたのが嬉しかったですが(思わず坂本龍一も出ないかと注意して見ましたが、残念ながら彼は出演せず)、村上作品との接点はいったい何なのでしょう?

ロンドンでは3月11日から一般劇場公開が始まり、Curzon Soho、Odeon Covent Gardenなどでまだやってます。

Confessions (告白)2011/02/18 23:59

日本で非常に評判が良かったのを聞いていてずっと気になっていたのですが、ちょうど今日からロンドンでも上映されるということで、早速見に行ってきました。

こんなの見に行く人は日本人しかいないだろうと思っていたらけっこう現地の人が多くて、というか、日本語の会話はほとんど聞かれませんでした。(英国人から見て)こんなマイナーな世界の映画にも、ちゃんとウォッチしている人がこれだけいるんですねえ。

子供向け以外で映画館で映画を見たのは久しぶりですが、何だか凄いものを見た、という感想です。冒頭から息を飲み続けて見守りましたので、疲れました。たいへんシリアスでいろいろと考えさせられる内容ですが、いじめ・少年法など落とし穴の要素は多々あったにもかかわらず押し付けがましい主張は一切なく、不思議と見終わった後に重さは残りませんでした。後から考えると不可思議な点や無理な展開も多少ありますが、見ている間は有無を言わさず引き込まれる、力のある脚本と思います。

松たか子の演技が素晴らしかったです。デビューのころキムタクのトレンディードラマに出ていたりしたので軽く見ておりましたが、優れた性格女優になったんですね。修哉君の役者は子役からキャリアを積んだ芸達者のベテランだったらもっと説得力を出せたのかも、とは思いました。

Charing CrossのInstitute of Contemporary Arts (ICA)ほかで3/17までやってます。

Tangled 3D2011/02/14 00:54

まだやってるのかな?娘が見たいとずっと言っていたので、2週間くらい前に見に行きました。

原作はグリム童話の「ラプンツェル」、本当はかなり「微妙な」お話なんですが、ストーリーは全くディズニーの創作になっているので、子供連れでも安心です。まあ、プリンセスシリーズなので女の子向けではありますが、そこはディズニー、男の子も親も十分楽しめるようによく練られて、作り込まれていますね。そもそもこの映画、最初はストレートに「Rapunzel」というタイトルで製作されていたところ、後になって、男女両方を動員できるようにと、「Tangled」というプリンセス色を消したタイトルに変更された経緯があるようです。ならば「塔の上のラプンツェル」という邦題(日本では3月公開)は、そのディズニーの意向を丸無視なんですかね?

でもまあ、単純に面白かったです。3Dの効果としてジェットコースターのような臨場感もさることながら、空中を無数に浮かぶランタンの中に身を置くような浮遊感も、うまい3Dの使い方だなと思いました。

Megamind 3D2010/11/29 06:29

何の話かわからず、先入観なしで見たせいか、けっこう面白かったです。

ブラックホールに吸い込まれる直前、種の保存の希望を託して赤ん坊を乗せ放たれた2機の宇宙カプセルが漂着したのは、1つは地球の裕福な家庭、もう1つは刑務所だった…。ヒーロー対悪役のドタバタコミックかと思いきや、そこはDream Worksですからひねくり回しています。主役はむしろヒールのメガマインドで、スーパーヒーローのメトロマン(声はブラッド・ピット)は典型的ないけすかないマッチョアメリカンとして描かれていて、その二人の戦いは結局のところ「プロレス」です。ところがある日、メガマインドがメトロマンに想定外に勝ってしまったものだから、さあたいへん。張り合いを失ったメガマインドは、自らの手で新たなスーパーヒーローを作り出そうとしますが…。

先が読めないストーリー展開はたいへんテンポが良く、AC/DC、Guns & Roses、Michael Jacksonといった洋楽懐メロもふんだんに使用されて、なかなか楽しめました。

Cats and Dogs: Revenge of Kitty Galore 3D2010/08/30 23:59

本日はバンクホリデー。夏休み最後の日だったので、娘を連れて行ってやりました。

3Dの迫力CG映像にはなっていますが、ストーリー、キャラクターともに前作(もう9年前ですか)よりトーンダウンしていますね。子供向けですが、見終わった後興奮しながらシアターを後にする、とまでは行かず、テンションは全体的に低いです。「羊たちの沈黙」などからシーンの引用があったりして、大人向けのサービスも少しあります。途中眠くなってしまいましたが、まあ気楽に見れる映画です。

人間側の主演(といっても出番は少ない)Chris O'Donnellは「フライド・グリーン・トマト」で鉄道事故で死んじゃうお兄ちゃん役やってた人なんですね。立派な大人になってしまって。

Toy Story 3 3D2010/08/07 23:59

このところ親族が遊びに来たり、ポルトガル旅行に行ったりでバタバタとしていて、今日やっと見に行けました。

さすがPixer、期待を裏切らない面白さに圧倒されました。前2作は娘と一緒にDVDで、それこそ数えきれない回数見てきましたが、今回のは最高、子供には息つく暇を与えず楽しませ、大人も大いに笑わせ、最後はほろりとさせる、まさにパーフェクトなできばえです。「UP」もそんな感じでしたが、あれはあくまで変化球でしょう。「Toy Story 3」は豪腕正統派のストレート勝負。全く、参りました。

Shrek Forever After 3D2010/07/25 23:59

Toy Story 3の公開が始まって終息モードに入ったのか、上演館数は一気に減り、場内はガラガラでした。

シュレックも10年めの第4作にてとうとう最終章。1作目は横浜で、2作目はブダペストで、3作目は千葉で、4作目はロンドンで、娘の成長と共に転々としながら見てきている映画です。パート3が期待はずれに退屈で、娘は途中でトイレに立つわ、私は途中で寝てしまうわで良い印象がなかったのですが、最終章はあまり期待しなかった分、けっこう面白かったです。シュレックが別世界に飛ばされてしまうという話にしたおかげで、ずいぶんすっきりとした脚本にできたと思いますが、それを最初から狙ったのかな。

公式HPを見ると、5月の全米封切り以降、遅くとも8月までには世界中で公開されるスケジュールになっていますが、日本だけ12月と圧倒的に遅いです。クリスマスシーズンの目玉にしたいんだろうとは思いますが、12月よりもずっと前に発売になるであろう米国版DVDを日本からも通販で容易に買える時代になっているんですから、このようなグローバルマーケットの映画を著しい時間差で公開することは、かえって話題性を殺ぐのではないかと、いらぬおせっかいの危惧を覚えてしまいます。

How To Train Your Dragon 3D2010/04/12 02:46

娘が見たいと言うので、Shepherd's BushのWestfieldまで見に行きました。公開して数週間たっているせいか、館内はガラガラ。ゆったりと見れました。

ジェットコースターのような3D映像はなかなか迫力がありました。ドラゴンがいっぱい出てきますが、怖がらすこともなく、子供向きの枠を外れない安全運転です。ハリウッド的予定調和のストーリーに、自然との共存や社会的弱者への配慮もパパッと振りかけて、まあ後腐れない映画でした。

元々恐竜やドラゴンが大好きの娘は大喜びで、DVDはいつ出るの、などとのたまわっています。日本公開は8月のようだから、日本語吹替え付きはまだ当分先だねえ。