小泉/都響/イブラギモヴァ(vn):とっても個性的なバルトークと、とっても普通のフランク2017/10/24 23:59

2017.10.24 サントリーホール (東京)
小泉和裕 / 東京都交響楽団
Alina Ibragimova (vn-1)
1. バルトーク: ヴァイオリン協奏曲第2番 Sz.112
2. フランク: 交響曲ニ短調

ロンドンでは結局1回しか聴けなかったアリーナ・イブラギモヴァ。そのアリーナが待望の来日、しかもバルトークの2番、これは聴き逃す手はありません。ふと振り返ると、昨年はバルトークの曲自体、1回も聴きに行けておらず、ヴァイオリン協奏曲第2番も一昨年のN響/サラステ(独奏はバラーティ)以来。

アリーナも日本でそこまでの集客力はないのか、もっと盛況かと思いきや、結構空席が目立っていました。田畑智子似のちょっと個性的なキューティは、三十路を超えても健在でした。さてバルトークの出だし、第一印象は「うわっ、雑」。音程が上ずっているし、音色も汚い。しかしどうやら狙ってやってるっぽい。この曲をことさらワイルドに弾こうとする人は多いですが、その中でも特に個性的な音楽作りです。ステレオタイプなわざとらしさは感じないし、不思議な説得力があるといえば、ある。ちょうど耳が慣れてきたところでの第1楽章のカデンツは絶品でした。繰り返し聴いてみたくなったのですが、録音がないのが残念。オケはホルンが足を引っ張っり気味で、小泉さんの指揮も棒立ちの棒振りで完全お仕事モード、どうにも面白みがない。ただし、終楽章は多分ソリストの意向だと思いますが、かなり舞踊性を強調した演奏で、オケもそれに引っ張られていい感じのノリが最後にようやく出ていました。エンディングは初稿版を採用していましたが、せっかくの見せ場なのにブラスに迫力がなく、アリーナはすでに弾くのをやめているし、物足りなさが残りました。どちらかというと私はヴァイオリンが最後まで弾き切る改訂版の方が好きです。

メインのフランク。好きな曲なんですが、最後に実演を聴いたのはもう11年も前の佐渡裕/パリ管でした。小泉さん、今度は暗譜で、さっきと全然違うしなやかな棒振り。ダイナミックレンジが広くない弱音欠如型でしたが、力まず、オルガンっぽい音の厚みがよく再現されている、普通に良い演奏でした。小泉和裕は、初めてではないと思いますが、ここ20年(もしかしたら30年)は聴いた記憶がありません。仕事は手堅いとは思いますが、やっぱり、小泉目当てで足を運ぶことは、多分この先もないなと感じます。