小林/読響:「炎のコバケン」オケに点火せず2015/04/24 23:59

2015.04.24 東京芸術劇場コンサートホール (東京)
小林研一郎 / 読売日本交響楽団
小川里美 (soprano), Anne-Theresa Møller (mezzo-soprano)
東京音楽大学合唱団
1. マーラー: 交響曲第2番ハ短調「復活」

2月のヤマカズ/日フィルがチケット買っていたのに結局用事でいけなかったので、そのリベンジで聴いてみました。ハンガリーでは最も有名な日本人であるコバケンを前回聴いたのは、もう10年も前になりますなー。

東欧では熱狂的に支持されていても日本のクラヲタにはどうもウケが悪い「炎のコバケン」さん、エモーショナルに盛り上げてスケールの大きい音楽を作るスタイルは決して嫌いじゃないのですが、オケが雑になりがちなのが、いつも残念。楽器の音を研ぎ澄ますということにはほとんど関心がないんだろうかと思います。今日も危惧していた通り、私の好みから言えば、オケの音が汚なすぎ。普段聴く読響の木管や弦は、もうちょっとスマートな音を出していたはず。ホルン、トランペットも思いっきり弱さを露呈して、長丁場聴くのは痛々しかった。終楽章の舞台裏バンダは当然舞台上の人々を超えるレベルではなく、最後にはその人たちも舞台に出てきてホルン、ペットが各々11本という大部隊になってましたが、音の「迫力」というのは決して楽器の数じゃないんだな、というのを再認識しました。コーラスが音大生のアマチュアながら、生真面目でしっかりと声の出た良い合唱だっただけに、オケがピリッとせず、残念でした。

譜面を立てず、自らの信じるままに音楽を揺さぶるコバケン流「俺のマーラー」は、結果が伴えば、凡百の演奏には及びもつかない感動を呼び起こす音楽になりえるかもしれませんが、その期待に応えてくれるオケには巡り合えるのでしょうか。コバケンが80歳を超えてもまだかくしゃくと活躍していたとして、突如ベルリンフィルに招かれ人気を博し、その後死ぬまで「巨匠」として崇められるという、ヴァントのような晩年を送ってくれる世界は来ないかなと、楽しい妄想をしてしまいました。