カンブルラン/読響/五嶋みどり(vn):渾身のコルンゴルト2016/10/19 23:59

2016.10.19 サントリーホール (東京)
Sylvain Cambreling / 読売日本交響楽団
五嶋みどり (violin-2,3)
1. シューベルト(ウェーベルン編): 6つのドイツ舞曲 D820
2. コルンゴルト: ヴァイオリン協奏曲ニ長調
3. シュタウト: ヴァイオリン協奏曲「オスカー」(日本初演)
4. デュティユー: 交響曲第2番「ル・ドゥーブル」

こんなマニアックなプログラムでも、さすがに五嶋みどりの人気はハンパなく、一般発売日であっという間に完売したプラチナチケットです。当然、読響シンフォニックライブの収録が入っており、いつの間にかAKB48を卒業していた司会の松井咲子がロビーにいたのですが、別段ファンに囲まれるでもなし、普通にスタッフと談笑してらっしゃいました。

1曲目はウェーベルン編曲のシューベルト「ドイツ舞曲」。今年都響のプログラムにも乗っていた気がするし、そこそこメジャーな曲です。ブーレーズの名高い「ウェーベルン全集」(CBS)には作曲者自身の指揮による歴史的演奏がボーナストラックとして入っていました。贅肉をそぎ落とした可愛らしさが命のこの編曲にしては、音がずいぶん濁っているのが気になりました。磨き上げが足らない感じです。練習時間を贅沢に割けないなら、弦を極限まで減らしてトップ奏者のみの上澄みで臨むべき。

次のコルンゴルトが私的には今日のメインイベントで、何と言っても、五嶋みどりの同曲レコーディングはまだないはずなので、たいへん貴重な機会です。4年ほど前に、ロンドンでズヴェーデン/ダラス響との共演でこの曲を演奏するはずだったので「おおっ!」と思ってチェックしていたのに、ダラス響の公演自体がキャンセルになってしまって肩透かしを喰らいました。ようやく巡ってきたこの体験は、絶対にハマるはずという私の予想通りに、繊細と大胆を両立させる、素晴らしい演奏でした。ストイックな堅牢さと豊潤な歌い回しを曲によって巧みに使い分ける五嶋みどりの懐の深さからすると、今日の演奏はどちらかと言えば豊潤寄り。ちょっと舌足らずになる箇所も含め、計算され尽くした完璧な作り込みで、圧倒されました。演奏が終わった途端、何よりまず(聴衆への愛想もそこそこに)団員が全員拍手でソリストを讃えていたのが印象的でした。

後半は正直乗れない曲ばかりで、辛かった。オーストリアの新進気鋭シュタウト作曲の「オスカー」は、2年前のルツェルン音楽祭で初演され、独奏者の五嶋みどりにそのまま献呈されたそうです。当然初めて聴く曲なので予習の機会もなく、全く生真面目なコンテンポラリーという印象で、苦手な部類です。最後のデュティユーも、複合的な大編成オケ構成は、最初は興味深く面白がれるものの、曲としてのつかみどころはさっぱりわからない「疲れ曲」。どちらも、一度聴いただけでは心にすっと溶けこむ縁が見出せなかったので心苦しいのですが、でも二度目を聴きたいともあんまり思わないわなあ。

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