新国立劇場バレエ:ロメオとジュリエット(マクミラン版)2019/10/19 23:59

2019.10.19 新国立劇場 オペラパレス (東京)
新国立劇場バレエ団「ロメオとジュリエット」
Martin Yates / 東京フィルハーモニー交響楽団
Kenneth MacMillan (振付)
小野絢子 (Juliet), 福岡雄大 (Romeo),
奥村康祐 (Mercutio), 貝川鐵夫 (Tibolt),
福田圭吾 (Benvolio), 渡邊峻郁 (Paris)
1. プロコフィエフ: ロメオとジュリエット(全3幕13場)

マクミラン版のロメジュリを生で見るのはほぼ8年ぶり。バーミンガム・ロイヤルバレエから装置と衣装を借りているだけあって、舞台の雰囲気はなかなか忠実に再現されていましたが、盲点は、かつら。娼婦のドレッドヘアがいかにも安っぽく興ざめでした。こういう細部もケチらず仕上げて欲しいと思います。

ほぼ余談ですが、マキューシオのパンツが肌色だったので、舞台の照明下では下半身すっぽんぽんに見えてしまい、一度そう見えるともはや修正が効かず、彼が出てくるたびに可笑しさがこみ上げてきてダメでした。

新国バレエは久々に見ますが、さすがに初日のキャストだけあって、ダンサーは皆しっかりと粒ぞろいで、足を引っ張る人は誰もいません。街の喧騒や舞踏会の場面で、端の方の小芝居にも手抜きがないので、いっそう舞台が引き締まっていました。ちょっと固さを感じたのは、初日だからか。マンドリンの踊りでロメオに絡んでくる女の子が色気があって良かったです。

ジュリエット役のプリンシパル、小野絢子さんは、ポワントの軽さやステップの完璧さが際立って素晴らしかったです。ただ、巧さが前面に立ってしまって、ベテラン臭というか、熟女感が出ていて、第1幕でジュリエットの少女感が希薄でしたが、第3幕は非常にハマっていました。

あとは、殺陣のリズムが音楽と上手く合ってなかったのは、ロイヤルほどは慣れてないせいですかな。オケは東フィル、指揮はロイヤルでもお馴染みだったバレエ専門のマーチン・イェーツ。東フィルは、バレエでは情けない演奏を聴かせることが多かったROHのオケよりも、だいぶしっかりしていたように思いました。

やはりどんだけDVDを見ようと、生演奏と生ダンサーの迫力に勝るものはなく、総じて満足した公演でした。しかし実を言うと、第1幕後の休憩時間に足元のおぼつかないじじいがスパークリングワインをグラスごとトレイから落として(というかほぼ吹っ飛ばして)、うちの家内の背中にたっぷりのワインが直撃、グラスの破片は床中に飛散、じじいは一緒にいた家族共々、喧騒を余所にそそくさとその場を離れてトンズラ、という事件があり、観劇気分はすっかりぶち壊されていたことを書いときます。ホールのスタッフは親切に対応してくれましたが、逃げたじじいとその家族は恥を知れ。二度とホールに来るなよ。